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アキレス腱炎とは|症状・原因・セルフチェック方法を現役医師が解説
「朝、起きた直後の1歩が痛い」 「このまま様子をみていても大丈夫か知りたい」 アキレス腱に不調を感じている方のなかには、上記のように不安や悩みを抱える方もいるでしょう。 アキレス腱に炎症が生じる「アキレス腱炎」は、スポーツや日常生活を通して多くの方が経験する疾患ですが「これくらい大丈夫」と自己判断で放置するケースも少なくありません。 本記事では、アキレス腱炎の症状や原因を詳しく解説します。セルフチェック方法や治療法も紹介するので、受診するか悩んでいる方の参考になれば幸いです。 当院リペアセルクリニックでは、公式LINEにて簡易オンライン診断や、再生療法に関する情報を提供しています。アキレス腱炎の症状にお悩みの方は、お気軽にご登録ください。 アキレス腱炎の症状 アキレス腱炎は、ふくらはぎの筋肉とかかとをつなぐ「アキレス腱」に炎症が生じる疾患であり、主な症状は以下のとおりです。 起床時や歩きはじめに痛む 足首を上に曲げると痛む 靴を履くと痛む アキレス腱の痛みや腫れ・圧痛がある アキレス腱炎の初期段階では、アキレス腱やその周辺へ軽い痛みを感じる程度で、体が温まると痛みが和らぐケースも多く、つい見過ごしがちになるのが特徴です。 しかし、症状が進行すると起床時や1歩を踏み出す際に、かかとの上あたりへ激しい痛みが走ります。さらに悪化した場合、日常動作でも支障をきたすだけでなく、靴を履く際にアキレス腱に触れると痛みを感じるケースもあります。 患部が少し腫れて熱っぽさを感じる、押すと強い痛みを生じるなどのケースも少なくありません。 ほかにも、アキレス腱の疾患にはアキレス腱が部分的または完全に切れて痛みを生じる「アキレス腱断裂」があります。 こちらの記事では、アキレス腱断裂に関して解説していますので、参考にしてください。 アキレス腱炎の原因 アキレス腱炎の根本的な原因は、アキレス腱にかかる過度な負荷であり、具体的には以下のとおりです。 アキレス腱に負荷のかかる激しい運動 アキレス腱の柔軟性が低下している 合わない靴を無理に履いている 健康なアキレス腱はバネのように機能しますが、ランニングやジャンプなどで繰り返し強い負荷がかかると、腱を構成する線維に微細な傷が蓄積していきます。通常は自己修復されますが、休息不足で負担をかけ続けると修復が追いつかず、炎症や変性が生じて痛みとなって現れます。 原因は1つだけではなく、個人の身体的特徴や運動習慣などの要因が、複雑に絡み合って発症に至るケースも珍しくありません。 アキレス腱炎を起こしやすい人 アキレス腱炎は、以下の特定の身体的特徴を持つ方も発症しやすい傾向にあります。 肥満傾向の人 扁平足(へんぺいそく)の人 高血圧の人 フルオロキノロン系およびキノロン系抗生物質を内服している人 アキレス腱は、年齢とともに硬くなり再生力も弱まるため、中高年層はアキレス腱炎を起こしやすい代表的な年代です。 また、肥満傾向のある方は、日常の歩行でも腱に大きな負担がかかりやすくなります。加えて、扁平足や回内足(足首が内側に傾く状態)など足の構造に問題がある方も、アキレス腱炎を発症するリスクが高いです。 ほかにも、フルオロキノロン系・キノロン系抗生物質を内服している方は、稀な副作用としてアキレス腱炎を引き起こす可能性があるといわれています。(文献1) アキレス腱炎を起こしやすい運動習慣 アキレス腱炎を起こしやすい運動習慣の具体例は、以下のとおりです。 陸上競技 剣道 ジャンプスポーツ 走る・ジャンプする動作を繰り返すスポーツは、アキレス腱に強い負荷を与えるため、とくに注意が必要です。 また、運動する環境も重要であり、アスファルトのような硬い路面ばかりでトレーニングすると、着地時の衝撃が直接アキレス腱へのダメージにつながります。クッション性が低下した古いシューズを使い続けるのも、アキレス腱炎のリスクを高める要因でしょう。 さらに、運動前のウォーミングアップ不足は、硬い状態の腱にいきなり負荷をかけるため危険です。運動後のクールダウンやストレッチを怠る習慣も、疲労回復を妨げ、アキレス腱の傷を蓄積させる一因となります。 アキレス腱炎の治療法 アキレス腱炎の治療法は、症状の程度や生活背景に応じて選択されます。大半は保存療法で改善しますが、重症化や慢性化すると手術を検討するケースも少なくありません。 当院では、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しておりますので、アキレス腱炎の症状にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 保存療法 アキレス腱炎に対して行われる保存療法は、以下のとおりです。 治療方法 治療内容 安静 運動の中止、日常生活でも安静にしてアキレス腱への負荷を軽減させる アイシング 氷や保冷材などで冷やして、痛みや腫れを軽減させる 薬物療法 湿布や消炎鎮痛剤などの外用薬・内服薬を使用して痛みや炎症を抑える 理学療法 医師や理学療法士によるストレッチやマッサージ、超音波治療などで血流改善と柔軟性を回復させる 装具療法 靴の中にヒールリフト装具を入れ、アキレス腱にかかる張力を減少させる 保存療法では、アキレス腱への負担を減らせるよう安静を心がけ、炎症を抑えるためにアイシングを行います。症状によっては、湿布や消炎鎮痛薬などの外用薬・内服薬を併用する場合も珍しくありません。 理学療法ではストレッチやマッサージ、超音波治療などを取り入れ、血流改善と柔軟性の回復を目指します。適切な靴やヒールリフト装具を使い、足への負担を軽減する工夫もアキレス腱の治療には重要です。 手術療法 保存療法を6カ月以上続けても症状が改善せず、歩行などの日常生活に支障をきたす場合に手術療法が検討されます。 手術は、炎症を起こして厚く変性した腱の傷んだ部分を切除し、健康な部分を縫い合わせて腱本来の滑らかな動きを取り戻します。アキレス腱がかかとの骨に付着する部分で炎症が起きている場合は、骨の出っ張りである骨棘(こつきょく)を削る処置も同時に行うケースがあるのも事実です。 ほかにも、カテーテルを使用して薬剤を注入し、炎症で増えた血管を減らす「血管内療法」を実施する場合もあります。 手術後は一定期間の固定とリハビリを行い、段階的に日常生活や運動に復帰していきます。再発を防ぐには、術後のリハビリを継続し、筋力と柔軟性を取り戻すのが大切です。 アキレス腱炎の治療期間 アキレス腱炎の治療期間は、症状の重さや発症からの経過、治療への取り組み方により大きく異なります。 比較的軽症で、発症後すぐに適切なケアを開始できた場合、数週間から3カ月程度で日常生活における痛みは軽快するでしょう。しかし、重症のケースでは回復するのに半年〜1年など、長期化するケースもあります。 また、症状がなくなっても、腱が運動の負荷に耐えられるかは別問題です。焦って運動を再開すれば容易に再発してしまうため、医師の指示のもと計画的にリハビリを進め、段階的に運動量を戻す工夫が重要です。 アキレス腱炎のセルフチェック方法 アキレス腱炎の診断には、触診のほかに超音波やレントゲン・MRIなどの画像診断が行われます。アキレス腱炎の疑いがあるものの、受診するか悩んでいる場合は、以下の方法でセルフチェックしてみましょう。 立ち姿勢からつま先立ちを繰り返す 足首の後ろ側を指先で軽く押して痛みや腫れがないか確認する まっすぐ立った状態でゆっくりとかかとを持ち上げ、つま先立ちになります。この際、アキレス腱やかかと周囲に痛みや違和感があれば、炎症が疑われます。 次に、足首の後ろ側を指先で軽く押してみて、腫れや圧痛、熱感がないか確認してください。反対側と比較し、腫れや輪郭のぼやけがある場合も注意が必要です。また、朝起きて1歩目に痛みを感じる場合や日常の動作で違和感が続くときは、無理せず整形外科を受診しましょう。 アキレス腱炎は早期に気づくと重症化を防げるため、自宅で行えるセルフチェックを習慣にするのが大切です。 アキレス腱炎のセルフケア方法 アキレス腱炎は1度発症すると長引きやすいため、医師の治療と並行して自宅でのセルフケアを取り入れるのが大切です。代表的な方法として、テーピング方法や湿布の貼り方、ストレッチ方法を紹介するので無理のない範囲で日常生活に取り入れていきましょう。 アキレス腱炎で痛みが出た際の対処法については、こちらの記事も参考にしてください。 アキレス腱炎になった際のテーピング方法 テーピングは、アキレス腱の動きを補助し、歩行時の負担を軽減する目的で行います。アキレス腱炎のテーピング方法をみていきましょう。 かかとからふくらはぎまでテープを貼る くるぶしの内側からふくらはぎの外側へ引っ張りながらテープを貼る くるぶしの外側からふくらはぎの内側へ引っ張りながらテープを貼る 足首に1周テープを巻き固定する テーピングの際は、過度にきつく巻くと血流が妨げられるため、心地良い圧迫感を意識するのが重要です。また、かぶれの原因になるため、強く引っ張りすぎないよう注意し、長時間貼り続けるのは控えてください。 運動時や長時間歩く際は、テーピングでサポートするとアキレス腱への負担を減らせます。ただし、自己流では逆効果になるケースもあるため、医師の指導を受けましょう。 アキレス腱炎の湿布の貼り方 湿布は、痛みの原因である炎症を抑えるのを目的として使用します。 アキレス腱炎の場合、湿布はアキレス腱からかかとにかけて貼るのが基本です。アキレス腱からかかとに向かって、湿布を伸ばしながら貼るとフィットしやすくなります。 湿布には温湿布と冷湿布がありますが、使用する際は以下の症状を目安に選択しましょう。 湿布の種類 使用目安となる症状 冷湿布 アキレス腱の腫れや急な痛みが出た場合(急性期) 温湿布 長引く痛みや筋肉の緊張が続いている場合(慢性期) 湿布は運動後や夜間に貼ると、炎症の広がりを防ぎ、就寝中に筋肉を休ませられるためおすすめです。 アキレス腱炎のストレッチ方法 アキレス腱炎の予防や改善には、ふくらはぎからアキレス腱までの柔軟性を高めるストレッチが欠かせません。代表的なストレッチ方法は、以下のとおりです。 ストレッチ方法 手順 つま先立ち ・壁や手すりにつかまり、階段や段差につま先を乗せて立つ ・かかとをゆっくりと下げ、10秒キープする ・かかとをゆっくりと上げ、つま先立ちで10秒キープする ・2セットを目安に繰り返す アキレス腱伸ばし ・壁に向かい、まっすぐ立ち壁に両手をつく ・片足を後ろに下げ、かかとを床につける ・ふくらはぎをゆっくり伸ばして20〜30秒キープする ・ゆっくり戻り、足を入れ替えて同様に行う アキレス腱のストレッチをする際は無理せず、痛みが出ない範囲で行います。痛みが強い場合は中止し、症状が続くようでしたら医師に相談してください。 アキレス腱炎かもしれないと思ったら早めに受診しよう アキレス腱炎はかかと周辺の痛みや腫れ、朝のこわばりが主な症状であり、原因にはアキレス腱にかかる過度な負荷や腱の柔軟性低下などが挙げられます。 アキレス腱炎の治療は保存療法が中心で、ストレッチやテーピング、湿布などセルフケアも併せて行うと効果的です。 アキレス腱炎の初期症状では、歩き始めの痛みや違和感を覚える程度なため軽視されがちですが、放置すると慢性化やアキレス腱断裂のリスクもあります。痛みが続く場合は自己判断せず、医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。 アキレス腱炎に関するよくある質問 アキレス腱炎をほっとくとどうなる? アキレス腱炎を放置すると、炎症が慢性化し腱の組織が硬くなるため、痛みが強くなり歩行や階段昇降さえ難しくなる可能性があります。また、症状が一時的に改善しても再発し、痛みが長引くケースもあります。 アキレス腱は立つ・座る・歩くなど、運動以外にも多くの日常動作に関与する部位です。アキレス腱炎を「ただの疲れ」と軽視して放置せず、早めに受診しましょう。 アキレス腱炎は走りながら治すことができる? アキレス腱の痛みを抱えたまま「走りながら治す」のは原則として困難であり、推奨されません。 アキレス腱炎を抱えたまま走り続けると炎症が悪化し、完治までの期間が延びる恐れがあります。また、無理に走っても患部をかばうため、フォームが崩れ転倒などのリスクが高まる場合もあります。 軽度の症状でも、ランニングなどの強い負荷は控えた方が良いでしょう。 痛みが落ち着いた段階で、医師や理学療法士の指導を受けながら段階的に運動を再開するのがおすすめです。リハビリとしてウォーキングやストレッチを取り入れ、筋力と柔軟性を回復させてからランニングを再開すると、再発防止にもつながります。 参考文献 (文献1) フルオロキノロン系及びキノロン系抗菌薬(経口剤及び注射剤)の「使用上の注意」の改訂について|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
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アキレス腱断裂とは|症状・原因・治療法からスポーツ復帰の基準まで現役医師が解説
アキレス腱に違和感があった際、「腱が断裂したのでは」と不安を感じる方もいるでしょう。アキレス腱断裂はその名のとおり、アキレス腱が切れてしまう外傷で、日常生活およびスポーツ復帰に時間を要するため、早期の対応が重要といえます。 アキレス腱断裂には前兆が見られる場合もあるので、違和感を覚えた際は見逃さないよう注意が必要です。本記事では、アキレス腱断裂の概要や症状、原因について解説します。 治療法やスポーツ復帰までの全治期間、再断裂予防法もまとめているので、アキレス腱断裂の疑いがある方は、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 アキレス腱断裂に関する気になる症状が見られる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 アキレス腱断裂とは アキレス腱断裂とは、ふくらはぎの後ろに位置する腓腹筋(ひふくきん)と、その奥にあるヒラメ筋の腱が合わさったアキレス腱が一部もしくは完全に切れてしまう外傷です。一般的に、アキレス腱断裂はスポーツ活動中に起こりやすく、好発年齢は30〜40代といわれています。(文献1) しかし、アキレス腱は加齢による脆弱化でも断裂する可能性があります。そのため、スポーツをしていない50代以降は日常生活中にアキレス腱断裂を発症しやすい傾向です。(文献2) スポーツ選手がアキレス腱を断裂すると、パフォーマンスに影響します。アキレス腱断裂を発症した場合は、迅速かつ適切な対応が重要です。 アキレス腱断裂の症状 アキレス腱断裂には、主に次のような症状が見られます。 「プチッ」「パン」などの音がする ふくらはぎが叩かれたような感覚がある ふくらはぎからかかと後方に痛みが生じる 足に力が入らずつま先立ちや階段昇降、歩行が困難になる 症状は人によって異なりますが、アキレス腱が断裂した際に破裂音が生じる傾向にあります。また、痛みが生じるだけでなく、歩行困難になるのもアキレス腱断裂の特徴です。 アキレス腱炎との違い アキレス腱断裂とアキレス腱炎は、いずれもスポーツ活動中に起こる疾患です。しかし、以下のように症状が異なります。 疾患 特徴 主な症状 アキレス腱断裂 アキレス腱が切れることで生じる疾患 「プチッ」「パン」などの音がする ふくらはぎを叩かれたような衝撃を感じる ふくらはぎからかかと後方に痛みが生じる アキレス腱炎 アキレス腱まわりの炎症や微小損傷により生じる疾患 かかと上からふくらはぎ下部に痛みや違和感が生じる 圧痛・腫れ・熱感を伴う場合がある アキレス腱断裂とアキレス腱炎の違いを理解しておくと、応急処置などの適切な対応が可能です。 アキレス腱断裂の原因 アキレス腱断裂の原因はさまざまですが、激しいトレーニングを行ったり、腱に負荷をかける運動をしたりする場合に発生すると考えられています。 とくに断裂を起こしやすいのは、サッカーやバレーボール、バスケットボールといった腱に負荷をかけるスポーツです。(文献3) 実際に、激しいトレーニングによって、腱に通常以上の負荷がかかった場合にアキレス腱断裂が発生すると考えられる結果が、調査で報告されています。(文献4) また、スポーツ以外の原因として考えられるのは、以下の2つです。 加齢 長時間の立ち仕事 加齢に伴う脆弱化や長時間の立ち仕事によるアキレス腱への負荷も、断裂の原因となるため、違和感などがあった場合は見逃さないよう注意が必要です。 アキレス腱断裂の前兆 アキレス腱断裂はいきなり切れるのではなく、前兆もあります。切れる前の前兆は、以下の通りです。 アキレス腱に違和感がある アキレス腱が腫れている ふくらはぎやかかとが痛む 足がひどくむくんでいる 前兆がある場合、放置したままアキレス腱に負荷をかけると断裂を起こしやすくなります。また、アキレス腱が傷ついたり周囲に炎症が起きたりする症状のアキレス腱炎やアキレス腱周囲炎も、放置すると断裂の可能性を高めるため注意が必要です。 アキレス腱断裂の診断方法 ここでは、アキレス腱断裂の診断方法を2つ紹介します。 Thompsonテスト 超音波検査・MRI検査 各診断方法の特徴をまとめているので、ぜひ参考にしてください。 Thompsonテスト アキレス腱断裂が疑われる場合、Thompsonテストと呼ばれる触診で診断を確定します。Thompsonテストは、アキレス腱断裂を診断する一般的な方法です。 診断は、次の手順で行います。 うつぶせになる 患者の膝を直角に曲げ、ふくらはぎをつまむ つま先が上下しなければ陽性 正常な場合、ふくらはぎをつまんでも足首は下へ向かう動きとなる底屈が見られます。しかし、アキレス腱が断裂している場合は、底屈が見られなくなるため陽性と判断可能です。 超音波検査・MRI検査 アキレス腱断裂は、問診や触診などで診断できますが、身体所見から判断できない場合にMRIや超音波検査を実施します。なお、X線検査では異常が確認できないケースがほとんどです。 超音波検査やMRI検査では、アキレス腱断裂の範囲や程度を詳細に把握可能なことから、断裂を確定する際に用いられます。保存療法と手術どちらが適しているかなど、適切な治療を検討する上で、超音波検査やMRI検査は有効な診断方法になります。 アキレス腱断裂の治療方法 アキレス腱断裂は、症状によって治療法が異なります。ここでは、主な治療方法を2つ解説します。 ギプスや装具を用いた保存療法 手術療法 自分に合った治療方法が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 ギプスや装具を用いた保存療法 アキレス腱断裂の症状が軽度、もしくは手術をしない場合はギプスや装具を用いて足首を固定し、安静に過ごす保存療法を行います。 安定期間を過ぎたあとは、装具を用いたトレーニングを実施し、回復へ向けてリハビリを行うのが一般的な流れです。 ギプスや装具を用いた保存療法は、手術と比較すると体への負担が少ないメリットがあります。ただし、手術と比べて回復までの期間が長くなるため、スポーツや立ち仕事をしている場合は復帰まで時間がかかる傾向といえます。 手術療法 アキレス腱が完全に断裂している、もしくは早期回復を目指す場合は手術療法を実施します。主な手術方法は、以下の2つです。 術式 手術内容と特徴 直視下縫合術 アキレス腱を切開して縫合する 腱の状態を直接確認できるため、正確に縫合できる 経皮的縫合術 切開した皮膚から特殊な器具を使ってアキレス腱を縫合する 傷口が少ないのに加えて、術後の痛みが少ない傾向にある 手術療法は、保存療法と比べて再断裂のリスクが低いのに加えて、回復期間が短いため早期にスポーツ復帰や日常生活を送れるのが特徴です。ただし、後遺症や合併症の可能性とあわせて、入院が必要になります。 再生医療 アキレス腱断裂には、再生医療の治療法の1つとなるPRP(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿)療法が行われています。PRP療法は、患者さんから採血した血液から抽出した「多血小板血漿(PRP)」を傷んでいる場所に注射する再生医療です。 血液を遠心分離器にかける時間も含めて最短30分で施術可能なのに加えて、入院や手術を必要としません。PRP療法は日帰りで施術が可能なため、入院を避けたい場合におすすめの治療法です。 アキレス腱断裂の予防法 アキレス腱を断裂すると、長期間の治療が必要となるため日頃の予防が大切です。予防に効果的な方法は、以下の3つです。 日頃から運動を取り入れアキレス腱を鍛える アキレス腱をサポートする靴を選ぶ 運動後はアキレス腱のケアを行う アキレス腱断裂の予防には、日頃からストレッチやトレーニングを取り入れ、筋肉の柔軟性を保つのがポイントになります。また、再発防止には医師や理学療法士の指示に基づいたリハビリや、スポーツ復帰後はアキレス腱に負担をかけない軽い動きからはじめるのが重要です。 アキレス腱断裂におけるスポーツ復帰までの全治期間 アキレス腱を断裂した場合、スポーツ復帰までには時間がかかります。ここでは、以下の期間に分けてスポーツ復帰までの全治期間を解説します。 松葉杖の使用期間 歩けるまでの期間 リハビリメニューと期間 全治期間をもとに治療スケジュールを立てたい方は、ぜひ参考にしてください。 松葉杖の使用期間 松葉杖の使用期間は手術後と保存期間で、いずれも1〜2週間ほどが目安です。ギプスなどで足首を固定している期間は、足に体重をかけることが制限されます。 そのため、1〜2週間ほどは、アキレス腱に負荷をかけないよう松葉杖での歩行が必要です。固定期間は無理せず安静に過ごし、治療経過を見ながら徐々に装具へ移行していきます。装具へ移行すると同時に、松葉杖の使用は中止します。 歩けるまでの期間 装具を外して歩けるまでの期間は、治療法によって異なります。歩けるまでの期間目安は、以下の通りです。 治療法 歩けるまでの目安 手術療法 損傷後2か月 保存療法 損傷後3か月 保存療法は、手術療法と比べて装具を外して歩けるまでに1か月ほど時間がかかります。手術療法と比べて保存療法の方が歩けるまでに時間がかかる理由は、ギプスなどで固定してアキレス腱の自然な癒合を待つ必要があるためです。アキレス腱を断裂した際は歩けるまでの期間を考慮し、自分に合った治療を検討しましょう。 リハビリメニューと期間 アキレス腱断裂のリハビリの期間は人によって異なりますが、全治期間は6か月ほどかかります。スポーツ復帰する際は、足関節の可動域を正常な状態に戻すことが条件です。また、つま先立ちでかかとを20回以上連続で上げられる状態が、スポーツ復帰を許容できる範囲といえます。 アキレス腱断裂のリハビリメニューは、以下の4つです。 足首を反らして可動域を広げる運動 ふくらはぎの筋力強化運動 体重を乗せる練習 スポーツや社会復帰に向けた動作練習 アキレス腱以外のリハビリを行う理由は、足首以外の筋力を維持するためです。アキレス腱断裂後は、膝や膝関節、足の指などもアキレス腱とあわせて積極的に動かすリハビリを取り入れます。 アキレス腱断裂は日常生活に支障をきたすため早期治療が重要 アキレス腱断裂は歩行が困難になり、日常生活に支障をきたします。スポーツ復帰にも時間を要するため、症状が見られた場合は速やかに専門機関を受診しましょう。 治療法には保存療法と手術法があり、スポーツ復帰期間が異なります。治療法の特徴を理解した上で、自分に合った治療を検討する必要があります。また、手術をしない治療法として、再生医療を選択するのも手段の1つになります。 アキレス腱断裂は違和感や腫れといった前兆が見られる場合もあります。初期の対応が重要になるため、前兆を見逃さないようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。アキレス腱断裂について気になる症状が見られる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 アキレス腱断裂に関するよくある質問 アキレス腱断裂は自然治癒しますか? アキレス腱を断裂した場合、自然に治癒されることはありません。放置すると回復までに時間がかかるため、アキレス腱断裂を疑う場合は速やかに受診しましょう。アキレス腱断裂は、適切な治療の実施により早期回復が期待できます。 アキレス腱断裂を放置するとどうなりますか? アキレス腱断裂を放置すると、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋が上手く機能しなくなり、歩行やつま先立ち、階段の昇降が困難になる可能性があります。 また、治療しないでいると、慢性的な痛みといった後遺症が出るケースも少なくありません。後遺症のリスクを避けるためにも、放置せず適切な治療を行いましょう。 アキレス腱断裂治療後のつっぱり感といった後遺症はいつまで続きますか? 後遺症を緩和する期間の目安は人によって異なり、なかには数か月ほどかかる場合があります。つっぱり感といった後遺症が生じる主な原因は、リハビリを十分に行わず日常生活やスポーツ復帰した場合に起こります。 焦って無理をしてしまうと再発のリスクも生じるため、アキレス腱断裂後は医師や理学療法士の指導をもとに、リハビリを継続的に行うことが大切です。 アキレス腱断裂の治療は手術療法と保存療法どっちが良いですか? 手術のほうが早期回復が見込めるほか、再断裂率が保存療法に比べて低い傾向にあります。ただし、手術の場合は入院が必要です。入院を避けたい場合は、日帰りで治療が可能な再生医療を検討するのも手段の1つになります。 参考文献 (文献1) アキレス腱断裂に対する術後早期理学療法の1例|尾道市立市民病院リハビリテーション科奥川若湖 (文献2) アキレス腱断裂の受傷機転に対する調査 - 非スポーツ受傷の特徴 -|医療法人緑泉会米盛病院リハビリテーション課 (文献3) アキレス腱断裂からのスポーツ復帰|寺本篤史 (文献4) 剣道によるアキレス腱断裂障害についての一考察|柳本昭人
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【医師監修】脂質異常症とは|症状・原因・改善方法を分かりやすく解説
「健康診断でコレステロールが高いと言われたけど、どうすればいいの?」 「脂質異常症って何?放っておくと危ないの?」 そんな疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。 脂質異常症は、初期には症状がほとんど現れませんが、動脈硬化を進め、将来的に心筋梗塞や脳梗塞などのリスクにつながる病気です。 この記事では、脂質異常症の種類・原因・数値の見方から、改善方法、治療の選択肢までをやさしく解説します。 リペアセルクリニックの公式LINEでは、脂質異常症に関するご相談や診療予約も受け付けています。気になる症状がある方は、ぜひ気軽にご活用ください。 脂質異常症とは|血液中の脂質バランスが乱れた状態 脂質異常症は、血液中の脂質の数値が、正常の範囲から外れている状態です。 健康診断では、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)などがチェックされますが、どれか一つでも基準値を超える、あるいは低すぎる場合に「脂質異常症」と診断されます。(文献1) なお脂質異常症とよく似た言葉で「高脂血症」という表現を目にすることもあります。両者の違いについて詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 脂質異常症の症状 脂質異常症は自覚症状がほとんどなく、静かに進行する特徴があります。 血管壁に脂質が徐々に蓄積し、気づかないうちに動脈硬化が進行するメカニズムです。動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気を引き起こすリスクが高まります。(文献2) 何も感じないからと油断せず、健康診断で数値を指摘されたら、きちんと向き合うことが大切です。 脂質異常症によって引き起こされる脳梗塞に対しては、再生医療が治療法の選択肢となるケースがあります。脳梗塞に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご参照ください。 また、脂質異常症と手足のしびれの関係については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 脂質異常症の原因 脂質異常症にはいくつかタイプがあり、それぞれに特徴や原因があります。どのタイプが自分に当てはまるかを知っておくと、対処法を考える際に役立つでしょう。 高LDLコレステロール血症 LDLコレステロールは、体のすみずみにコレステロールを届ける役割があります。しかし、多すぎると血管の壁に脂質がたまりやすくなり、これが動脈硬化を引き起こします。 そのためLDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれているのです。(文献3) 健康診断ではLDLコレステロールの値が140mg/dL以上の場合「高LDLコレステロール血症」と診断されます。(文献1) 低HDLコレステロール血症 HDLコレステロールは、血管壁の余分なコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ役割のあるリポタンパク質です。 この働きから「善玉コレステロール」とも呼ばれています。 HDLコレステロールが少なくなると、コレステロールの回収が十分にできなくなり、動脈硬化が進むことになるため注意が必要です。(文献2) 血液検査で40mg/dL未満だった場合「低HDLコレステロール血症」と診断されます。(文献1) 高トリグリセライド血症 トリグリセライドは、体を動かすエネルギー源として大切な成分ですが、増えすぎると脂質異常症の原因となる物質です。(文献2) 空腹時150mg/dL以上、または随時(空腹であることが確認できない時)175mg/dL以上の場合、高トリグリセライド血症と診断されます。食べすぎや飲酒、糖質の摂りすぎも大きく影響します。(文献1) 脂質異常症の検査方法 脂質異常症の検査方法は、血液検査です。 LDL・HDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)の値を測り、基準から外れていないか確認します。 とくに自覚症状がないため、定期的な検査による早期発見がとても大切です。(文献2) 脂質異常症の診断基準や詳しい数値の見方については、以下の記事も参考にしてください。 脂質異常症になりやすい生活習慣 脂質異常症は、生活習慣と関係が深い病気です。普段の生活の中に、脂質異常症を招きやすい原因が潜んでいることがあるため、ひとつずつみていきましょう。 食生活の乱れ・脂質の摂りすぎ 甘いものや脂っこい食事を摂りすぎると、脂質異常症のリスクが高まります。 とくに、バターや肉の脂身、生クリーム、インスタントラーメン、菓子パンなどの加工食品には「飽和脂肪酸」が多く含まれています。この飽和脂肪酸が、LDLコレステロールを上げる原因になるのです。 また、糖質や脂質の過剰摂取は中性脂肪の増加につながるため注意が必要です。(文献1)(文献2) 運動不足・喫煙・飲酒 運動不足や喫煙習慣があると、HDLコレステロールが減ってしまい、脂質バランスが乱れやすくなります。(文献2) また、お酒の飲みすぎにも気をつけたいところです。適量の飲酒はHDLコレステロールを上昇させますが、アルコールは血圧の上昇や肝臓への負担といったデメリットもあるため、なるべく控えめにしましょう。(文献1) 遺伝・病気 生活習慣だけでなく、体質や遺伝も脂質異常症に深く関係しています。 なかでも遺伝が強く関係するのが、「家族性高コレステロール血症」という病気です。LDLコレステロールの処理にかかわる遺伝子の異常で、食事や運動に気をつけていても脂質異常が起こります。(文献4) また、糖尿病や腎臓病、ホルモンバランスの乱れといった持病も、脂質異常症のリスクを高めます。家族に脂質異常症の人がいる方や、これらの病気を指摘されたことがある方は、より意識して検査や健康管理を心がけると良いでしょう。(文献5) 脂質異常症の治療方法 脂質異常症の治療では、まず生活習慣の見直しが基本です。食事や運動の工夫からはじめ、必要に応じて薬を使いながらコントロールしていきます。 食事療法|脂質・糖質の摂りすぎを防ぐ バランスの良い食事を心がけることが大切です。 肉や揚げ物などの脂質が多い食材を控え、魚や大豆製品、野菜をしっかり摂るように意識しましょう。食物繊維はコレステロールの吸収を抑制する働きもあります。糖質やアルコールの過剰摂取も控えましょう。(文献6) 脂質異常症で食べてはいけないもの・食べたほうが良いものについては、以下の記事で詳しく解説しているためぜひご覧ください。 運動療法|有酸素運動をする ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動は、HDLコレステロールを増やし、脂質バランスを整えるのに役立ちます。 1日30分程度、週3回以上を目安に、無理のない範囲で続けてみてください。(文献6) 運動が苦手な方や忙しい方は、エレベーターの代わりに階段を使う、通勤時ひと駅手前で降りて歩いてみるなど、小さなことから始めるのも効果的です。(文献5) 運動療法について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 薬物療法|LDLコレステロールや中性脂肪を下げる 生活習慣を見直しても脂質の数値がなかなか改善しない場合は、薬の力を借りてコントロールする方法も選択肢になります。 脂質異常症の治療薬には、LDLコレステロールや中性脂肪の値を下げるだけでなく、動脈硬化そのものを改善し、脳梗塞や心筋梗塞の再発リスクを減らせる薬もあります。 ただし、薬を飲んでいればそれで十分なわけではありません。薬の力を上手に活用しながら、日々の生活習慣も合わせて見直していきましょう。(文献5) 脂質異常症の薬について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。 脂質異常は放置せず早期改善に努めよう 脂質異常症は、何も症状がなくても油断できない、治療の必要な病気です。 放置すると知らないうちに動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります。健康診断で数値を指摘されたときは、自分の生活を見直すことから始めてみてください。早めの対策が、将来の大きな病気を防ぐことにつながります。 「どう改善したら良いのかわからない」と一人で悩んでいるのであれば、専門家に相談するのも一つの方法です。 当院の公式LINEでは、脂質異常症に関するご相談や再生医療の情報提供、簡単なオンライン診断も行っています。気になる症状がある方や、今後の健康が不安な方は、ぜひお気軽にご利用ください。 脂質異常症に関するよくある質問 脂質異常症は痩せている人でもなりますか? 痩せていても脂質異常症になることはあります。 脂質異常症は、体型だけでなく、体質や遺伝、喫煙や飲酒、ホルモンバランスの乱れなどさまざまな要因が関係しているためです。 そのため、体型にかかわらず、定期的な健康診断や血液検査が大切です。 脂質異常症の人はコーヒーやバナナは控えたほうがいいですか? コーヒー自体は基本的に問題ありませんが、砂糖やコーヒーフレッシュを多く入れると脂質や糖分が増えるので、できるだけブラックで飲むのが良いでしょう。 バナナは、ビタミンや食物繊維が豊富で、適量であれば脂質異常の改善にも役立ちます。ただし、糖質が多いので食べ過ぎには注意し、1日1~2本程度が目安量です。(文献7) なお、1日2本のバナナは果物全体の摂取目安量(1日200g程度)にあたるため、バナナを食べる日は他の果物は控えめにしましょう。 参考文献 (文献1) 脂質異常症|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~厚生労働省 (文献2) 脂質異常( コレステロールなど)|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~厚生労働省 (文献3) コレステロール(これすてろーる)|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~厚生労働省 (文献4) 脂質異常症|国立研究開発法人国立循環器病研究センター (文献5) 「脂質異常症」といわれたらーコレステロールと動脈硬化ー|財団法人循環器病研究振興財団 (文献6) 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版|一般社団法人日本動脈硬化学会 (文献7) 脂質異常症の食事|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~厚生労働省
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【医師監修】高血圧とは|原因・症状・予防法・治療まで徹底解説
「健康診断で血圧が高いと言われたけど、体調に問題もないし大丈夫かな?」と、放置してしまいがちな高血圧。 しかし、血圧が高い状態が続くと脳や心臓などの臓器がダメージを受け、脳卒中や心筋梗塞といった命にかかわる病気を発症しやすくなります。 そのため、「血圧が高い」と言われた段階で状態を悪化させない対策を講じることが、将来の健康を守ることにつながるのです。 この記事では、高血圧の基準や原因・予防策・治療などを解説します。 「受診すべきか迷っている」「できるだけ自然に改善したい」と感じる方は、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 血圧が高く不安を感じている方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 高血圧とは 高血圧とは、血液の量が増えたり、血液の通り道が狭くなったりすることで、血液が血管の壁に強く圧力をかけ続けている状態を指します。(文献1) 水道のホースに強い水圧がかかっているようなイメージです。 この状態が長く続くと、常に強い圧力にさらされた血管は次第に硬くもろくなっていき、「動脈硬化」と呼ばれる状態につながります。 動脈硬化が進むと、心臓や脳など全身の重要な臓器に深刻なダメージを与えかねません。 そのため「血圧が高い」と指摘された段階から、予防策を講じることが大切です。 2019年の「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の方のうち47.7%が高血圧に該当するといわれています。 特定の方に起こるものではなく、私たちに身近な病気のひとつといえるでしょう。(文献2) 高血圧の症状 高血圧は、自覚症状がほとんどないまま進行するのが特徴です。(文献1) 血圧が高すぎると、頭痛やめまい、肩こりなどが出ることもありますが、日常的に実感しやすい現象であるため、高血圧が原因だと考える方は少ないでしょう。(文献1) しかし、血圧が高い状態が続くと血管は少しずつダメージを受けます。その結果、脳や心臓、腎臓への負担が大きくなり、以下のような症状があらわれることがあります。(文献1) 突然の手足のしびれや麻痺 話のしづらさ(呂律が回らない) 胸が締め付けられるような痛みや圧迫感 息苦しさ むくみやだるさ 夜間の頻尿 血圧が高めといわれても「何も症状がないから大丈夫」と軽く考えがちですが、気づかないうちに病状は進行しています。 何も感じないうちにこそ生活習慣を見直したり、医師の診断を受けたりして、将来の健康を守りましょう。 高血圧の種類と原因 高血圧には主に以下の2つのタイプがあり、それぞれ原因が異なります。 高血圧のタイプ 原因 本態性高血圧 多くが原因不明である 二次性高血圧 血圧が上がる明らかな要因がある 詳しく見ていきましょう。 本態性高血圧 原因が特定できない高血圧を「本態性高血圧」と呼び、高血圧の約90%がこのタイプです。(文献3) 遺伝や加齢などの要因に加えて、以下の生活習慣が合わさって発症すると考えられています。(文献1) 塩分の摂りすぎ 運動不足 睡眠不足 過度の飲酒・喫煙 ストレスの蓄積 なかでも日本人は、塩分の過剰摂取とメタボリックシンドロームの増加が高血圧患者の増加に関係しているといわれています。(文献4) 詳しいメカニズムを知りたい方は、以下の記事をご参照ください。 【関連記事】 喫煙は血圧にマイナスな影響を与える?高血圧の原因や対策について現役医師が解説 【医師監修】ストレスで血圧が上がるメカニズムと予防法を解説! 女性が高血圧になる原因は?更年期との関連性・対策を医師が解説! 二次性高血圧 血圧を上昇させている原因が明らかな高血圧を「二次性高血圧」と呼び、主に以下が要因となります。(文献3) (文献5) 腎臓に関する病気 クッシング症候群 原発性アルドステロン症 褐色細胞腫 薬やサプリメント 本態性高血圧との違いは、原因となっている病気を治療すれば血圧の改善が期待できることです。 すでに病気を抱えている方は、それが血圧に影響している可能性もあるため、かかりつけ医に相談してみましょう。 高血圧の診断基準 日本高血圧学会の基準によると、以下の値以上になったときに「高血圧」と診断されます。(文献4) 診察時血圧(医療機関での測定):140/90mmHg 家庭血圧(自己測定):135/85mmHg 家庭血圧のほうが基準値が低いのは、診察室では緊張して血圧が一時的に上がる「白衣高血圧」と呼ばれる現象があるためです。 高血圧の診断には、診察室での測定だけでなく、家庭での血圧測定も重要となります。 高血圧の放置により起こりうる健康リスク 高血圧は、症状がないまま進行してしまうことが多いため「サイレントキラー(沈黙の暗殺者)」とも呼ばれます。 放置すれば確実に血管にダメージを与え、以下のような病気を引き起こすリスクが高まります。(文献4) 脳卒中(脳出血・脳梗塞) 心筋梗塞・心肥大 慢性腎臓病 大動脈瘤・大動脈解離 認知症発症のリスク増加 こうした合併症を防ぐためには、早期発見と継続的な血圧管理が欠かせません。 「血圧が高い」と指摘された段階で予防策を講じることが、将来的な健康を守ります。 脳卒中の後遺症改善や再発予防を目的とした治療法として、再生医療という選択肢があります。脳卒中に対する再生医療の治療例については、以下の症例をご覧ください。 【家庭でできる】高血圧の治療法と悪化予防 高血圧の治療は、まず生活習慣の改善から始めます。 高血圧治療ガイドラインでは以下のような生活習慣が推奨されており、治療だけでなく予防にも効果的です。(文献4) 減塩を中心とした食事 適度な運動 アルコールの制限 肥満の改善 生活習慣の改善だけで血圧が下がらない場合や、心血管系疾患のリスクが高い場合には、薬物療法が検討されます。 治療開始後も薬に頼るだけでなく、見直した生活習慣を続けることが長期的な健康維持につながります。 高血圧の予防策を詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。 高血圧は症状がなくても要注意!早期対策が重要 高血圧は、多くの方が自覚症状のないまま進行するため、気づかないうちに身体にダメージを与えている可能性があります。 放置すれば、脳卒中、心筋梗塞、腎不全などの命にかかわる病気を引き起こすリスクもあるため、早期発見・早期対応が何より重要です。 まずは血圧を意識し、生活習慣の見直しから始めることが高血圧の予防と改善につながります。 症状がなくても血圧に不安を感じたら、当院リペアセルクリニックの公式LINEを活用してみてはいかがでしょうか。 再生医療に関する情報発信や、簡易診断のご相談も承っています。ご興味のある方は、お気軽にご登録ください。 高血圧に関するよくある質問 高血圧は何科を受診すれば良いですか? 高血圧に不安を感じたら、まずは一般内科を受診しましょう。 初診では、主に以下のようなことがおこなわれます。(文献4) 自宅と受診時の血圧値の確認 問診による生活習慣や家族歴の把握 必要に応じて、血液検査・尿検査・心電図などの追加検査 高血圧の原因に腎臓やホルモンの異常が疑われる場合には、専門の循環器内科や内分泌内科へ紹介されることもあります。 放置すれば、将来的に心臓や脳、腎臓などに大きなダメージを与える可能性があるため、「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、医師の診断を受けることが重要です。 医療機関の受診を迷うなら、当院リペアセルクリニックの公式LINEをご活用いただけます。 公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しておりますので、高血圧について不安がある方は、ぜひ一度ご登録ください。 高血圧の薬は一生飲み続けなければなりませんか? 高血圧の治療では、一度薬を始めると服用し続けるのが基本です。 ただし、生活習慣の改善によって血圧が安定し、医師の判断で減薬・中止が可能になる方もいます。 「血圧が落ち着いているから」と自己判断で中止してしまうと、再び血圧が上昇してしまう可能性があるため、薬の減量・中止は医師の指示のもとにおこないましょう。 高血圧で頭痛を感じることはありますか? 高血圧そのものでは多くの場合、明らかな自覚症状はあらわれません。 ただし、急激に血圧が上昇した場合や重度の高血圧では、血管や心臓への急激な負荷により、頭痛やめまい、動悸などを発症する恐れがあります。 こうした症状が頻繁に見られる場合は、臓器への負担が大きくなっている可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。 高血圧が高くなる時間帯はありますか? 血圧は日中の活動時にやや高くなり、睡眠中は日中よりも10〜20%ほど低くなります。(文献4) 高血圧の既往がない方でもこの変動はありますが、その数値が高い場合は「早朝高血圧」や「夜間高血圧」である可能性が高いです。 1日の変化を把握するために、家庭での血圧測定は朝と夜の決まったタイミングでおこなうと良いでしょう。 高血圧は完治しますか? 高血圧は「完治」よりも「コントロール」する病気と捉えましょう。 日本人の高血圧の約90%を占める「本態性高血圧」は、塩分の摂りすぎ、運動不足、ストレスといった生活習慣や、遺伝的な体質が複雑に絡み合って発症します。 これらの要因を根本からすべて取り除くのは難しく、一度高くなった血圧は元の正常な状態に戻りにくいのです。 そのため高血圧の治療目的は「完治」ではなく、生活習慣の改善や薬物療法により血圧を適切にコントロールし、脳卒中や心疾患などの合併症を予防することです。(文献3) 参考文献 文献1 高血圧|日本臨床内科医会 文献2 国民健康・栄養調査|政府統計の総合窓口 文献3 高血圧|国立循環器病研究センター病院 文献4 高血圧治療ガイドライン2019|日本高血圧学会 文献5 二次性高血圧症(腎血管性高血圧を含む)|日本内分泌学会
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【医師監修】痛風とは|症状・原因・治療法・予防まで分かりやすく解説
「もしかして痛風?」「痛風って治るの?」「病院に行った方がいい?」そんな不安を感じていませんか。 痛風は、血液中の尿酸が増え、関節にたまって炎症を起こす病気です。 生活習慣と深い関わりがあり、放置すると何度も発作をくり返すおそれもあります。 この記事では、痛風の症状・原因・治療・予防法まで、初めての方にもわかりやすく解説していきます。痛風について正しく理解し、日々の生活習慣を見直すきっかけになれば幸いです。 リペアセルクリニックの公式LINEでは、気になる症状があるときに気軽に相談や予約ができる窓口を用意しています。 「痛風かも」と不安があり、タイミングを見て相談したい方はぜひご登録ください。 痛風とは「尿酸が結晶化して起こる強い炎症」 痛風は、体内にたまった「尿酸」という物質が関節で結晶となり、強い炎症を引き起こすことで発症します。(文献1) 痛風の発作が起こるメカニズム 尿酸の結晶は、体にとって異物のような存在です。 関節にたまった尿酸結晶を免疫細胞が攻撃することで、激しい炎症反応が起こります。(文献2) 炎症により激しい疼痛が生じ、「風が吹いても痛い」と表現されるほどの痛みとなります。 尿酸が結晶化する仕組み 尿酸は水に溶けにくい性質をもっており、血液中の尿酸値が7mg/dLを超えて高い状態が続くと、結晶化しやすくなります。 なかでも足の親指の付け根など、体の末端や体温の低い場所は尿酸が結晶化しやすいため、発作が起こりやすい部位となります。(文献3) 痛風が起こりやすい部位や部位別の対策については、以下の記事も参考にしてください。 痛風の症状 痛風はどんな症状が現れるのか、代表的な例を紹介します。 足の指の激痛・腫れ・熱感・皮膚の赤みが特徴 痛風でもっとも多い症状は、足の親指の付け根に突然起こる激しい痛みです。 夜間に起こることも多く、痛みとともに関節の腫れ、熱感、皮膚の赤みなどを伴います。(文献4) 初めての発作では予兆がないことが多いですが、再発をくり返す人の中には、発作の前に軽い違和感を覚える人もいます。(文献2) 痛風の初期症状については、以下の記事で詳しく解説しているため併せてご覧ください。 手首や膝などに症状が出る場合もある 初めは足の指に出ることが多いですが、痛風発作を繰り返すうちにほかの関節にも炎症が広がるケースもあります。 膝や手首、足首、足の甲、アキレス腱の付け根など、さまざまな関節が痛風の影響を受けるようになるのです。(文献2) また、慢性化してくると、関節や耳などに「痛風結節(つうふうけっせつ)」と呼ばれるしこりのようなものができることもあります。 これは尿酸の結晶がかたまりとなって皮膚の下に沈着したもので、進行すると関節の変形を招く可能性もあります。(文献4) 痛風の症状については、こちらの記事も参考にしてください。 炎症による発熱やだるさ、倦怠感を伴うこともある 痛風発作は激しい関節の痛みや腫れに加えて、以下のような全身の不調が出るケースもあります。 発熱 寒気 頻脈 全身のだるさなど これらの症状は感染症や他の病気との区別がつかない場合もあるため、早急に医療機関を受診しましょう。(文献4) 痛風の原因 痛風の原因は、体内の「尿酸値」が高くなることです。 尿酸値が上がる原因は以下の3つが考えられます。 腎臓の機能低下 プリン体を多く含む食品やアルコールの摂取 肥満・ストレス・激しい運動 ひとつずつ詳しくみていきましょう。 尿酸値と痛風の関係について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 腎臓の機能低下 尿酸の大部分は腎臓を通じて尿として排出されます。 しかし、腎機能が低下していると尿酸の排出がうまくいかず、体内にたまりやすくなるのです。さらに、高尿酸状態が続くと、腎臓に悪影響を与える悪循環も生まれます。(文献5) プリン体を多く含む食品やアルコールの摂取 尿酸は「プリン体」と呼ばれる物質が分解されるときに生じます。 とくにレバーや魚卵、ビールなどはプリン体が多く、過剰に摂取すると尿酸値が上がりやすくなるのです。 また、アルコールは腎臓の働きに悪影響を及ぼしたり、体内で尿酸を作るはたらきを強めたりする作用があり、痛風のリスクを高めます。(文献5) そのため「ビールではないから大丈夫」と安心して他のお酒をたくさん飲んでいると、知らないうちに尿酸値が上がってしまうおそれがあります。日本酒や焼酎、ワインなども含め、飲みすぎには注意が必要です。(文献4) こちらの記事では、痛風の人がコーヒーを飲むことの影響や注意点について解説しているため併せてご覧ください。 肥満・ストレス・激しい運動 肥満の人は、尿酸が体内でつくられる量が増えるだけでなく、腎臓からの排泄もスムーズにいかなくなるため、尿酸値が高くなりやすい傾向があります。(文献6) また、ストレスや睡眠不足はホルモンバランスや自律神経の働きに影響を与え、尿酸の代謝や排泄に悪影響を及ぼすと考えられています。 さらに、激しい運動で大量の汗をかいたときは、一時的に尿酸値が急上昇することがあるため注意が必要です。(文献7) 体重管理とともに、生活全体をととのえることが、痛風予防では大切です。 痛風の合併症 痛風をそのまま放っておくと、関節の痛みだけでなく、ほかの病気につながることもあります。 高尿酸状態が続くと、腎臓に結晶がたまりやすくなり「尿路結石」や「腎機能の低下」などのリスクが高まります。(文献2) 尿酸値が高い状態が続くと、脳卒中や心臓の疾患などのリスクを高める可能性もあるのです。 また、関節が炎症を繰り返すと、変形性関節症のリスクを高める可能性も否定できません。(文献4) つまり痛風は、単なる「関節の病気」ではなく、全身に関わる生活習慣病の一種と考えられるでしょう。 変形性関節症へと進行した場合、根本的な治療法は限られますが、「再生治療」という方法が新たな治療の選択肢として登場しています。 変形性膝関節症の治療について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 痛風の治療 痛風の治療は「発作時の対応」と「再発を防ぐための体質改善・尿酸値の管理」の2つに分けられます。 急性期の治療|患部の冷却と鎮痛薬 発作が起きている間は、痛みと炎症をおさえる治療が中心です。 消炎鎮痛剤を使用し、医師の判断で関節にステロイドを注射するケースもあります。痛む関節はなるべく動かさず、冷やして安静を保つことが基本です。(文献8) ただし、市販薬の使用や冷却の方法は症状によって異なるため、必ず医師に相談してください。 痛風発作時の適切な対処法についてさらに知りたい方は、以下の記事も役立ちます。 長期的な治療|薬物療法 痛風発作を何度も繰り返していたり、関節に痛風結節と呼ばれるしこりができていたりする場合は、尿酸値をしっかりと下げる治療が必要です。 尿酸産生を抑制する(アロプリノール、フェブキソスタット)や、尿酸の排泄を促進させる薬(ベンズブロマロン、ドヌラチドなど)が用いられます。自己判断で中断せず、医師の指示にしたがって継続することが大切です。(文献1) 治療法については、こちらの記事で詳しく解説しているため、併せてご覧ください。 痛風の予防・再発防止方法 痛風の発作をくり返さないためには、日頃の生活習慣を見直すことがポイントです。具体的には、以下の3つを心がけると良いでしょう。 プリン体を多く含む食品やアルコールを控える 十分な量の水分を摂る 適度な運動とストレスマネジメントをする 順番に解説します。 以下の記事でも予防法を詳しく紹介しています。 プリン体を多く含む食品やアルコールを控える プリン体を多く含む食品の過剰摂取は痛風の原因のひとつです。そのため、プリン体が含まれる食品は控えましょう。 とくにレバーや魚卵、ビールなどはプリン体が多く含まれており、摂りすぎに注意が必要です。 ただし、プリン体は肉や魚にも含まれているため、「プリン体ゼロ」にこだわりすぎる必要はありません。食事のバランスをととのえ、アルコールは控えめにすることが痛風予防につながります。(文献10) 食事の工夫については以下の記事も参考にしてください。 【関連記事】 痛風の食事療法とは?食べてはいけないもの一覧やストレスをためない食生活改善のポイント 【何パック?】納豆は痛風でも食べていい?おすすめの食べ方を医師が解説 十分な量の水分を摂る 十分な量の水分を摂ることも、痛風対策には大切です。 水分をしっかり摂ることで、尿として尿酸がスムーズに排出されやすくなります。 目安は1日あたり2L程度です。 ただし、アルコールや甘い飲み物を飲みすぎてはいけません。水やお茶、白湯などを飲むよう心がけましょう。(文献7)(文献9) 適度な運動とストレスマネジメントをする ウォーキングなどの軽い有酸素運動は、尿酸値のコントロールに効果的です。 ただし、激しい筋トレのような無酸素運動は逆に尿酸値を上げてしまう可能性があるため、適度な運動にしましょう。また、ストレスや睡眠不足もホルモンの影響で尿酸代謝に関わるため、日々のリラックスも大切です。(文献1) たとえば、通勤で一駅分歩く、休日に軽くサイクリングする、寝る前にストレッチでリラックスするといったことを意識すると良いでしょう。 痛風とウォーキングの関係性について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 痛風をくり返さないためにも医療機関で適切な治療を受けよう 痛風は、一度発作を経験すると再発をくり返しやすい病気です。症状が落ち着いているときでも、尿酸値が高い状態を放置すると新たな発作につながるリスクがあります。 再発を防ぐには、食生活の工夫や適度な運動、水分摂取など、日常生活の見直しが欠かせません。あわせて、必要に応じて医療機関での検査や薬による治療を受けることも重要です。 とくに尿酸値が高めに続いている方や、すでに複数回発作を経験している方は、早めに受診を検討しましょう。痛風は「生活習慣病」のひとつでもあり、早期に対応することで合併症のリスクを下げ、健康を守ることにつながります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。痛風について気になる症状がある方は、ぜひ一度ご登録ください。 痛風に関するよくある質問 痛風は市販薬で治せますか? 痛風発作が出た場合、ロキソプロフェンをはじめとする市販薬で、一時的に痛みを和らげることは可能です。 ただし、根本的な原因である「高尿酸血症」を改善しない限り、再発をくり返す可能性があります。 痛風治療は症状を抑えるだけでなく、食事や運動など生活習慣を見直し、医療機関で適切な治療を受けることが大切です。(文献4) 薬の選び方や副作用については、こちらの記事も参考にしてください。 痛風に良い食べ物はありますか? 低脂肪の乳製品(牛乳・ヨーグルトなど)は、痛風のリスクを下げるといわれています。 また、プリン体が少ない野菜や果物、海藻などを意識的に摂り、プリン体の多い食品を控えると良いでしょう。(文献1) 尿酸値を下げる食べ物・飲み物については、こちらで詳しく解説しているため併せてご覧ください。 女性に多い痛風の原因はなんですか? 女性に多い痛風の原因は、「生活習慣」と「閉経による女性ホルモンの変化」です。 痛風は男性に起こりやすい傾向がありますが、女性にも痛風は起こります。 女性に少ないのは、女性ホルモンが尿酸の排泄に関わっているからと考えられています。 そのため、閉経後は女性ホルモンが減ることで尿酸の排泄が低下し、尿酸値が上がりやすくなるので女性でも注意が必要です。(文献3) 女性の痛風については、以下の記事で詳しく紹介しています。 参考文献 (文献1) 2019年改訂高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版2022年追補版|日本痛風・尿酸核酸学会 (文献2) 「痛風」|公益社団法人日本整形外科学会 (文献3) 17.痛風(高尿酸血症)|一般社団法人愛知県薬剤師会 (文献4) 痛風|MSDマニュアル家庭版 (文献5) アルコールと高尿酸血症・痛風|健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~厚生労働省 (文献6) 肥満と痛風・高尿酸血症|一般社団法人日本肥満症予防協会 (文献7) 【痛風】ある日突然、激痛におそわれます|全国健康保険協会 (文献8) 高尿酸血症・痛風の診断と治療|第 112 回日本内科学会講演会 (文献9) 高尿酸血症と食事|独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 (文献10) 高尿酸血症|健康日本21アクション支援システム Webサイト
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【医師監修】糖尿病とは|症状や原因・予防法までを詳しく解説
健康診断や検査などで血糖値が高めといわれ、「もしかして糖尿病?」と不安を感じていませんか? 糖尿病は初期段階で症状がほとんどあらわれず、出始めたころには進行しているケースも珍しくありません。 放置すると糖尿病が悪化して合併症を引き起こすリスクが高まるため、早めに正しい知識を持ち、生活の工夫や医療機関での受診をする必要があります。 この記事では、糖尿病の基礎知識から、検査方法、進行に伴う症状、予防や治療の方法まで詳しく解説します。 「生活習慣を見直して予防したい」と思っている方は、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しております。 糖尿病について不安や疑問のある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録の上、お気軽にご相談ください。 糖尿病とは 糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が慢性的に高くなる病気です。 適切な予防や治療をおこなうために、糖尿病がどういう病気なのか、どのようなタイプがあるのかを理解しておきましょう。 糖尿病の定義 糖尿病とは、インスリンの分泌が不足したり、インスリンの働きが低下したりすることによって血糖値の調整ができなくなり、高血糖の状態が長い期間続く病気です。(文献1) インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血糖を細胞に取り込んでエネルギーとして利用し、血糖値を下げる役割を持ちます。 この機能がうまく働かないと、血液中のブドウ糖が処理されずに残ってしまい、血管や神経にダメージを与える高血糖状態が続くことになります。 1型糖尿病と2型糖尿病の違い 糖尿病は「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に大別されます。 どちらも高血糖状態が続く点は共通していますが、以下のように原因や発症の仕方などが異なります。(文献2) (文献3) 項目 1型糖尿病 2型糖尿病 主な原因 自己免疫による膵臓の破壊 生活習慣・遺伝 特徴 インスリンがほとんど分泌されない インスリンの働きが悪くなる/分泌が減る 発症年齢 子ども~若年層にも多い 中高年に多いが子ども・若年層にも増えている 肥満との関係性 なし 肥満/肥満の既往が多い 患者数(令和5年調査時点) 12万2,000人 363万9,000人 とくに日本人に多いのは、生活習慣の影響が大きい「2型糖尿病」です。 一方、1型糖尿病は生活習慣とは無関係に発症し、インスリン治療が必須であることが特徴です。 2つの糖尿病の違いを詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 糖尿病の症状 糖尿病の初期段階では、ほとんどの場合で症状を自覚できないため、気づかないうちに進行してしまうことがあります。 しかし、病気が進むにつれて、特徴的なサインがあらわれ始めます。 糖尿病の初期に見られる症状と、進行した際にあらわれる合併症の兆候について解説します。 糖尿病の初期症状 糖尿病の初期症状として、一般的に以下のような症状があらわれるといわれています。(文献1) 口渇(のどの渇き) 多飲(水分をたくさん飲む) 多尿(尿の量・回数が増える) 体重減少 しかし、初期段階では自覚症状がほとんどないため、「知らないうちに進行していた」「健康診断で高血糖を指摘された」と後に気づく方が多い病気です。 そのため、健康診断や検査による定期的な血糖値のチェックが重要となります。 【関連記事】 糖尿病の初期症状とは?合併症の特徴やセルフチェックリストを紹介 【50代女性必見】糖尿病の初期症状とは?セルフチェック方法や予防法を医師が紹介 糖尿病が進行するとあらわれる症状 糖尿病が進行すると、血液中の糖分によって血管や神経が傷つき、以下のような症状があらわれ始めます。(文献4) 手足のしびれ、痛み 立ちくらみ、冷や汗 目のかすみ、視力低下 足のむくみ これらの症状は糖尿病の三大合併症である「神経障害」「網膜症」「腎症」の症状です。 糖尿病の治療は、この合併症を引き起こさないための血糖値のコントロールが目標とされています。(文献1) ほかにもばね指や皮膚の乾燥、爪の変形など、一見糖尿病とは気づきにくい形で症状があらわれる場合もあります。(文献5) 【関連記事】 糖尿病による失明の前兆を医師が解説【見え方に要注意】 ばね指の発症原因に糖尿病が関係する?治療のポイントも含めて現役医師が解説 糖尿病の主な原因 糖尿病の発症には、遺伝的要因と環境的要因が複合的に関与しています。 とくに2型糖尿病では、以下のような要因が関係するとされています。(文献2) 食べすぎ 運動不足 肥満 ストレス 加齢 遺伝 これらの要因は、複数が組み合わさって糖尿病の発症につながる点が特徴です。 加齢や遺伝的要因は変えられませんが、生活習慣に関連する要因は改善可能であるため、予防や治療において重要なポイントとなります。 糖尿病の検査と診断基準 糖尿病の診断は、血液検査による数値にもとづいておこなわれます。 日本糖尿病学会が定める診断基準では、以下の4つの検査項目のいずれかが基準値を超えることで「糖尿病型」と判定されます。(文献1) 検査項目 診断指標 空腹時血糖値 (10時間以上の絶食後に測定) 126mg/dL以上 随時血糖値 (食事の時間に関係なく測定) 200mg/dL以上 75g経口ブドウ糖負荷試験 (ブドウ糖を飲んだあとの血糖値の変化) 2時間値が200mg/dL以上 HbA1c (過去1〜2カ月の平均血糖値を反映) 6.5%以上 1回の検査で上記のいずれかに該当しただけでは、糖尿病とは確定されません。 別日に再検査をおこない、2回以上で数値が基準を超えた場合に糖尿病と診断されます。 ただし、糖尿病の明らかな症状(口の渇きや体重減少)や糖尿病性網膜症の症状がみられていたら、血糖値に関する指標が1回該当しただけで糖尿病と診断されるのが一般的です。(文献1) また、診断に使われる75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、空腹時血糖値と組み合わせて「正常型」「境界型」「糖尿病型」を判定するのにも活用される指標です。(文献1) これらの型は、合併症の将来的な発症リスクを判断する上で重要となるため、糖尿病の疑いがある方や血糖値が高めの方にはOGTTの実施が推奨されています。(文献1) 糖尿病の予防方法 糖尿病の予防には、生活習慣の改善が欠かせません。 とくに食事管理と定期的な運動は、糖尿病の発症リスクを減らせる重要な対策です。 具体的な予防方法について詳しく解説します。 食事管理 糖尿病予防の食事管理では、血糖値の急激な上昇を避け、膵臓への負担を軽減することがポイントです。 たとえば、以下のような対策があげられます。(文献2) 腹八分目を意識する さまざまな食材をバランスよく摂る 脂の多い食事は控えめにする 食物繊維を多く含む食品を積極的に摂る 食事は朝・昼・晩の決まった時間に食べる ゆっくりよく噛んで食べる 甘いお菓子やジュース、間食はできるだけ控える 完璧を目指すのではなく、無理のない範囲での継続が予防につながります。 一度にすべてを変えようとせず、まずは取り組みやすいものから始めて、徐々に習慣化させていきましょう。 定期的な運動 定期的な運動は、筋肉への糖の取り込みを増やし、血糖値を下げる効果が期待できます。(文献6) 以下の運動を参考に、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせておこないましょう。(文献2) 運動の種類 運動の例 有酸素運動 ・歩行 ・ジョギング ・水泳 筋力トレーニング ・腹筋 ・腕立て伏せ ・スクワット ・ダンベルを使用したトレーニング 「楽~ややきつい」と感じる程度の有酸素運動(ジョギングや水泳など)を週に150分以上おこなうことが推奨されています。週3回以上取り組めるとよいでしょう。(文献1) 運動時間の確保が難しい方は、生活の中で1日8,000歩程度歩くことを目標にするのも良い方法です。(文献1) また、筋力トレーニングは、週に2~3回、ごく軽いもしくは10~15回程度繰り返せる程度の負荷から始めます。(文献1) 肥満気味で膝への負担が心配な方には、有酸素運動と筋力トレーニング両方の効果が期待でき、関節への負担が少ない水中歩行もおすすめの運動です。(文献2) 【関連記事】 糖尿病は筋トレで完治は難しくても改善する!運動療法で糖尿病を改善するには 糖尿病!運動療法なら改善はもとより予防にも効果を発揮 糖尿病の治療方法 糖尿病の治療は、血糖値のコントロールを目的として段階的におこなわれます。 治療法は症状の進行度や生活習慣によって異なりますが、以下のような手法が一般的です。 食事療法:栄養バランスに配慮した食事管理を継続する 運動療法:ウォーキングや筋トレなどの習慣的な運動で、血糖値を安定させる 薬物療法:生活習慣の改善だけで血糖コントロールが難しい場合、内服薬やインスリン注射を検討する 当院リペアセルクリニックでは、糖尿病に対する再生医療を行っております。詳しくは以下の症例記事をご覧ください。 また、近年では再生医療という新しい治療の選択肢もあります。ご興味のある方は、当院リペアセルクリニックのLINE相談をご活用ください。 糖尿病の兆しが見られる際は早めに医療機関を受診しよう 糖尿病は、自覚症状が出にくいまま進行しやすい病気です。 ただし、明らかな症状がなくても、健康診断や日常の体調変化をきっかけに気づく方も少なくありません。 糖尿病の兆しを放置してしまうと、合併症を引き起こす可能性も高くなります。 血糖値が高いと指摘された、気になる症状があるなどの場合は、「まだ大丈夫」と放置せず、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。 当院の公式LINEでは、再生医療に関する情報や、簡易診断のご相談も承っています。 ご興味のある方は、お気軽にご登録ください。 糖尿病に関するよくある質問 糖尿病は治療すれば治るのでしょうか? 糖尿病は完治が難しい病気とされています。 しかし、生活習慣の改善や薬物療法によって血糖値を適切にコントロールすることで合併症のリスクを下げつつ、健康的な生活を送ることは十分に可能です。 詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 糖尿病で自覚症状があらわれていたら手遅れなのでしょうか? 「口が乾く」「尿がたくさん出る」「疲れやすい」などの症状が出ている場合、すでに血糖値が高い状態が続いている可能性があります。 ただし、症状があるからといって手遅れとは限りません。 早期に治療を始めれば、合併症の予防や改善も期待できます。 気になる症状がある場合は、早めの受診を検討しましょう。 糖尿病の初期症状で爪の変化はどのようなものがありますか? 糖尿病の方には、以下のような爪の変化が見られることがあります。(文献7)(文献9) 爪が黄色くなる 爪が持ちあがり変形する 爪が皮膚に食い込む など 特に足の爪は変化に気づきにくい場所です。変形した爪が皮膚を傷つけると、傷口から細菌が入り化膿する可能性もあります。 血糖値が高めの方は爪の調子にも注意を払い、気になる点があれば医師へ相談しましょう。 参考文献 文献1 糖尿病診療ガイドライン2024|日本糖尿病学会 文献2 糖尿病治療ガイド2018-2019|日本糖尿病学会 文献3 令和5年患者調査|政府統計の総合窓口 文献4 糖尿病の合併症|日本臨床内科医会 文献5 Skin Manifestations of Diabetes Mellitus|NCBI Bookshelf 文献6 糖尿病予防および管理のための栄養と運動ー限られた状況下でできることー|日本糖尿病協会 文献7 Toenail Changes in Patients with Diabetes Mellitus with and Without Onychomycosis|PubMed 文献9 Risk Factors and Frequency of Ingrown Nails in Adult Diabetic Patients|PubMed
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【医師監修】足底腱膜炎のストレッチ・マッサージの方法を解説
「ランニング後に踏み込むたびに痛みを感じる」 「足底腱膜炎のストレッチやマッサージ方法を知りたい」 足裏に違和感を覚え、歩き始めや運動後に足が重く感じる方は少なくありません。デスクワークや立ち仕事、ランニングを続ける人に多くみられるのが足底腱膜炎です。 放置すれば、日常の動作や運動が困難になります。足底腱膜炎は根本評価に医療機関の受診が必要です。一方で、適切なストレッチやマッサージは負担軽減に役立ちます。 本記事では、現役医師が足底腱膜炎におけるストレッチ・マッサージについて詳しく解説します。 足底腱膜炎におけるストレッチ・マッサージの効果 足底腱膜炎におけるストレッチの方法 足底腱膜炎におけるマッサージの方法 足底腱膜炎におけるストレッチ・マッサージの注意点 足底腱膜炎の受診の判断ポイント 最後には、足底腱膜炎のストレッチ・マッサージに関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 足底腱膜炎について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 足底腱膜炎におけるストレッチ・マッサージの効果 効果 詳細 柔軟性向上による機能改善(柔軟性向上・負担軽減・歩行機能向上) 足底からふくらはぎにかけての柔軟性改善による関節可動域拡大、足底腱膜への負担分散、歩行や立位の安定性向上 血流促進と組織の柔軟化 筋緊張の緩和、局所循環の改善、組織代謝促進によるしなやかな足底環境維持 関連筋へのアプローチ アキレス腱やふくらはぎ筋群の柔軟化による足底腱膜への負担軽減、全身バランス保持のサポート (文献1) 足底腱膜炎は、足裏の腱や周囲組織に過度な負担がかかることで生じます。歩行や運動に支障をきたす疾患です。ストレッチやマッサージは、症状の緩和に有効とされています。 足底や下腿を伸ばすことで筋肉や腱の柔軟性が向上し、歩行時の衝撃吸収が改善します。さらに血流が促進されることで酸素や栄養の供給が高まり、炎症組織の修復環境が整います。加えて、ふくらはぎやアキレス腱など関連筋を緩めることで足底への負担が軽減され、再発予防にもつながります。 根本的な診断と治療には医療機関での評価が不可欠です。しかし、適切なセルフケアを継続することで症状の進行を抑え、生活の質を維持することが期待できます。 柔軟性向上による機能改善(柔軟性向上・負担軽減・歩行機能向上) 項目 詳細 柔軟性向上 足底やふくらはぎの硬さを和らげ、関節可動域の拡大、滑らかな歩行や立ち上がり動作の回復 負担軽減 筋膜や腱の緊張緩和によるストレス分散、衝撃吸収の改善、腱膜への刺激軽減 歩行機能向上 足首や足指の動きの円滑化、歩行バランスの安定、快適な日常動作と再発予防 足底腱膜炎では足底筋膜が硬くなり、歩行や立位で負担が集中します。ストレッチで足底やふくらはぎの柔軟性を高めることで、衝撃吸収が改善し動作が滑らかになります。 筋肉や腱の柔軟性を保つことは、足裏への負担軽減と再発予防、長期的な機能改善に重要です。 血流促進と組織の柔軟化 足底腱膜炎では炎症や微細な損傷により血流が滞り、回復が遅れやすくなります。ストレッチやマッサージは血流を促進し、組織を柔らかく保つことで酸素や栄養の供給を高め、老廃物の排出を助けます。 血流促進と組織の柔軟化は、歩行をしやすくし、足底腱膜への負担を減らして再発を防ぐ有効なセルフケアです。 関連筋へのアプローチ 足底腱膜炎は足裏の腱膜だけの問題ではなく、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)やアキレス腱の硬さが大きく関与します。 これらは足底腱膜と一体的に機能しており、下腿が硬直すると腱膜に強い負担がかかります。ふくらはぎやアキレス腱にストレッチやマッサージを行うことで、局所への負担が分散し炎症悪化を防ぐことが可能です。 足底腱膜炎のセルフケアは、足底腱膜のみならず腓腹筋・ヒラメ筋やアキレス腱といった下腿筋群まで含めて介入することで、機能連関の改善、荷重時の負荷分散、歩行安定性の向上および再発予防に有効です。 足底腱膜炎におけるストレッチの方法 ストレッチの方法 詳細 足底筋膜ストレッチ(趾を引っ張るタイプ) 椅子に座り足首を膝に乗せ、手で足指を甲側にゆっくり引き上げて足裏を伸ばす タオルストラップストレッチ(ふくらはぎ・アキレス腱) タオルを足裏にかけて両手で引き、膝を伸ばしたままふくらはぎからアキレス腱を伸ばす 壁を使ったカーフストレッチ(立位) 壁に手をつき、一歩後ろに引いた脚の踵を床につけたまま身体を前に倒してふくらはぎを伸ばす 足底のローリング(マッサージ的セルフケア) テニスボールや凍らせたペットボトルを足裏で前後に転がし、足底の緊張を和らげる方法 タオルギャザー(足底筋力のサポート運動) 床に置いたタオルを足指でたぐり寄せ、足底筋の働きを促して負担分散を助ける運動 足底腱膜炎のセルフケアでは、足裏や下腿を柔軟に保ち筋力を補うことが重要です。ストレッチにより筋膜や腱の張力を和らげ、マッサージで血流を促し、運動で足底筋群を強化することで、痛みの軽減と歩行の安定性が得られます。 これらを継続することは症状改善だけでなく再発予防にもつながり、生活の質を維持する有効な手段となります。 足底筋膜ストレッチ(趾を引っ張るタイプ) ストレッチの手順 詳細 手順.1 椅子に腰かけ、痛みのある足を反対側の膝の上にのせる 手順.2 片手で足首を軽く押さえ、もう一方の手で足の指(とくに母趾)をつかむ 手順.3 足の指を手前にゆっくり反らせ、足裏のアーチ部分が伸びる感覚 手順.4 そのまま15〜30秒間キープ 手順.5 1日2〜3回、左右それぞれで実施 足底筋膜ストレッチは、足底腱膜炎のセルフケアとして有効な方法です。足底腱膜はかかとから足指の付け根にかけて広がる組織で、炎症や張りが生じると一歩目の動作や長時間歩行で強い負担がかかります。 足指を手でゆっくり反らせるこのストレッチは、足底腱膜を直接的に伸ばし、硬さの緩和や負担の軽減につながります。実施する際は「気持ち良い伸び」を目安とし、痛みを感じるほど強く反らさないよう注意しましょう。 朝起床後の歩き出し前や運動後、入浴後に取り入れると効果的であり、炎症や腫れが強い場合には無理をせず安静と冷却を優先することが推奨されます。 タオルストラップストレッチ(ふくらはぎ・アキレス腱) ストレッチの手順 詳細 手順.1 床やベッドに腰を下ろし、両足を前に伸ばす 手順.2 タオルやストラップを片足のつま先にひっかける動作 手順.3 両手でタオルの端を持ち、ゆっくり自分の方に引く動作 手順.4 ふくらはぎからアキレス腱にかけて伸びを感じる位置で保持 手順.5 その姿勢を15〜30秒間継続 手順.6 片足ずつ、1日2〜3回行う タオルストラップストレッチは、ふくらはぎやアキレス腱を効率的に伸ばし、足底腱膜への負担を軽減するセルフケアです。床に座って膝を伸ばし、足裏にタオルやストラップをかけ、両手で手前に軽く引いて数秒保持します。 無理に引かず、心地良い伸びを感じる範囲で行うのが大切です。痛みを伴う強い伸ばし方や反動をつける動作は避け、ゆっくりと静かに伸ばすことが効果を高めます。 起床後や運動後、入浴後など筋肉が硬くなりやすいタイミングに取り入れると、柔軟性の改善が期待できます。継続することで歩行の安定性が増し、再発予防にもつながるため、日常生活に取り入れやすい有効な方法です。 壁を使ったカーフストレッチ(立位) ストレッチの手順 詳細 手順.1 壁の前に立ち、両手を肩の高さで壁につける 手順.2 片足を前に出し、もう片足を後方に大きく下げる立位姿勢 手順.3 後ろ足のかかとを床につけ、膝を伸ばしたまま身体を前に傾ける動作 手順.4 後ろ足のふくらはぎに伸びを感じる位置で保持 手順.5 そのまま15〜30秒間キープし、ゆっくり元の姿勢に戻す動作 手順.6 左右の足を入れ替えて、1日2〜3回の反復 足底腱膜炎は足裏の腱膜だけでなく、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)の硬さが関与します。ふくらはぎが硬くなると足首の可動域が制限され、歩行や立位で足底腱膜に過度な負担がかかります。 壁を使った立位のカーフストレッチは、自身の体重を利用してふくらはぎやアキレス腱を効率よく伸ばす方法であり、足底への負担軽減、下腿後面全体の柔軟性回復、歩行や立位の安定性向上に効果があります。 実施に際しては、後ろ足のかかとを床につけ、強い痛みの手前で止めることが重要です。壁や机を支えに無理のない姿勢で続けることは、症状の改善と足底腱膜炎の再発予防に有効です。 足底のローリング(マッサージ的セルフケア) ストレッチの手順 詳細 手順.1 椅子に腰かけ、両足が床につく 手順.2 ゴルフボール・テニスボール・凍らせたペットボトルなどを床に置く準備 手順.3 足裏のアーチ部分(かかとから指の付け根まで)を道具の上に乗せる 手順.4 足を前後にゆっくり転がし、足底全体のほぐし 手順.5 1回1〜2分を目安に、1日2〜3回行う 足底腱膜炎では腱膜が硬くなり血流が低下することで回復が遅延しやすくなります。足底のローリングは、ボールやペットボトルを用いて足裏を刺激し、血流促進や組織の柔軟化を図るセルフケアです。 凍らせたペットボトルを使えば冷却療法も兼ねられ、痛みの軽減に有効です。強い刺激を避け、タオルを巻いて低温障害を防ぐことが推奨されます。継続的な実施は症状の軽減と再発予防に寄与し、日常生活に導入しやすい方法です。 タオルギャザー(足底筋力のサポート運動) ストレッチの手順 詳細 手順.1 椅子に腰かけ、床にタオルを1枚広げる準備 手順.2 足指を使い、タオルをつかんで手前にたぐり寄せる動作 手順.3 タオルがすべて手前に集まるまで繰り返し 手順.4 片足5〜10回を目安とした1日1〜2セットの実施が目安 タオルギャザーは、足指でタオルをたぐり寄せる簡便な運動で、足裏や足指の筋力を強化し、足底腱膜への負担を分散させます。歩行時の踏み込みやバランスが改善され、アーチの崩れを防ぐことで再発予防にも寄与します。 摩擦の少ない環境で無理なく行うことが推奨され、継続することで効果が得られます。タオルギャザーは痛みの改善だけでなく長期的な機能維持にも有効なセルフケアです。 足底腱膜炎におけるマッサージの方法 マッサージの方法 詳細 手による足裏マッサージ 親指や手のひらで足裏全体を押しながらほぐす方法、足底アーチ部分の緊張緩和 道具を使ったローリングケア テニスボールやゴルフボールを足裏で転がし、足底全体の刺激と緊張緩和 ふくらはぎのマッサージ 両手でふくらはぎを下から上へさすり、筋肉の硬さを和らげ血流を促進 足底腱膜炎のセルフケアとして行うマッサージは、足裏とふくらはぎを中心に血流を改善し、筋膜や腱の柔軟性を高めることを目的とします。手で足裏を押しほぐす方法は腱膜の緊張を和らげ、ボールやペットボトルを使ったローリングは循環改善とセルフマッサージ効果が得られます。 さらに、ふくらはぎを下から上へさすり上げることで下腿筋群の柔軟性が増し、足底への負担が軽減されます。継続することで症状の緩和と再発予防に有効です。 手による足裏マッサージ 方法 ポイント 手のひらマッサージ 手のひらの根元で足裏全体を前後にさする動作による広範囲のほぐし 親指プッシュ 親指で土踏まずから指の付け根までを押し進める動作による局所的な緊張緩和 親指引き伸ばし 足裏中央に親指を置き左右に広げる動作による筋膜の滑走性改善と柔軟性向上 足指の屈伸マッサージ 足指を反らしたり曲げたりしながら付け根を揉む動作による足指機能改善と歩行安定性向上 足底腱膜炎では腱膜が硬化し血流が滞ることで炎症が長引くことがあります。手による足裏マッサージは、自分で圧を加減しながら足底を刺激でき、血流促進や組織の柔軟化に有効です。 歩行時の負担軽減にもつながり、セルフコントロールが可能で継続しやすい方法です。強い刺激は炎症を悪化させるため避け、入浴後など筋肉が温まった状態で短時間繰り返すことが推奨されます。 道具を使ったローリングケア 方法 ポイント ボールローリング 椅子に座り、ゴルフボールやテニスボールを土踏まずに置いて前後左右に転がす動作による足底全体の刺激、1回1〜2分を目安に行う アイスローリング 凍らせたペットボトルにタオルを巻き、椅子に座った状態で足裏を前後に転がす動作による冷却とマッサージの併用、1回5〜10分を目安に行う 足底腱膜炎では腱膜が硬化し、炎症によって血流も滞りやすくなります。ボールやペットボトルを用いたローリングは、自重を利用して足裏を刺激でき、血流促進や組織の柔軟化に有効です。 とくに冷やしたペットボトルを使うアイスローリングは、マッサージ効果に加えて炎症抑制も期待できます。実施の際は、心地良い圧を目安にし、アイスローリングではタオルを巻いて低温障害を避けることが大切です。椅子に座って短時間を繰り返すことで、症状の軽減や再発予防に役立ちます。 ふくらはぎのマッサージ 方法 ポイント 手によるマッサージ 椅子に座り、ふくらはぎを両手で包み込み、かかとから膝へ押し流すようなさすり動作 親指でのほぐし 硬さを感じる部位を親指で押し、小さな円を描くようなほぐし動作 もみ上げ法 ふくらはぎの内外側を手で軽くつかみ、膝方向へ絞り上げる動作 フォームローラー利用 床に座り、ふくらはぎの下にローラーを置き、体重をかけて前後に転がす動作 足底腱膜炎には足裏だけでなくふくらはぎの筋肉の硬さも関与し、柔軟性が低下するとアキレス腱を介して足底腱膜への張力が増えて炎症が悪化します。 下腿のマッサージは血流を促進し、筋緊張を緩和して足底への負担を減らし、歩行や立位の安定性の向上と再発予防に役立つセルフケアです。 足底腱膜炎におけるストレッチ・マッサージの注意点 注意点 詳細 無理のない刺激で行う 気持ち良いと感じる範囲で止め、痛みを誘発しない強さで行うこと 習慣とタイミングを意識する 毎日短時間の継続、朝の動作前や運動後・入浴後など身体が温まった時に実施 改善しなければ医療機関へ 自宅ケアで改善がみられない場合や痛みが強まる場合の医療機関への受診 足底腱膜炎のストレッチやマッサージは、強すぎる刺激を避け、心地良い範囲で続けることが大切です。入浴後や就寝前など筋肉が温まったタイミングに行い、短時間でも毎日継続することで効果が得られやすくなります。 数週間続けても症状が改善せず、痛みや腫れが強まる場合には、自己判断せず早めに医療機関を受診することが重要です。 以下の記事では、足底腱膜炎でやってはいけないことについて詳しく解説しています。 無理のない刺激で行う 足底腱膜炎は、足底腱膜に炎症や微細損傷を生じる疾患であり、過度なストレッチや強いマッサージは患部に過剰な負荷を与え、炎症の増悪や治癒遅延を招く可能性があります。 そのため、セルフケアやリハビリテーションは、無理のない刺激で行うことが重要です。実施に際しては疼痛出現の直前で動作を止め、心地良い伸展感や軽度の圧迫感を目安とすることで、柔軟性の改善を図れます。 また、過剰な刺激は中断の要因となりますが、適度な刺激であれば日常的に継続しやすく、治療効果の維持にもつながります。運動は反動を避け、緩徐かつ安定した動作で行うことが推奨され、症状が強い場合や改善が得られない場合には中止し、医療機関への受診が必要です。 習慣とタイミングを意識する 足底腱膜炎は、単発のストレッチやマッサージで速やかに改善する疾患ではなく、日々の積み重ねによって徐々に柔軟性や血流を回復させることが求められます。そのため、習慣化と適切なタイミングの意識が重要です。 継続的に行うことで腱膜や周囲筋の硬さが和らぎ、足底への負担軽減と症状改善につながります。とくに起床時の疼痛が強い場合には、起床前後のストレッチが有効です。 また、運動後や入浴後など筋肉が硬直または緩和しやすい時期に行うことで効果が高まります。症状が落ち着いた後も習慣的に続けることで再発予防が可能です。 セルフケアは1日数回・短時間で無理なく継続し、効果判定は数週間単位で行うことが推奨されます。 改善しなければ医療機関へ 足底腱膜炎はセルフケアで改善することも多い一方、数週間続けても効果が乏しい場合や症状が悪化する場合には、医療機関での評価が必要です。強い炎症が残存している可能性や、アキレス腱障害・疲労骨折・リウマチ性疾患など他の病態が隠れている可能性もあるため、正確な診断が欠かせません。 医療機関では超音波検査やX線などによる鑑別診断に加え、インソール処方や物理療法、薬物療法などの治療を受けられます。歩行困難なほどの痛みや両足同時の症状がみられる場合は早期受診が望ましく、適切なタイミングでの診療が悪化防止と回復促進につながります。 以下の記事では、足底腱膜炎に隠れている可能性のある疾患について詳しく解説しています。 【関連記事】 関節リウマチの合併症|主な種類や原因を医師が詳しく解説 足首の疲労骨折とは?捻挫との違いや痛みの特徴、治療法を解説 足底腱膜炎の受診の判断ポイント 判断ポイント 詳細 強い症状や日常生活に影響が出ている場合 激しい痛みや歩行困難、立ち仕事や運動に支障をきたす状態 セルフケアを続けても良くならない場合 ストレッチやマッサージを数週間継続しても改善がみられない状態 他の疾患が関与している可能性がある場合 疲労骨折や神経障害、リウマチなど別疾患が疑われる症状 足底腱膜炎では、強い痛みで歩行や日常生活に支障がある場合や、ストレッチやマッサージなどのセルフケアを数週間続けても改善がみられない場合には、医療機関の受診が必要です。 また、症状の背景に疲労骨折や神経障害、リウマチなど他の疾患が隠れている可能性もあります。適切な診断と治療を受けることで、早期改善と再発予防につながります。 以下の記事では、足底腱膜炎の休むべき目安の期間や治し方を詳しく解説しています。 強い症状や日常生活に影響が出ている場合 判断ポイント 詳細 症状の悪化 強い痛みや長時間続く違和感による炎症進行の可能性 日常生活への支障 歩行・立ち仕事・階段昇降など基本動作の制限 放置によるリスク 慢性化や難治性足底腱膜炎への移行、治療長期化の可能性 医療機関での評価の必要性 レントゲン・超音波・MRIによる精密検査と鑑別診断 早期治療の利点 症状進行の抑制、痛み軽減、早期回復の実現 足底腱膜炎で強い痛みや歩行困難がある場合は、炎症進行の可能性が高く早期受診が重要です。放置すると慢性化して治療が長期化し、手術を要することもあります。 医療機関では精密検査と適切な治療が受けられるため、強い症状がある際は自己判断せず速やかに受診することが早期回復につながります。 以下の記事では、足底腱膜炎が重症化したときの症状を詳しく解説しています。 セルフケアを続けても良くならない場合 足底腱膜炎は、多くの場合ストレッチやマッサージ、靴の工夫といったセルフケアで症状の軽減が期待できます。 しかし、一定期間継続しても改善がみられない場合は、医療機関の受診が必要です。改善が乏しい背景には、炎症の残存による治癒遅延や、セルフケアの誤った実施による悪化が考えられます。 また、インソールの処方、物理療法、薬物療法などの治療を要する段階に進行している可能性もあります。疲労骨折や神経障害など、足底腱膜炎以外の疾患が潜在していることもあるため、正確な診断が不可欠です。 セルフケアで症状が改善しない場合は、早期に医療機関を受診し適切な治療を受けることが、回復の促進と再発予防につながります。 他の疾患が関与している可能性がある場合 理由 詳細 似た症状を示す病気の存在 アキレス腱障害、疲労骨折、末梢神経障害、関節リウマチなどにより足裏やかかとの痛みが出る可能性 自己判断での鑑別困難 症状だけでは区別が難しく、医師による診察や画像検査が必要な状態 治療法の相違 足底腱膜炎と他疾患では治療法が異なり、正確な診断による適切な治療選択の必要性 進行や悪化の防止 疲労骨折やリウマチ性疾患では早期治療が重要であり、放置による重症化回避の重要性 足底腱膜炎の症状は、かかとや足裏の違和感として現れますが、同様の症状は疲労骨折や神経障害、関節リウマチなど他の疾患でもみられます。 両足同時の発症や足首・ふくらはぎまで広がる違和感、急激な悪化がある場合は、足底腱膜炎以外の病態が関与している可能性が高く、セルフケアのみでは改善が期待できません。 放置すると進行や重症化につながるため、症状が通常と異なると感じた時点で早急に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。 似た症状を示す疾患の一つ、関節リウマチでお悩みの方には再生医療が治療法の選択肢となるケースがあります。関節リウマチに対する再生医療については、以下の症例記事をご覧ください。 以下の記事では、関与している可能性のある疾患について詳しく解説しています。 【関連記事】 関節リウマチとは?初期症状・原因・診断・治療・生活上の注意 足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いとは?予防法・治療法も紹介 足底腱膜炎はストレッチやマッサージに頼らず医療機関を受診しよう ストレッチやマッサージは、足底腱膜炎の症状緩和や再発予防に有効とされる補助的手段です。ただし、これらはあくまで対症的ケアに位置づけられ、根本的な治療方法ではありません。 強い疼痛が持続する場合や、症状が長期間改善しない場合には、自己流の対応に固執せず、医療機関を受診することが推奨されます。 足底腱膜炎でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、足底腱膜炎の治療において再生医療を選択肢のひとつとして提案しています。再生医療は組織修復を促し、足底腱膜炎に有効性が期待される新たな治療法です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 足底腱膜炎のストレッチ・マッサージに関するよくある質問 ストレッチやマッサージはいつ行うのが効果的ですか? ストレッチやマッサージは、起床時、運動前後、長時間の歩行後、入浴後などに行うと効果的です。 筋肉や筋膜を柔軟に保ち、痛みの軽減や回復促進、再発予防につながります。継続的に習慣化することが重要です。 足底腱膜炎の治療法にはセルフケア以外の方法もありますか? 足底腱膜炎の治療は、消炎鎮痛剤やステロイド注射による薬物療法、インソールを用いた装具療法、ストレッチや運動療法による理学療法など多様な方法で行われます。 症状が続く場合には体外衝撃波療法や再生医療が選択肢となり、脂肪由来幹細胞や血小板の成長因子を利用する方法が医師の診断で判断されます。 以下の記事では、足底腱膜炎の治療法として期待される再生医療について詳しく解説しています。 足底腱膜炎に対してテーピングや湿布は効果ありますか? 足底腱膜炎ではテーピングや湿布で痛みや負担を和らげることができますが、いずれも一時的な補助的ケアです。 根本改善にはストレッチや靴の調整、必要に応じた医療機関での治療を組み合わせることが重要です。 以下の記事では、足底腱膜炎に対するテーピングの効果を詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) 新しい足底腱膜炎に対するアプローチの試み|J-STSGE
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【自分でできる】足底腱膜炎のテーピング方法を現役医師が紹介|貼り方や効果を解説
足底腱膜炎とは、かかとから足の指の付け根まで広がる足裏の腱膜に炎症が起き、痛みが生じる症状です。ランニングや長時間の立ち仕事、体重増加などで足裏の腱膜に負担がかかり、かかと付近に損傷ができることが原因とされています。 本記事では、足底腱膜炎と診断された方に向けて、自宅で簡単にできるテーピングの貼り方を紹介します。ストレッチやマッサージなどセルフケアの方法もまとめているので、日常生活での痛み軽減に役立ててください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を実施しています。足底腱膜炎について気になる症状があれば、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 足底腱膜炎におけるテーピング効果 足底腱膜炎におけるテーピングは、足裏の腱膜を支え歩行時の衝撃や負担を軽減する効果があります。また、足の動きをサポートし、痛みの悪化を防ぐのに役立ちます。 以下に、テーピングの主な効果と内容、ポイントをまとめました。 効果 内容 ポイント 動きをサポートし制限する 足底腱膜に負担がかかる動きを制限し、必要な可動域だけを確保する 動きを完全に制限するのではなく、負担の大きい動きを軽減することが重要 圧迫する 適度な圧迫で足裏をサポートし、衝撃吸収や炎症部分を安定させる 圧迫し過ぎると血流障害やかぶれの原因になるため、注意が必要 痛みを軽減する 歩行時の負担を和らげることで、痛みを一時的に軽減する テーピング自体は治療ではなく、あくまでも症状を和らげるサポート手段 精神的な安心感を与える テーピングすると「保護されている」といった安心感が生まれ、再発の不安を軽減する 継続的なセルフケアや治療を組み合わせることが大切 テーピングは痛みの緩和や再発予防に有効ですが、根本的な治療にはならないため、ストレッチやインソールの活用など、ほかのセルフケアと併用が必要です。 足底腱膜炎におけるテーピング方法 ここでは、足底腱膜炎の症状があるときに使えるテーピングの貼り方を紹介します。日常生活向けと長時間歩いたり運動したりする日の2種類の貼り方をまとめたので、その日の目的に合わせて使い分けてください。 日常生活での貼り方 通勤や買い物など、日常生活で歩くときの足裏への負担を軽減したい場合に向いているテーピング方法です。足の指を手前に反らせた状態を保ちながら貼ってください。また、50㎜幅程度のテープが扱いやすいです。 テーピングの具体的な手順は以下のとおりです。 ステップ1:足裏に1本目を貼る 足の指の付け根からかかとに向けてテープを軽く引っ張りながらまっすぐ貼る ステップ2:斜めに2本貼る 足の指の付け根からかかとの外側と内側に向けてそれぞれ斜めにクロスするように2本のテープを貼る ステップ3:土踏まずを横切るように貼る 最後に土踏まずの部分を横切るようにテープを1本貼る 簡易的な分、サポート力は弱いため、長時間の立ち仕事やスポーツには不向きで、日常生活での足裏サポートには適しています。 よく動く日の貼り方 運動や長時間の歩行などで、足裏に負担がかかる日に向いているテーピングの方法です。テープを貼るときは、足の指を反らした状態にしてください。幅は50㎜程度のテープが使いやすいでしょう。 テーピングの貼り方の手順は以下のとおりです。 ステップ1:足裏に1本目を貼る 第2~4趾(人差し指から薬指の付け根)からかかとに向けてテープを貼る 軽く引っ張りながら貼り、かかとはアキレス腱の下まで少し長めに伸ばして固定する ステップ2:親指側からかかとへ貼る 親指を反らせたまま、付け根からかかとの外側に向けてテープを貼る かかとを巻くように、内くるぶしの下まで回して固定する ステップ3:小指側からクロスさせる 小指の付け根からかかとに向けてテープを貼る かかとの前でクロスさせるように内側に回す 外側のくるぶしの下まで回して止めると安定感が増す ステップ4:土踏まずを横切るように貼る 最後に土踏まずの部分を横切るようにテープを貼る 浮きやすい土踏まず部分はしっかり押さえる 足の甲を1周しないように、浮きやすい部分は補強する テーピングはあくまでも動作時のサポートの役割です。足を着くたびに強い痛みが出ているときは安静にしてください。 足底腱膜炎のテーピングをするときの注意点 足底腱膜炎のテーピングには、正しい方法で行うための注意点があります。主に、「きつく締めすぎない」「患部は清潔に保つ」「すぐに痛みが取れると思わない」の3つです。以下でそれぞれの注意点を解説するので、参考にしてください。 きつく締めすぎない テーピングはきつく締めすぎないことが大切です。足底腱膜炎のテーピングは足裏のアーチ(土踏まず部分)を支え、動作をサポートするために行います。強く締めすぎると、皮膚や血管、神経に余計な負担がかかるリスクがあります。 テープのふちで皮膚が擦れてケガをしたり、血管や神経を長時間圧迫してしびれや腫れを起こしたりする可能性があるでしょう。長時間そのままにしておくと、歩行時の痛みが増す場合もあります。 テーピング中に強い締めつけ感やしびれ、痛みの増強を感じたら、すぐに緩めるか貼り直して、適度な圧でサポートすることが重要です。 テーピング部位は清潔に保つ テーピングをするときは、部位を清潔に保つことが欠かせません。足裏は汗をかきやすく、テーピング中は湿気がこもりやすいため、皮膚トラブルが起こりやすい環境です。 長時間テープを貼ったままにするとかぶれやかゆみが起こりやすくなり、剥がす際に角質が一緒に取れて皮膚が弱くなったりする場合があります。小さな傷ができた状態で不衛生のままだと、炎症を起こすリスクも高まります。 このようなトラブルを防ぐために、テープを貼る前は足を洗ってしっかり乾かし、貼り換えの際も皮膚を清潔に保つことが重要です。 即効性を期待しない テーピングは症状の根本治療ではなく、あくまでも痛みを一時的に和らげ、動作をサポートするための手段です。足底腱膜炎は足裏に繰り返し負担がかかり炎症が生じるため、治療には時間がかかります。そのため、安静やストレッチなどほかのケアも欠かせません。 テーピングをしたからといって痛みが完全になくなるケースは少なく、歩行時の負担を軽減し、回復しやすい環境を整えるサポートをします。 症状を改善するにはテーピングに加え、ストレッチやインソールの活用、医師の指導に基づいた治療を併用することが重要です。 足底腱膜炎におけるテーピング以外のセルフケア 足底腱膜炎の痛みを緩和するには、マッサージやストレッチ、インソールを活用する方法があります。以下で詳しく解説するので、見ていきましょう。 マッサージやストレッチを行う 足底腱膜炎の痛みを緩和するために、マッサージやストレッチのセルフケアが効果的です。足の筋力や柔軟性が低下すると、足底腱膜に過度な負荷がかかり、炎症が起こりやすくなります。 日ごろから足底腱膜の柔軟性を高めておきましょう。入浴中やお風呂あがりの体が温まっているうちに、マッサージやストレッチを行うのが効果的です。足の指の間を親指でなでるようにほぐし、とくに、中足骨(足の甲にある指につながる骨)の間を一つずつ優しくマッサージしてください。親指から小指まで行うと血流が促されます。 また、ふくらはぎのストレッチも有効です。以下の手順でストレッチしてみましょう。 足を前後に開く、 痛みのある足を後ろにし、かかとを床につける(つま先はまっすぐ前に向ける) 前足に少しずつ体重をかけ、後ろ足のふくらはぎが伸びていると感じる位置で15秒ほどキープする ストレッチやマッサージを日常的に取り入れ、柔軟性を保つことで炎症の悪化を防ぎ、再発予防にもつながります。 インソールを入れる インソールを活用するのも、足底腱膜炎の痛みを和らげるために有効です。足裏のアーチは体重や衝撃を受け止める重要な部分で、ここに負担が集中すると炎症が悪化しやすくなります。 クッション性とアーチ部分を支える機能を兼ね備えたインソールを使うと、足裏全体に重さを分散させ、歩行や運動時の衝撃を軽減できます。 痛みの軽減や再発予防のためにも、靴に合ったインソールを取り入れて足裏の負担を減らしましょう。 足底腱膜炎は正しいテーピングとセルフケアで痛みを緩和しよう 足底腱膜炎の痛みを緩和するために、テーピングは有効です。正しいテーピングの方法とストレッチやマッサージなどのセルフケアを組み合わせると、痛みの軽減につながります。 また、テーピングをするときは、きつく締めつけ過ぎず患部を清潔に保つことが大切です。テーピングは足裏をサポートし、日常生活の負担を減らす手段であり、根本的な治療ではありません。 テーピングやセルフケアをしても痛みが続くときは、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を実施しています。足底腱膜炎について気になる症状があれば、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 足底腱膜炎のテーピングに関するよくある質問 寝るときのテーピングはどうしたらよいですか? 就寝時のテーピングは避けましょう。テーピングは日中の動作をサポートするためのもので、寝ている間は効果がほとんどないからです。長時間貼ったままだと、皮膚トラブルの原因にもなります。そのため、寝る前には必ずテーピングを外して足を休ませてください。 テーピングは毎日してもよいですか? テーピングは毎日しても構いません。ただし、皮膚トラブルを防ぐ観点から1日1回の貼り換えを推奨します。貼りっぱなしにすると、汗や湿気がこもり、かぶれやかゆみの原因になります。毎回張り替えて、皮膚を清潔に保ちましょう。
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【医師監修】足底腱膜炎とは|症状・原因から治し方までわかりやすく解説
「足の裏やかかとが痛む」「歩くたびに違和感がある」など、足底腱膜炎のような症状で悩んでいる方もいるでしょう。足底腱膜炎とは、足の裏にある腱膜に炎症が起きて痛みが生じる疾患です。軽度であればセルフケアで症状の改善が見込めますが、放置すると慢性化して長期的な治療を要するケースもあります。 今回は、足底腱膜炎とはどのような疾患か、症状から原因、治し方まで詳しく解説します。重症化を防ぐためのセルフケア方法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。足底腱膜炎の症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 足底腱膜炎とは 足底腱膜炎とは、足裏にある「足底腱膜(足底筋膜)」と呼ばれる膜状の組織に炎症が起き、かかとや土踏まずに痛みが生じる疾患です。歩行や立ち仕事などで足底腱膜に過度な負担がかかると、微細な損傷が繰り返され炎症につながります。 足底腱膜炎と足底筋膜炎は混同されやすい言葉です。学術的には「足底腱膜炎」が正式な名称とされています。 足底腱膜炎と足底筋膜炎の違い 足底腱膜炎と足底筋膜炎は、どちらも足底腱膜(足底筋膜)に炎症が生じる状態を指し、同じ疾患として扱われることが一般的です。ただし、以下のように、痛みが生じるタイミングによって両疾患を区別するケースもあります。 足底腱膜炎 足底筋膜炎 痛みの現れ方 慢性的に痛みが生じる 突発的に痛みが生じる 痛みが生じるタイミング 長時間の歩行や姿勢維持など 起床時や歩き始めなど 解剖学的には、腱膜と筋膜は異なる組織です。しかし、足底腱膜炎の多くは筋膜に関連する部分で炎症が生じます。足底腱膜炎も筋膜炎としての性質を持つケースが多いため、両者はほぼ同じ疾患として扱われています。 足底腱膜炎の症状 足底腱膜炎になると、主に以下のような症状が現れます。 朝起きて最初の一歩が強く痛む 長時間座ったあとに立ち上がると痛い 歩行やランニングでかかとや土踏まずに痛みが出る 安静時にも違和感や鈍痛がある 初期は動き出しのときにだけ痛みがあり、動いているうちに和らぐケースもあるでしょう。しかし、痛みを放置すると慢性的な痛みに変わり、安静時にも違和感や鈍い痛みを感じるようになります。 足底腱膜炎の原因 足底腱膜炎の主な原因は、足底腱膜に繰り返し過度な負荷がかかることです。具体的には、以下のような原因があげられます。 ランニングやジャンプなど足裏に衝撃を与える運動 肥満や急激な体重増加 クッション性のない靴やサイズの合わない靴の使用 長時間の立ち仕事 足のアーチ構造の異常(扁平足やハイアーチ) 加齢による足裏のクッション性の低下 これらの要因が重なると、足底腱膜に細かい損傷が生じ、炎症が慢性化しやすくなります。そのため、肥満の方や日頃から立ち仕事をしている方、スポーツ選手などはとくに注意が必要です。 なお、足底腱膜炎のときは、無理な運動を控え、自己判断による冷却や温熱なども控えましょう。 足底腱膜炎の治し方(治療法) 足底腱膜炎の代表的な治療法は、以下の5つです。 薬物療法 リハビリテーション 体外衝撃波治療 手術療法 再生医療 それぞれ詳しく見ていきましょう。 薬物療法 足底腱膜炎に対する薬物療法では、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を内服または外用し、炎症や痛みを抑えます。これにより、歩行時や立ち仕事中など、日常生活で感じる痛みを一時的に軽減できます。 また、足底腱膜炎による症状が強く、通常の生活に支障をきたしている場合には患部へのステロイド注射も検討されます。ただし、こうした薬物療法はあくまで痛みを和らげる対症療法であり、足底腱膜炎を根本から治すものではありません。 そのため、足底腱膜炎を治すためには、薬物療法とリハビリテーションをあわせて行うことが大切です。 関連記事:足底筋膜炎のステロイド注射は痛い?効果・副作用・受けるべきかを解説 リハビリテーション 足底腱膜炎を根本から改善するためには、リハビリテーションが欠かせません。 とくに、足底を支える筋力を鍛えるトレーニング、足裏やふくらはぎの柔軟性を高めるストレッチなどの運動療法が効果的です。筋力や柔軟性が向上すると、炎症の原因となる足裏への負担を軽減し、再発防止につながります。 また、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法に加え、足底を支えるインソールやサポーターを使用する装具療法も有効です。足底腱膜炎の痛みを繰り返さないよう、リハビリテーションは継続して取り組む必要があります。 体外衝撃波治療 体外衝撃波治療とは、音波の一種である衝撃波を患部に照射し、組織の修復を促して痛みを緩和する治療法です。足底腱膜に繰り返し衝撃を与えることで血流を改善し、自然治癒力を高める効果が期待できます。 ただし、体外衝撃波治療が保険適用されるのは難治性の足底腱膜炎に対する治療のみです。保存療法とリハビリテーションで症状が改善されず、慢性的な痛みが続く場合に限っての選択肢になります。 手術療法 手術療法は、保存的治療を続けても症状が改善しない重度の足底腱膜炎に対して行われる治療です。 代表的な方法として、炎症の原因となる足底腱膜の緊張を和らげる筋膜切離術があげられます。ほかにも、かかとに形成された骨の突起を取り除く骨棘(こつきょく)切除術や、内視鏡手術なども選択肢の一つです。 なお、手術は回復までに時間を要するだけではなく、合併症のリスクも伴います。そのため、基本的にはほかの治療で効果が見られない場合に限って検討される治療法です。 再生医療 再生医療は、足底腱膜炎の治療における新しい選択肢です。再生医療には、幹細胞の性質を利用して損傷部の再生を目指す幹細胞治療や、血液から抽出した血小板に含まれる多血小板血漿(PRP)を利用するPRP療法があります。 再生医療は、ほかの治療で効果が得られない場合の選択肢になります。一方で、保険適用外の治療が多いため、専門医と十分に相談した上で検討しましょう。 なお、当院の幹細胞治療では、米粒2〜3粒ほどの脂肪から治療に必要な量の細胞を培養できるため、従来の治療法と比べて身体への負担が少ない点が特徴です。 以下のページでは、再生医療について詳しく紹介しています。足底腱膜炎の治療における再生医療の可能性について知りたい方は、ぜひご覧ください。 【セルフケア】足底腱膜炎の予防方法 足底腱膜炎は、以下をはじめとする日常のセルフケアで発症や再発を予防できます。 ストレッチの実施 テーピングの実施 クッション性に優れた靴やインソールの活用 自宅で簡単にできる予防法を中心に紹介するので、ぜひ参考にしてください。 ストレッチの実施 足底腱膜炎のセルフケアとしておすすめなのが、ストレッチの実施です。足裏やふくらはぎ周辺の柔軟性を高めることで、足底腱膜への負担を軽減できます。 足底腱膜炎に効果的なストレッチ方法は、以下のとおりです。 部位 ストレッチの方法 足底筋膜のストレッチ 椅子に座ってストレッチするほうの足首を膝に乗せる 手で足指をゆっくり甲側に反らせる ふくらはぎのストレッチ 片方の足を後ろに大きく引く 前に出している足の膝に両手を置く ゆっくりと重心を前方に移動させる アキレス腱のストレッチ 片方の足を後ろに引く 前に出している足のひざをゆっくり曲げる 後ろに引いている足のアキレス腱が伸びているのを確認しながら、30〜60秒間キープする 歩行時や立ち仕事の際に痛みがある場合、該当する部位のストレッチは避けてください。また、事故やケガを防ぐためにも、滑りにくい床、かつ障害物がない場所で行うようにしてください。 テーピングの実施 足の状態に合わせたテーピングは、足裏への負担軽減と正しいアーチ保持に効果的です。 扁平足の場合は土踏まずが低下してかかとが内側に倒れやすくなる一方で、ハイアーチの場合はかかとが外側に倒れて足底腱膜に負担がかかりやすくなります。そのため、テーピングはそれぞれの足の状態に適した方法で実施しましょう。 足の状態 テーピングの方法 扁平足 外側のくるぶしの下あたりからかかとに向かって斜めにテープの端を貼る かかとから内側のくるぶしまで通るようにテープを貼る 足首の前側を通り、すねの外側まで貼る ハイアーチ かかとの外側から母趾の付け根まで足裏にテーピングを貼る 足の状態に合わせたテーピングの実施によって、足底腱膜炎によるトラブルを防げます。 クッション性に優れた靴やインソールの活用 足底腱膜炎を予防するためには、クッション性の高い靴や専用インソールの活用が効果的です。足底腱膜に過剰な負担がかからないよう、衝撃を吸収したり、アーチを補正したりする必要があるからです。 自分に合った靴を選ぶ際は、クッション性だけではなく、長さと横幅、甲やアーチの高さなども考慮してください。また、扁平足の場合は、母趾側を高くしてかかとが内側に倒れないようにしたり、土踏まずを高くしたりするようなインソールを使用しましょう。 なお、自分の足に合った靴やインソールを選ぶ際は、専門の医療機関への相談がおすすめです。 足底腱膜炎は過度な負荷を避けて重症化を防ごう 足底腱膜炎は、かかとや土踏まずなどに痛みが生じる疾患です。初期段階であればセルフケアによって改善できる可能性が高く、クッション性に優れた靴やインソールの使用は足底腱膜炎の予防にもつながります。 足底腱膜炎は痛みを我慢して運動や仕事を続けると、症状が悪化する恐れがあるため注意が必要です。まずは無理せず足を休ませ、足底腱膜への負担軽減を意識しましょう。痛みが長引いたり症状が悪化したりする場合は、重症化を防ぐために早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。足底腱膜炎の症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 足底腱膜炎に関するよくある質問 足底腱膜炎のときは歩かないほうがよいですか? 足底腱膜炎の急性期で炎症や痛みが強いときは、無理に歩かず安静にする必要があります。痛みが軽減してきたら、負荷の少ないウォーキングなどから徐々に再開しましょう。無理な運動は悪化につながるため、段階的に歩く時間を増やすようにしてください。 足底腱膜炎で病院へ行くべき目安は? 安静にしていても痛みが続く場合や、歩くたびに痛みがある場合は、症状が悪化している可能性があります。重症化を防ぐためにも、自己判断で放置せず、早めに整形外科などの医療機関を受診しましょう。 関連記事:【医師監修】足底腱膜炎とは|症状・原因から治し方までわかりやすく解説 足底腱膜炎はスポーツや仕事を休むべきですか? 足底腱膜炎を発症後の休養期間は、症状の度合いによって数日から数カ月と大きく異なります。 痛みが強い時期に無理してスポーツや仕事を続けると、炎症が悪化するリスクがあるため注意が必要です。基本的には、まず患部を安静にし、痛みが軽減してから徐々に活動を再開していきます。必要に応じて医師に相談しながら復帰計画を立てましょう。
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前十字靱帯断裂後のサッカー選手の復帰はいつ?受傷の原因や放置するリスクを解説
「前十字靱帯を断裂したサッカー選手はいつ復帰できる?」 「放置したままにするとどうなる?」 「適切な治療方法やリハビリスケジュールを知りたい」 前十字靱帯断裂後のスポーツ復帰の目安は平均8カ月後です。ただし、ケガの程度や手術の方法などによって目安は異なります。 本記事では、前十字靱帯断裂に関する以下のことをサッカーに焦点を当てて解説します。 受傷の原因 放置するリスク 治療方法 リハビリスケジュール 復帰の目安 予防エクササイズ 再断裂のリスクを下げるための評価方法についても解説しています。サッカーにおける前十字靱帯断裂について、理解を深めるために本記事を参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 スポーツ外傷でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 サッカーは前十字靱帯断裂が多いスポーツ サッカーは以下のような特性があることから、前十字靱帯断裂が多いスポーツです。 プレイ中に900回前後の方向転換に加えて、さまざまな動作を繰り返す 急激な加速や減速、別方向への加速など緩急が激しい キックやトラップなど片足立ちになる場面が多い 受傷する男女比は女性に多い傾向です。前十字靱帯を損傷した有名なサッカー選手には、元日本代表の城彰二選手や小野伸二選手などが挙げられます。 サッカー選手によくある前十字靱帯断裂の受傷の原因 サッカーでは、以下のようなプレイにより前十字靱帯断裂を受傷することが多いです。 ディフェンス時のプレッシング動作 ボールに対するキック動作 ジャンプからの着地 受傷状況には、接触プレーと非接触プレーがあります。接触プレーでは「相手からタックルが入った」「ジャンプの着地時に相手の足が絡んだ」などの状況で受傷する場合があります。 一方、非接触プレーでは「急に方向転換をしたとき」「ジャンプの着地時に足をひねった」などの状況です。接触プレーよりも、非接触プレーのほうが受傷する割合が多いとの報告があります。(文献1) 前十字靱帯断裂後の症状と放置するリスク 前十字靱帯を断裂した直後は「ブチッ」と切れたような音や、膝が外れたような感覚が現れます。この状態は、前十字靱帯に緊張がない状態です。 この状態のままだと、スポーツの動作だけでなく日常生活の動作でも「ガクッ」と膝くずれのような現象が生じるようになります。さらに放置していると、関節の中にある半月板や軟骨を損傷してしまうおそれがあり、変形性膝関節症を引き起こしてしまうリスクがあります。 変形性膝関節症は高齢者に多い病気です。しかし、前十字靱帯の断裂や損傷により、若い人でも引き起こすことがあります。 サッカー選手における前十字靱帯断裂の治療方法 前十字靱帯断裂が自然治癒することはほぼありません。そのため、多くの場合に再建術という手術療法を行う必要があります。再建術とは、自分の体にある腱を採取して断裂部位に移植する治療方法です。とくに前十字靱帯断裂を受傷したサッカー選手は、運動能力を回復させるためにも再建術が必要です。 再建術には、以下のようにいくつか種類があります。 ハムストリング腱を用いた再建術 骨付き膝蓋腱を用いた再建術 以下では再建術の一例を解説します。 ハムストリング腱を用いた再建術 再建術の中で最も多く用いられる、膝のハムストリング腱を用いた方法です。 ハムストリング腱を用いて行われる関節鏡視下再建術では、切開は最小にでき、合併症も少ないとされています。術後の経過も安定しており、有効な手術療法として確立しています。 骨付き膝蓋腱を用いた再建術 膝の骨付きの腱を用いた再建術です。復帰を目指すアスリートや膝の安定性を重視する場合、また再建術後に再断裂した場合などに適応となることがあります。 膝の骨付きの腱を用いるメリットは、腱の移植後、骨癒合(こつゆごう:骨がくっ付くこと)までの期間が短く、腱が固定するのが早いことです。 また、正常の前十字靱帯より強い引っ張り強度があるとされています。主なデメリットとしては、傷が大きく術後早期の痛みが強いことです。加えて、腱を採取した部位の骨折や感染、断裂のリスクなどが高まってしまいます。 自身の細胞を用いた再生医療 前十字靱帯断裂の治療において、再生医療も選択肢の1つです。再生医療とは、患者様自身の細胞を用いて、体の自然治癒力を高める治療方法です。 再生医療には、主に幹細胞治療とPRP療法の二つがあります。 幹細胞治療は、自己の幹細胞を採取・培養して患部に投与する治療法です。一方、PRP療法は、自己の血液から血小板を濃縮した液体を作製し、患部に注射する治療法です。血小板に含まれる成長因子などには、組織の修復を促し、炎症を抑える働きがあります。 再生医療は前十字靱帯断裂だけなく、半月板損傷やテニス肘、ゴルフ肘など、さまざまなスポーツ外傷に活用されています。 前十字靱帯再建後のサッカー選手のリハビリスケジュール 前十字靱帯再建後のサッカー選手のリハビリスケジュールの一例は、以下の通りです。 時期 リハビリメニュー 手術翌日 足関節運動 1〜2週目〜 足上げ(股関節屈曲)、足の横上げ(股関節外転)、足の後ろ上げ(股関節伸展) 3週目〜 膝の伸展運動、静止スケーティング 5週目〜 レッグカール、ハーフスクワット 7週目〜 静止自転車、カーフレイズ、踏み台昇降 9週目〜 膝伸展運動、階段昇降、速歩 13週目〜 ハーフスクワット、片足スクワット、レッグプレス、レッグカール、水中歩行 以上のように経過に応じて徐々にリハビリの強度を上げていきます。ただし、以上のリハビリの時期はあくまでも一例です。手術の方法や状態によって異なります。 また、時期に応じて膝の可動域やかけてもよい体重などの制限があります。医師の指示通りにリハビリを進めてください。 前十字靱帯断裂を受傷したサッカー選手の復帰目安 前十字靱帯断裂後に再建術を実施したサッカー選手の競技復帰の目安は、平均8カ月後です。(文献2)個人差があり5〜12カ月と幅があります。再建術後の再断裂のリスクは、2年以内が最も高いとされています。(文献3) そのため、期間よりも以下のような機能にもとづいた復帰の判断が重要です。 片足ジャンプの左右差が10%未満 健康な方の脚と比較して筋肉の出力が90%を超える ケガをした脚に不安感がない 復帰を焦らず経過に応じたリハビリを進めていきましょう。 サッカー選手が前十字靱帯断裂を予防するエクササイズ サッカーの外傷や障害予防プログラムとして「FIFA11+」が推奨されています。 例えば、以下のようなエクササイズを動画で紹介しています。 ベンチスタティック サンドイッチスタティック スクワット+トゥレイズ ここでは、エクササイズの一例の詳細を解説します。 ベンチスタティック ベンチスタティックは体幹の筋肉を強化するエクササイズです。体幹の筋肉を強化するとあらゆる動きの安定性の向上につながります。 ベンチスタティックの手順は以下の通りです。 うつ伏せになる 脇を閉じて前腕が地面に付くようにする 肘は肩の真下にする 足先と前腕で体を持ち上げる 上体、骨盤、脚を上げて頭から脚を一直線にする この体勢を20〜30秒間維持します。頭を後ろに反らしたり、背中が丸まったりしないように注意してください。3セットを目安に行いましょう。 サンドイッチスタティック サンドイッチスタティックは、体幹の側面の筋力を強化するエクササイズです。体幹の側面の筋肉を強化すると、横方向への動きや回転動作の安定性の向上につながります。 サンドイッチスタティックの手順は以下の通りです。 横向きに寝て下側の膝を90°に曲げる 下側の前腕と脚で体を支える 肘は肩の真下にする 骨盤と上側の脚を上げる 上側の肩、骨盤、脚を一直線にする この体勢を20〜30秒間維持します。肩と骨盤を前後に傾けないようにしてください。両側を各3セットずつ行いましょう。 スクワット+トゥレイズ スクワット+トゥレイズは、ハムストリングや下腿の筋肉の強化に加えて、膝や足首の動きのコントロール能力の向上を期待できます。 両足を肩幅に合わせてまっすぐ立ち、両手を腰に当てる ゆっくりと腰を下ろし、膝が90°になるまで曲げる そこから上体、股関節、膝を伸ばして立位に戻していく 膝が完全に伸びたらつま先立ちになる 再びゆっくりと曲げていく この動作を30秒間続けます。膝を内側に入れず、頭を後ろに反らさないようにしてください。2セットを目安に行いましょう。 まとめ|前十字靱帯再建後は復帰を焦らずリハビリに取り組もう サッカーはプレイ内容の特性上、前十字靱帯断裂を受傷しやすいスポーツです。接触プレーよりも「急に方向転換をしたとき」「ジャンプの着地時に足をひねった」などの非接触プレーのほうが、受傷原因として多いと報告があります。 復帰までの期間は平均8カ月ほどです。再建術後2年以内は再断裂のリスクが高いといわれています。再断裂のリスクを下げるためには、両足の筋力や機能の左右差がほとんどなくなるまで、リハビリに取り組むことが重要です。焦らずに医師やリハビリスタッフと相談しながら、回復の時期に応じたリハビリを行いましょう。 前十字靱帯断裂などスポーツ外傷の治療方法として、再生医療という選択肢もあります。再生医療について詳しくは、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEをご確認ください。 サッカーにおける前十字靱帯断裂に関するよくある質問 前十字靱帯断裂したままスポーツは可能? 前十字靱帯を断裂したままのスポーツは困難であり危険です。 関節の安定性が損なわれており容易に膝くずれが起きてしまうためです。適切な治療を受け、医師の許可が出てからスポーツを再開しましょう。 前十字靱帯断裂したらサッカーは引退? 前十字靱帯断裂が必ずしも引退につながるわけではありません。 適切な治療とリハビリにより復帰しているサッカー選手はいます。 参考文献 (文献1) 膝前十字靱帯損傷のリハビリテーション|中外医学社 (文献2) Jリーグ選手の膝前十字靱帯再建後の復帰について~膝最大伸展位での移植腱固定による靱帯再建術~|日本臨床スポーツ医学会誌 (文献3) 前十字靱帯断裂〜スポーツ復帰までの道のり〜|佐賀大学医学部附属病院
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前十字靭帯断裂とは|症状・原因・手術をしないリスクまで現役医師が解説
前十字靭帯は損傷率が高い靭帯で、断裂するとスポーツだけでなく日常生活にも支障をきたす可能性があります。断裂した場合、自然治癒は難しいため、違和感を覚えた際は早めの受診が大切です。 本記事では、前十字靭帯断裂の概要や原因、症状について解説します。治療法や予防策もまとめているので、前十字靭帯断裂の疑いがある方は、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 前十字靭帯断裂に関する気になる症状が見られる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 前十字靭帯断裂とは 前十字靭帯断裂とは、大腿骨(だいたいこつ)とす脛骨(けいこつ)をつなぐ靭帯が部分的または完全に断裂する疾患です。前十字靭帯には膝を安定する役割があり、正常に機能することでジャンプや方向転換などが可能になります。 前十字靭帯が断裂すると膝関節が不安定になるため、ジャンプやひねる動作に加えて、歩行や走行にも支障をきたします。膝の外傷の中でも、前十字靭帯は損傷率が高い靭帯であり、好発年齢は15歳~45歳です。(文献1) 前十字靭帯は主にスポーツ選手に多い疾患で、断裂した場合、自然治癒は難しいため手術が必要になります。 なお、膝には前だけでなく後ろにも十字靭帯が存在しています。前と後ろ、どちらかが機能しなければ人は膝を安定して動かせません。前と後ろどちらの十字靭帯が断裂しているのか知るためには、医療機関で診断を受ける必要があります。 前十字靭帯断裂と損傷の違い 前十字靭帯の断裂と損傷では、治療法や回復期間が異なります。損傷は、前十字靭帯の一部が伸びていたり切れたりしている状態です。損傷といっても、程度は軽度から重度までさまざまで、場合によっては手術が必要になります。 対して、断裂とは前十字靭帯が部分的もしくは完全に切れてつながっていない状態です。断裂すると靭帯の機能が失われるため、膝の関節が不安定になり、運動だけでなく日常生活にも支障をきたします。前十字靭帯の断裂と損傷いずれの症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 前十字靭帯断裂の症状 前十字靭帯を断裂した場合、症状は損傷の程度によって異なります。 主な症状は、以下の通りです。 状態 主な症状 受傷直後 膝のズレ・ひねった感じがする 膝の中でプツッという音が聞こえる 膝内部に血液が溜まり、膝が腫れ上がる 立ち上がれないほど強い痛みが生じる 膝崩れが起こる 断裂した場合 強い痛みが生じる 膝が腫れ上がる 膝の曲げ伸ばしができなくなる 立ったり歩いたりできなくなる 膝崩れを繰り返す 安静時も痛む場合がある 前十字靭帯を断裂した場合、時間が経つと痛みが治まる場合もあります。しかし、時間の経過とともに、膝が不安定になり運動や生活をしている中で膝が崩れるような「膝崩れ」が起こる場合があります。 前十字靭帯断裂の原因 前十字靭帯が断裂する原因はさまざまで、スポーツ中に受傷するだけではありません。主な原因には、以下の3つが考えられます。 サッカーやバスケなどで行う動作 スポーツや交通事故による衝突 ホルモンバランスによる影響 それぞれの原因について、以下で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 サッカーやバスケなどで行う動作 前十字靭帯断裂はジャンプや方向転換、着地時など、非接触によって発生します。前十字靭帯に強い力が加わることで断裂します。 前十字靭帯が断裂する原因となる具体的な動きは、以下のとおりです。 サッカーでドリブルをしている途中、急に方向転換する 相手をかわすために不安定な姿勢のまま方向転換する フェイクを入れるために急停止する リバウンドやブロック、スパイクの際にジャンプする ターンの際に膝をねじる サッカーやバスケなどのスポーツをしている場合、前十字靭帯が断裂する可能性があります。 スポーツや交通事故による衝突 前十字靭帯は、接触時に断裂する場合があります。ラグビーや柔道など、相手との接触があるコンタクトスポーツや交通事故も、前十字靭帯が断裂する原因の1つです。 前十字靭帯が断裂する原因となる具体的な動きは、以下のとおりです。 ラグビーでタックル・スクラムを行う ラグビーやアメリカンフットボールでブロックを行う 柔道で投げ技や受け身を行う 車と衝突する いずれも接触により膝に負担がかかるため、前十字靭帯が断裂する場合があります。 ホルモンバランスによる影響 前十字靭帯が断裂する原因には、女性ホルモンバランスの乱れも挙げられます。前十字靭帯の損傷は、男性に比べて女性の受傷率が2〜8倍ほど高いことが報告されています。(文献1)靭帯はコラーゲン繊維が密集して構成されているため、コラーゲン合成が欠かせません。 女性ホルモンの一つであるエストロゲンの値が高いと、コラーゲン形成や線維芽細胞増殖が減少し、靭帯や関節が不安定になります。(文献2)そのため、女性は前十字靭帯断裂のリスクが生じやすい傾向にあります。 前十字靭帯断裂で手術をしないとどうなる?放置するリスク 前十字靭帯断裂は、自然治癒が困難であり、放置すると再断裂のリスクが高くなります。また、放置により膝の関節が不安定化し、半月板損傷や変形性膝関節症になる可能性があります。 半月板損傷は膝の軟骨が損傷する疾患で、変形性関節症は膝関節が変形する疾患です。前十字靭帯を断裂した場合は、これらの二次的な障害を防ぐためにも、適切な治療の検討が重要です。 前十字靭帯断裂における全治までの期間 前十字靭帯断裂の場合、手術やリハビリが必要なため全治期間は8〜10カ月ほどかかります。手術を行う場合、4〜7日ほどの入院が必要です。 また、術後は移植した腱が負担に耐えられるようになるまでには3カ月程度かかります。それまでは激しい運動を避けなければなりません。再発を予防するためにも、医師や理学療法士などの指導を受けながら適切な治療を行いましょう。 前十字靭帯断裂の治療法 前十字靭帯を断裂した場合、適切な治療を受けることが大切です。主な治療法には、以下の3つが挙げられます。 保存療法 手術療法 再生医療 ここでは、各治療法について紹介するので、ぜひ参考にしてください。 保存療法 前十字靭帯断裂の場合、手術しなければ症状回復は困難です。しかし、年齢によっては手術の負担を考慮し、保存療法で症状のコントロールを目指す場合があります。 前十字靭帯断裂時の保存療法は、以下のとおりです。 可動域訓練・大腿四頭筋訓練などの運動療法 電気療法や温熱療法などの物理療法 サポーター・支柱付き装具を使用した装具療法 内服薬や外用薬などの薬物療法 保存療法で十分な効果が得られない場合や、競技復帰を目指す場合は、手術治療を検討します。 手術療法 手術は、患者自身の身体の他部分から腱を採取し、前十字靭帯の代わりとして移植する再建術が行われます。基本的には、膝に小さな穴を数か所開けて、そこから膝関節鏡や手術器具を挿入します。 手術後は手術した部分がしびれたり、感覚が鈍くなったりする場合があるほか、可動域制限が起こる可能性があるため、決められた範囲内のリハビリが大切です。なお、状態にもよりますが、一般的には術後2日目から本格的にリハビリが開始されます。 再生医療 再生医療は、前十字靭帯断裂の治療法の1つです。当院リペアセルクリニックでは、自己脂肪由来の幹細胞を用いた治療が行われます。 幹細胞治療とは、自身の身体から採取した幹細胞を外部で増殖させ、所定の量に達したら再び身体に戻す治療法です。幹細胞を採取する際は、おへその横からごくわずかな脂肪を採取するため、身体への負担を最小限に抑えられます。 幹細胞治療は入院・手術を必要とせず日帰りの施術が可能なため、治療期間の短縮が期待できます。手術せず治療を受けたい場合に、再生医療はおすすめです。 前十字靭帯断裂の予防策 前十字靭帯断裂をした場合、治療に時間がかかるため引き起こさないよう予防が大切です。予防法には、膝関節の安定性を高めるトレーニングが必要になります。 大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や太ももの裏側の筋肉となるハムストリングス、ふくらはぎの筋肉が膝関節を支えているため、トレーニングで鍛えましょう。 前十字靭帯断裂の予防策としては、以下のトレーニングが効果的です。 スクワット ランジ ストレッチ バランストレーニング トレーニングは無理のない範囲で行うことが重要です。前十字靭帯断裂のリスクを軽減するためにも、膝関節の安定性を高めるトレーニングを実施しましょう。 前十字靭帯断裂の悪化を防ぐためには早めの受診が重要 前十字靭帯断裂は主にスポーツ選手が引き起こす疾患で、自然治癒するのは難しいため治療が必要になります。主な原因にはスポーツのほか、交通事故やホルモンバランスも挙げられます。 手術をしないで放置すると、スポーツ活動だけでなく、日常生活に支障をきたすため、疑いがある場合は早めの受診が重要です。 治療法には手術のほか、再生医療もあるため、自分にあった方法で前十字靭帯断裂の症状回復を目指しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。前十字靭帯断裂について気になる症状が見られる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 前十字靭帯断裂に関するよくある質問 前十字靭帯断裂でスポーツ・立ち仕事復帰までの期間はどのくらいですか? 前十字靭帯断裂の場合、スポーツ復帰は術後6カ月〜1年が目安です。無理をすると、再断裂や半月板損傷のリスクが高まるため注意しなければなりません。 復帰までの期間には個人差があるため、医師と相談しつつリハビリを行い、早期復帰を目指しましょう。 また、仕事復帰はデスクワークや軽作業の場合で1カ月ほどが目安です。立ち仕事や重いものを運ぶ場合、復帰までには3カ月ほどかかるケースもあります。 前十字靭帯断裂で歩けるまでの期間はどのくらいですか? 前十字靭帯断裂の手術をした場合、松葉杖を使用すれば手術翌日から歩けます。松葉杖なしで歩けるようになるまでには、2週間〜1カ月ほどが目安です。 また、膝の不安定さに懸念がある場合は、サポーターを使用するケースもあります。したがって、日常生活に戻るまでには、早くても2週間ほど時間を要する点を理解しておきましょう。 前十字靭帯断裂は術後に再断裂の可能性がありますか? 前十字靭帯断裂の手術をしたからといって、必ずしも再断裂しないとは言い切れません。前十字靭帯は一度断裂すると膝の不安定感が強いため、手術後も再断裂の可能性があります。 とくに、術後6カ月〜1年は再断裂に注意が必要です。再断裂しないためにも、膝関節を安定させるトレーニングを無理のない範囲で行うことが大切です。 参考文献 文献1 日本臨床スポーツ医学会誌|当院の膝前十字靱帯損傷症例における受傷状況の調査 文献2 J-STAGE|A Greater Reduction of Anterior Cruciate Ligament Elasticity in Women Compared to Men as a Result of Delayed Onset Muscle Soreness
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【医師監修】潰瘍性大腸炎が再燃するきっかけとは?主な原因や避けるポイントを解説
「潰瘍性大腸炎が再燃するきっかけは何なのか」「日常生活において注意する点はあるのか」と、不安を感じている方もいるでしょう。 潰瘍性大腸炎の再燃には、ストレスや過労、感染症などが関与するケースがある一方で、明確な原因がわからない場合もあります。再燃のきっかけになりやすい要因を知っておくと、日常生活の中での備えとなるでしょう。 本記事では、潰瘍性大腸炎が再燃するきっかけを解説します。再燃のきっかけを減らすポイントや受診の目安もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。潰瘍性大腸炎について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【再燃する?】潰瘍性大腸炎のメカニズム 潰瘍性大腸炎は、症状が一度落ち着いても炎症が再び活性化しやすく、再燃を繰り返しやすい病気です。明確な原因は解明されていませんが、複数の要因が関与していると考えられています。 考えられている要因は、以下のとおりです。 体質 遺伝的な要素 免疫反応の異常 食生活の変化 環境の変化 など 免疫の働きが過剰になることで腸に炎症が起こり、完全に治まりきらない状態が続くケースがあります。治療によって症状が改善しても、免疫バランスの変化や体調の影響を受けて腸の炎症が再び強まり、下痢や血便などが再発する場合もあります。 このように、寛解と再燃を繰り返しやすい点が潰瘍性大腸炎の特徴です。根治が難しい病気であることから、症状が落ち着いたあとも治療を継続し、経過観察が重要とされています。 潰瘍性大腸炎における再燃のきっかけ 潰瘍性大腸炎における再燃のきっかけには、ストレスや慢性的な疲れなどがあります。以下でそれぞれ見ていきましょう。 ストレス 潰瘍性大腸炎における再燃のきっかけの一つとして考えられているのが、ストレスです。強いストレスがかかると自律神経のバランスが乱れ、免疫の働きにも影響を与えると考えられています。その結果、腸の働きに負担がかかり炎症が悪化しやすくなる可能性があります。 また、精神的なストレスが続くと食欲の低下や睡眠不足につながる場合もあるでしょう。生活習慣の乱れが重なると、体の回復力が低下し、症状が再燃するケースも見られます。 日常生活のなかで、ストレスを溜め込みすぎないようにし、自分に合った方法でうまく向き合っていくことが再燃リスクを抑えるうえで大切です。 慢性的な疲れ 忙しさや無理が続いたあとに、潰瘍性大腸炎の症状が再燃する人も少なくありません。疲労が蓄積すると、体の回復力が十分に働かなくなり、炎症を抑える力が弱まりやすくなるためです。その結果、腸の状態が安定しにくくなり、症状が再燃する可能性があります。 睡眠不足や過労が続いたあとに、腹痛や下痢などの症状が再び現れるケースも見られます。日頃から無理をせず、疲れを溜め込まない生活リズムを意識しましょう。 感染症 感染症は、潰瘍性大腸炎における再燃のきっかけの一つです。風邪やインフルエンザなどの感染症にかかると、体に負担がかかり、免疫バランスが変化します。その影響で腸の炎症が再び活性化し、再燃につながる可能性があります。 過去の報告では、潰瘍性大腸炎の再燃時には、風邪などの感染症(上気道感染)が誘因として認められました。(文献1)感染症が流行する時期には、体調管理や予防を意識し、違和感を感じたら早めに対処することが大切です。 特発性の再燃(原因不明) 潰瘍性大腸炎は、ストレスや疲労など明らかなきっかけがなくても再燃する場合があります。潰瘍性大腸炎は発症の原因や再燃のきっかけが完全には解明されておらず、体質や免疫バランスの変動など、目に見えない要因が影響していると考えられるためです。 とくに思い当たる出来事がないにもかかわらず、下痢や血便、腹痛などの症状が現れるケースも珍しくありません。また、潰瘍性大腸炎は長期間にわたり炎症が続くと、大腸がんリスクが高まる可能性があるとされており、適切なフォローが必要です。 原因がはっきりしない再燃も起こり得るため、違和感を覚えた際は早めに医療機関を受診しましょう。 潰瘍性大腸炎における再燃のきっかけを減らすポイント 潰瘍性大腸炎における再燃のきっかけを減らすポイントは以下のとおりです。 規則正しい生活を心がける ストレスを溜め込みすぎない 症状が良くなっても服薬を続ける 以下で詳しく見ていきましょう。 規則正しい生活を心がける 規則正しい生活を意識することは、再燃のきっかけを減らすポイントの一つです。不規則な生活や睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなります。その影響で腸の働きや体の回復力が低下し、症状が改善しにくくなる場合があります。 脂っこい食べ物やアルコールなどの刺激物を控え、栄養バランスを意識した食事を心がけることが大切です。また、寝不足などの生活リズムの乱れが続くと、再燃のきっかけになる可能性があるため、十分な睡眠を確保することが予防につながります。 日々の食事や睡眠、生活バランスを整えて腸の負担を減らし、再燃のきっかけを減らしていきましょう。 ストレスを溜め込みすぎない ストレスを上手にコントロールするのは、潰瘍性大腸炎における再燃のきっかけを減らすうえで意識しておきたいポイントです。強いストレスや緊張が続くと、自律神経や免疫機能のバランスに影響を与え、腸の働きが乱れやすくなると考えられているためです。 精神的な負担が続くと、睡眠の質が低下したり、食欲が落ちたりする場合もあります。こうした状態が重なると、体の回復力が低下して症状が再燃するケースも見られます。 日常生活の中でストレスを抱え込みすぎないように意識し、適度にリフレッシュする時間を取り入れて、再燃のきっかけを減らしましょう。 症状が良くなっても服薬を続ける 症状が落ち着いてからも服薬を続けるのは、潰瘍性大腸炎における再燃のきっかけを防ぐために欠かせません。潰瘍性大腸炎では、症状が落ち着いている状態でも、腸の炎症が完全に治っていない場合があるためです。 治療薬は、症状を抑えるだけでなく、炎症をコントロールし再燃を防ぐ目的で処方されています。このため、症状が軽くなったと感じた場合でも、医師の指示に従って服用を続けることが重要です。薬の変更や中断を検討したいときは、自己判断せず、必ず医師に相談しましょう。 潰瘍性大腸炎の再燃が疑われるときの受診タイミング 潰瘍性大腸炎の再燃が疑われる症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診してください。下痢や腹痛、血便などの症状が以前より強くなっているケースや、体調の変化が数日続いているときは、腸の炎症が再び悪化している可能性があります。 たとえば、排便回数が増えた、腹痛が続く、少量でも血便が出るといった変化があるときは、再燃の前兆の場合もあります。早い段階で医療機関を受診し、必要に応じて治療を受けると、重症化を防ぎやすくなるでしょう。 潰瘍性大腸炎における再燃のきっかけを知り早めに医療機関を受診しよう 潰瘍性大腸炎は、ストレスや慢性的な疲れ、感染症などがきっかけで再燃する恐れがあります。一方で、明確な原因がわからないまま、再燃するケースも見られます。 日常生活において、規則正しい生活を心がけたり、ストレスを溜め込みすぎたりしない工夫をすることも大切です。また、症状が落ち着いていても、医師の指示に従って服用を続けましょう。 腹痛や下痢、血便などの体調の変化が数日続く場合は、再燃のサインの可能性があります。症状が軽いと感じても、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。潰瘍性大腸炎について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎の再燃に関するよくある質問 潰瘍性大腸炎が再燃する前兆はありますか? 潰瘍性大腸炎が再燃する前兆には、下痢や血便、腹痛などの症状が現れる場合があります。排便回数の増加や少量の出血、腹痛が続くなど、いつもと違う小さな変化が前触れとなるケースもあるため、違和感を覚えたら早めに医師に相談しましょう。 潰瘍性大腸炎が再燃したときの食事は何に気を付けたらよいですか? 潰瘍性大腸炎が再燃した際は、腸への負担を抑えた食事を意識することが大切です。脂っこい食べ物や香辛料、アルコールなどの刺激物は控え、消化のよい食事を選びましょう。 冷たい飲み物を避けたり、一度にたくさん食べ過ぎたりしないよう、注意することも大切です。食事内容に不安がある場合は、自己判断せず医師に相談しながら調整するとよいでしょう。 参考文献 (文献1) 潰瘍性大腸炎における緩解維持療法と再燃の誘因の分析|日本消化器内視鏡学会雑誌
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【医師監修】潰瘍性大腸炎と診断された芸能人一覧|実例からわかる特徴や予後を解説
「潰瘍性大腸炎と診断された芸能人を知りたい」 「潰瘍性大腸炎と診断された芸能人はどのようにして活動を継続しているのか?」 潰瘍性大腸炎と診断され、この先どうしていくべきか漠然とした不安を抱えている方は少なくありません。潰瘍性大腸炎は難病に指定されているため、現在の医学では症状の改善は期待できるものの、完治は困難とされています。 2023年の調査によると、日本における潰瘍性大腸炎の患者数は146,702人と報告されています。(文献1) 患者の中には芸能人も含まれており、どのように芸能活動を継続しているのか気になる方も多いでしょう。 本記事では、現役医師が潰瘍性大腸炎と診断された芸能人を一覧で紹介し、実例からわかる症状の特徴や予後を詳しく解説します。 記事の最後には潰瘍性大腸炎の芸能人に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 潰瘍性大腸炎の症状にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎を公表している芸能人一覧 芸能人一覧 詳細 井澤こへ蔵(俳優) 大学在学中に血便を契機として潰瘍性大腸炎と診断、再燃と寛解を繰り返しながら治療と俳優活動を両立している経験 若槻千夏(女優・モデル) 若年時に潰瘍性大腸炎を発症し、体調悪化による休養と治療を経て芸能活動に復帰した体験 高橋メアリージュン(女優・モデル) 多忙な生活の中で潰瘍性大腸炎を発症し、食事管理や治療を続けながら仕事を継続している実例 岸明日香(グラビアアイドル) 潰瘍性大腸炎による体調不良を公表し、治療と並行して芸能活動に取り組む姿勢 天羽希純(グラビアアイドル) 潰瘍性大腸炎による入退院や活動制限を経験しつつ、病状と向き合いながら復帰を目指す経過 MACO(シンガー・ソングライター) 潰瘍性大腸炎の診断後、体調管理を優先しながら音楽活動を継続している経験 IKE(ミュージシャン) 潰瘍性大腸炎による長期療養と手術を乗り越え、ステージ復帰を果たした闘病経験 もこう(ゲーム実況者) 潰瘍性大腸炎による症状や治療経過を発信しながら活動を続けている体験談 潰瘍性大腸炎は、再燃と寛解を繰り返す慢性炎症性腸疾患であり、治療の継続と生活調整が重要です。 芸能人の実例からもわかるように、発症時期や症状の重さ、治療経過は個人差があります。一方で多くの患者が休養や治療を経て社会・芸能活動に復帰されています。 潰瘍性大腸炎において、適切な薬物療法を継続し、自己判断で治療を中断せずに通院の継続が大切です。体調に応じた働き方の工夫が、長期的な病状安定と生活の質の維持において欠かせません。 井澤こへ蔵(俳優) 井澤こへ蔵さんは、大学3年の12月に血便をきっかけに受診し、内視鏡検査により潰瘍性大腸炎と診断されたことをブログで公表しています。 5-ASA製剤(アサコール)による治療を開始しましたが、自己判断で服薬を中断した時期もありました。 その後、再燃と寛解を繰り返し、2022年11月には下痢・血便を伴う再燃を経験して療養に専念しました。 現在は病気と向き合いながら俳優活動や社会発信を続けており、慢性疾患との共存を体現されています。 若槻千夏(女優・モデル) 若槻千夏さんは、過去に神経性胃炎および潰瘍性大腸炎と診断されました。そのため、体調不良により入院・療養が必要となり、出演予定の番組をキャンセルして一時的に芸能活動を休止したことが公表されています。 治療と休養を経て活動に復帰されており、長期にわたり病気と向き合ってこられた経過がうかがえます。 著名人による公表は、潰瘍性大腸炎という慢性疾患への理解促進や、患者が治療と社会生活を両立する重要性を社会に伝える一助といえるでしょう。 高橋メアリージュン(女優・モデル) 高橋メアリージュンさんは、2013年に自身のSNSで潰瘍性大腸炎の治療中であることを公表され、2014年には難病指定疾患であることを改めて明らかにされました。 頻回の排便や外出時のトイレへの不安など、日常生活への大きな支障を発信されています。 その後、治療により症状が改善し、2019年には長期間寛解状態にあると報告されました。 一方で再燃の可能性にも言及され、病気と向き合いながら治療を継続する姿勢を示されています。 岸明日香(グラビアアイドル) 岸明日香さんは、2020年に自身のSNSで高校時代から潰瘍性大腸炎を患っていることを公表されました。 潰瘍性大腸炎は完治が難しく再燃を繰り返す疾患である点に触れ、理解と認知の重要性を発信されています。 発症は若年期とみられますが、詳細な治療経過は公表されていません。ご本人は現在の体調について「良好」と述べられる一方、ストレスにより悪化しやすい疾患特性を踏まえ、再燃への注意を払いながら活動を続けられています。 天羽希純(グラビアアイドル) 天羽希純さんは、2023年に自身のSNSで潰瘍性大腸炎を患っていることを公表されました。 腹痛や体調の波があり「症状が重い時には日常生活が困難になることもある」と症状について率直に明かしました。 一方で、薬物治療を継続すれば通常の生活が可能である点にも触れ、疾患の特性を丁寧に説明されています。 体調により一時的な活動制限を行う可能性はあるものの、療養と両立しながらアイドル活動を続ける意思を示されています。 MACO(シンガー・ソングライター) MACOさんは、2021年に自身のYouTubeチャンネルで潰瘍性大腸炎を患っていることを公表されました。 19歳頃から原因不明の腹痛を繰り返し、重症化した時期にはツアー中に入院を余儀なくされるなど、身体的・精神的に大きな負担を経験されています。 その後は治療と生活習慣の調整を行い、体調と相談しながら音楽活動を継続されています。 IKE(ミュージシャン) IKEさんは、SPYAIRのボーカルとして活動する中で潰瘍性大腸炎が再燃し、療養を優先するため2022年にバンドを脱退されたことを公表されました。 2019年に発症し一時は寛解したものの、その後再燃し活動継続が困難と判断された経緯があります。 治療と休養を経て体調の安定を図り、2023年以降はご自身のペースで音楽活動を再開されています。 もこう(ゲーム実況者) もこうさんは、中学生時代に潰瘍性大腸炎を発症し、腹痛や血便をきっかけに長期入院治療を受けた経験を公表されています。 発症当時は頻回の排便や便意の制御困難など、典型的な症状に苦しんでいたそうです。その後も再燃の可能性を含め疾患の実情を発信し続けられています。 現在はゲーム実況者として活動される一方、講演や配信を通じて潰瘍性大腸炎への理解促進に取り組まれています。 芸能人の事例からわかる潰瘍性大腸炎の特徴 特徴 詳細 再燃・寛解を繰り返す慢性疾患 症状が落ち着く時期(寛解)と症状が悪化する時期(再燃)を繰り返し、長期的な疾患管理を要する疾患の経過 血便・下痢・腹痛などの腸症状に加えて全身症状を伴うこともある 血便、下痢、腹痛などの消化管症状に加え、倦怠感、体重減少、発熱などが出現することのある病態 継続的な治療と定期検査が重要 症状が安定している時期においても、服薬継続および定期的な内視鏡検査や血液検査が必要となる点 潰瘍性大腸炎は、症状が落ち着く寛解期と悪化する再燃期を繰り返す慢性疾患であり、長期的な視点での管理が必要です。 血便や下痢、腹痛といった腸症状に加え、倦怠感や体重減少など全身に影響が及ぶこともあります。 症状が軽快していても自己判断で治療を中断せず、服薬の継続と定期的な検査を行うことが、再燃予防と生活の質維持につながります。 再燃・寛解を繰り返す慢性疾患 潰瘍性大腸炎は、生涯にわたって活動期(症状が強く出る時期)と寛解期(症状が落ち着いた時期)を繰り返すことが多い慢性疾患です。 活動期には腸粘膜の炎症や潰瘍により血便、下痢、腹痛が出現します。一方、寛解期では症状が軽快し、薬物療法や生活習慣管理により安定した日常生活が可能です。 ただし現時点で完治は難しく、寛解と再燃のサイクルが続く可能性があります。 再燃の頻度や重症度には個人差が大きく、寛解後1年以内に再燃する例も報告されています。(文献2) 血便・下痢・腹痛などの腸症状に加えて全身症状を伴うこともある 潰瘍性大腸炎は、大腸粘膜の炎症により血便、下痢、腹痛などの腸管症状を引き起こす疾患ですが、腸以外の全身や他臓器に影響することもあります。(文献1) 発熱、倦怠感、体重減少、貧血などの全身症状に加え、関節炎、皮膚病変、眼の炎症、肝・胆道系病変などの腸管外合併症が報告されています。(文献3) 潰瘍性大腸炎は免疫異常や全身性炎症を伴うため、これらの症状は活動期に限らず腸症状が安定している時期にも出現することがあり、腸管のみならず全身を視野に入れた継続的な管理が重要です。 継続的な治療と定期検査が重要 潰瘍性大腸炎は慢性疾患であり、症状が落ち着いている寛解期でも腸粘膜の炎症が残存していることがあります。 そのため、再燃予防と長期予後の改善には治療の継続と定期的な評価が欠かせません。 炎症の有無や粘膜の回復状況を把握するため、血液検査や便検査に加え、定期的な大腸内視鏡検査が推奨されます。 診断から一定期間を経た患者では、症状がなくても1〜2年に1回の内視鏡検査が勧められることがあります。(文献4) さらに長期炎症に伴う大腸がんリスクや治療薬の副作用を早期に把握するためにも、継続的な医療管理が欠かせません。 芸能人の事例からわかる潰瘍性大腸炎の予後 予後 詳細 寛解維持により通常の生活・キャリア継続・妊娠出産が可能 寛解を保つことで、仕事や家庭生活、ライフイベントを通常どおり送れる可能性 適切な治療で社会復帰できる可能性がある 治療と休養により症状が安定し、活動再開が可能となる経過 長期罹患による大腸がんリスクがあり定期検査が不可欠 罹患期間の長期化に伴う大腸がんリスクに対し、内視鏡検査による定期的な確認が必要 潰瘍性大腸炎は慢性疾患ですが、適切な治療により寛解を維持できれば、仕事や学業、家庭生活を含む通常の生活を続けることができます。 再燃時には一時的な休養や治療調整が必要となる場合もありますが、症状が安定すれば社会復帰や活動再開が期待できます。 一方、罹患期間が長くなると大腸がんのリスクが高まるため、症状の有無にかかわらず定期的な内視鏡検査を受け、長期的な健康管理を行うことが重要です。 寛解維持により通常の生活・キャリア継続・妊娠出産が可能 適切な治療で寛解を維持できれば、血便や下痢などの症状が落ち着き、日常生活や仕事・趣味を普段どおり続けられます。実際に、通院や薬物療法を継続しながら活動を続けている方もいます。 また、病状が安定していれば妊娠・出産も可能です。治療薬については医師と相談しながら調整します。 一方で、自己判断による治療中断は再燃のリスクを高めるため、寛解期であっても継続的な診療と治療が欠かせません。 適切な治療で社会復帰できる可能性がある 潰瘍性大腸炎は再燃や悪化の可能性がありますが、適切な治療と継続的な管理により社会生活や仕事への復帰が可能です。(文献5) 軽症から中等症では5-ASA製剤(5-アミノサリチル酸製剤)による維持療法が基本となり、寛解の維持を目指します。 重症発作を経験した場合や病勢のコントロールが難しい場合には、免疫抑制薬や生物学的製剤といった治療選択肢があり、症状改善と生活の質の回復が報告されています。(文献6) 潰瘍性大腸炎は慢性疾患ですが、就労不能を意味するものではありません。医療管理と職場の理解・配慮があれば、就労や社会生活の継続が期待できます。 長期罹患による大腸がんリスクがあり定期検査が不可欠 潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に慢性的な炎症が続く疾患であり、長期間の炎症により異形成を経て大腸がんへ進展する可能性が報告されています。(文献7) 罹患期間が長い場合や炎症が大腸全体に及ぶ患者では、大腸がんのリスクが高まることが知られています。 そのため症状が落ち着いている寛解期でも、定期的な大腸内視鏡検査により粘膜の状態を直接確認することが大切です。 検査頻度は病変の範囲や炎症の程度、過去の内視鏡所見などにより異なりますが、一般的には1〜3年ごとの実施が目安とされています。(文献8) 以下の記事では、潰瘍性大腸炎における再発について詳しく解説しています。 潰瘍性大腸炎の治療法 治療法 詳細 薬物療法 炎症を抑える5-ASA製剤(5-アミノサリチル酸製剤)、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤などを用いた病状コントロール 栄養療法・食事管理 腸への負担軽減を目的とした食事調整、栄養状態の維持・改善を図る管理方法 手術療法 薬物療法で制御困難な場合や合併症発生時に行われる大腸切除を中心とした治療選択 再生医療 既存治療で効果不十分な症例を対象に研究・臨床応用が進められている新たな治療法 潰瘍性大腸炎の治療は、病状や重症度に応じて段階的に選択されます。基本となるのは薬物療法で、炎症を抑え寛解の導入と維持を目指します。 また、栄養療法や食事管理は腸への負担を軽減し、全身状態を安定させる上で重要です。 薬物療法で十分な効果が得られない場合や重篤な合併症がある場合には手術療法が検討されます。 近年は、難治例を対象に再生医療など新たな治療法の研究も進められており、治療の選択肢は広がっています。 ただし、再生医療を提供している医療機関は限られており、すべての症例に適用できるわけではないため、事前に医師と十分に相談することが必要です。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療法について詳しく解説しています。 薬物療法 潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に慢性的な炎症が生じる疾患であり、炎症を抑えて症状を改善し、再燃を防ぐことが治療の基本です。 薬物療法はこの病態に直接作用するため、治療の中心的役割を担います。5-ASA製剤(5-アミノサリチル酸製剤)は抗炎症作用により血便や下痢などの症状を軽減し、急性期の生活への影響を抑えます。 また症状が落ち着いた後も服薬を継続することで寛解を維持し、再燃リスクを低下させます。 中等症から重症例では、ステロイドや免疫調節薬、生物学的製剤などを用いることで、より強力な炎症制御が可能です。 栄養療法・食事管理 潰瘍性大腸炎では、粘膜の炎症や下痢により栄養吸収が低下しやすく、食事内容や栄養状態が病状に影響します。 そのため薬物療法と並行した栄養療法・食事管理が、症状の安定や生活の質の維持に欠かせません。 適切な栄養補給は粘膜修復や体力維持を支え、下痢や腹部不快感を悪化させる食品を避けることで症状緩和が期待できます。 急性期には低脂肪・低残渣食が有効な場合があり、摂取困難時には経腸栄養が検討されます。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎における食事管理について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎の食事で気をつけることは?食べて良いもの・いけないものを解説 【医師監修】潰瘍性大腸炎のおならが臭い・多い理由と対策を詳しく解説 手術療法 項目 内容 主な手術方法 大腸全摘術による病変部の除去 期待される効果 血便や腹痛からの解放、生活の質の改善 手術の適応 薬物療法が無効な重症例、重篤な合併症、がん化リスクが高い場合 ストーマの可能性 術式により一時的または永久的なストーマ造設が必要な場合あり 術後の管理 感染予防、栄養管理、排便コントロールなど継続的なフォローアップが必要 (文献9) 潰瘍性大腸炎の手術療法は、薬物療法で十分な効果が得られない重症例や、大腸穿孔・大量出血などの重篤な合併症、長期罹患による大腸がんリスクが高い場合に検討されます。 主に大腸全摘術が行われ、病変部を除去することで炎症の再燃を防ぎ、血便や腹痛を抑制できる点が利点です。 術式によっては人工肛門(ストーマ)の造設が必要となりますが、近年のストーマケア技術の進歩により社会復帰が期待できます。 また、手術後も感染予防や栄養管理、排便コントロールなど継続的なフォローアップが欠かせません。 再生医療 潰瘍性大腸炎の治療は現在も薬物療法や手術療法が中心です。しかし近年、損傷した腸粘膜の修復や炎症制御を目的とした再生医療が新たな治療選択肢として注目されています。 再生医療は既存治療を補完、あるいは将来的に代替する可能性を持つ分野として研究が進められています。(文献10) ただし、再生医療を提供している医療機関は限られており、すべての症例に適用できるわけではありません。導入を検討する際には事前に医師と相談する必要があります。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 潰瘍性大腸炎を公表した芸能人の実例をもとに適切な治療を受けよう 芸能人の公表例は、潰瘍性大腸炎の病状や治療への理解を深める一助となりますが、症状の重さや治療経過は患者ごとに大きく異なり、あくまでもひとつの事例にすぎません。 実例を参考にしつつも、自身の症状や生活状況に合わせた治療方針を選択することが大切です。 体調の変化や不調を感じた場合は早めに医療機関へ相談し、継続的な診療と検査を通じて、長期的な病状の安定を目指しましょう。 潰瘍性大腸炎についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、潰瘍性大腸炎に対して再生医療を用いた治療を行っています。 潰瘍性大腸炎では、幹細胞を用いて損傷した腸粘膜の修復を促す再生医療の研究が進められており、炎症による粘膜障害の改善が期待されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 潰瘍性大腸炎の芸能人に関するよくある質問 芸能人で潰瘍性大腸炎の手術を受けた人はいますか? 現時点において、潰瘍性大腸炎の手術を受けたと公に確認できる芸能人の事例は見当たりません。 手術の有無や内容は個人のプライバシーに深く関わるため、本人が詳細を公表するケースは極めて少ないのが実情です。 多くの報道では闘病や通院、治療中であることにとどまり、手術に関する具体的な言及は確認されていません。 また、医療文献や公的資料においても、著名人の手術歴が特定できる形で公開されることはなく、匿名化されているのが一般的です。 芸能人の潰瘍性大腸炎の事例は医学的根拠として捉えて問題ないでしょうか? 芸能人の公表事例は疾患への理解を深めるきっかけになりますが、医学的根拠そのものにはなりません。 公表されている内容はあくまで個人の体験に基づく情報であり、診断条件や治療経過が医学的に十分検証・公開されているわけではありません。 そのため、臨床研究や診療ガイドラインといったエビデンスとは性質が異なります。 特定の事例をもとに同じ治療効果を期待することはできず、自己判断は不適切な治療選択につながるおそれがあります。 症状がある場合は必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けることが大切です。 参考文献 (文献1) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター (文献2) Risk of Relapse in Patients With Ulcerative Colitis With Persistent Endoscopic Healing: A Durable Treatment Endpoint|PMC PubMed Central® (文献3) 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎,クローン病)|一般社団法人日本大腸肛門病学会 (文献4) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター (文献5) 潰瘍性大腸炎について|慶應義塾大学病院IBD(炎症性腸疾患)センター (文献6) 就労系福祉サービス事業所における 難病のある人への 合理的配慮マニュアル | 厚生労働省 (文献7) Colon Cancer Screening and Surveillance in Inflammatory Bowel Disease|PMC PubMed Central® (文献8) Colorectal Cancer Guideline | How Often to Have Screening|American Cancer Society (文献9) 潰瘍性大腸炎外科治療指針(2016年1月改訂)|出典:「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班) 平成29年度総括・分担研究報告書 p61~p63 (文献10) 自家腸上皮オルガノイドを用いた潰瘍性大腸炎に対する粘膜再生治療の開発 | 研究支援部|NIBN
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【医師監修】潰瘍性大腸炎の治療とは?目標・流れ・治療薬について解説
潰瘍性大腸炎は指定難病の1つで、根治治療法が確立されていない疾患です。生活の質の回復には、継続的な治療が欠かせません。潰瘍性大腸炎と長く付き合っていくためには、治療法を理解しておくことが重要です。 本記事では、潰瘍性大腸炎の治療法について解説します。治療の目標や流れ、主な治療薬についてもまとめているので、潰瘍性大腸炎と診断された方は、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 潰瘍性大腸炎に関する気になる症状が見られる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎の治療目標 潰瘍性大腸炎は完治が難しい難病のため、寛解(かんかい)の達成と維持が目標になります。寛解は、症状が一時的に落ち着いた状態です。 寛解期は行動に制限がなく、学校や仕事へ行くといった日常生活を送れます。つまり、生活の質の回復が潰瘍性大腸炎の治療目標です。生活の質の回復には、再び症状が現れないよう治療を続ける必要があります。 なお、現在は医療技術の進歩により、「粘膜治癒」も潰瘍性大腸炎の治療目標に加わりました。粘膜治癒の達成では、再び炎症が悪化する再燃率だけでなく、入院率や手術率、発がん率の低下が期待できます。 潰瘍性大腸炎の治療をしないリスク 潰瘍性大腸炎は、根治治療法が確立されていません。しかし、放置すると再燃しやすくなるのに加えて炎症の悪化や持続により、さまざまな合併症を併発する可能性があるため、継続的な治療が必要です。 また、発症からの期間が経過するほど、大腸がんのリスクは高くなります。アメリカの研究によると、潰瘍性大腸炎患者における大腸がんの有病率は、以下の通りです。(文献1) 潰瘍性大腸炎発症からの経過年数 大腸がんの有病率 10年 2% 20年 8% 30年 18% 寛解期であっても放置はせず、定期的に専門機関を受診しましょう。 潰瘍性大腸炎の治療の流れ 潰瘍性大腸炎は、重症度によって治療法が異なりますが、いずれも寛解を目指した治療を行います。治療法の一般的な流れは、以下の通りです。 発症 寛解導入療法 寛解維持療法 寛解導入療法とは、腸の炎症を抑え、寛解を目指す治療法です。炎症が治まってきたタイミングで、寛解維持療法に切り替わります。 寛解維持療法とは、再燃を防ぎ、日常生活を送る期間を延ばす治療法です。再燃した場合は、寛解導入療法を再開し、再び寛解を目指します。 日常生活を送る期間を延ばせるよう、症状をもとに継続的に治療を受け、潰瘍性大腸炎と付き合っていくことが大切です。 潰瘍性大腸炎の悪化のサイン|重症度の分類 潰瘍性大腸炎の重症度は、軽症・中等症・重症・劇症の4つに分類されます。分類方法は、以下の通りです。(文献2) 重症 中等症 軽症 条件 1および2のほか、全身症状となる3または4のいずれかの項目を満たすもの 軽症・重症の中間にあたるもの 6項目をすべて満たすもの 1.排便回数 6回以上 重症と軽症の中間の症状 4回以下 2.顕血便 (+++) (+)~(-) 3.発熱 37.5度以上 37.5度以上の発熱がない 4.頻脈 90/分以上 90/分以上の頻脈なし 5.貧血 ヘモグロビン10g/dl 以下 ヘモグロビン10g/dl 以下の貧血なし 6.赤沈(赤血球の沈む速度) 30mm/h以上 正常 劇症は重症のなかでとくに症状が激しい状態を指し、急性電撃型と再燃劇症型に分類されます。劇症の診断基準は、以下の通りです。 重症基準を満たしている 1日15回以上の血性下痢が続いている 38.5度以上の高熱が続いている 白血球数が10,000/㎣以上ある 強い腹痛がある 悪化のサインを見逃さないよう、潰瘍性大腸炎の評価基準を理解しておきましょう。 潰瘍性大腸炎の治療法 潰瘍性大腸炎の治療には薬物療法が一般的ですが、症状や回復状況に応じて別の治療法を行います。代表的な治療法は、以下の4つです。 薬物療法 血球成分除去療法 手術療法 再生医療 ここからは、各治療法の特徴を解説するので、ぜひ参考にしてください。 薬物療法 潰瘍性大腸炎では、薬物療法を行うのが一般的です。薬物療法では大腸粘膜の炎症を抑え、症状をコントロールするのが目的です。軽症や重症など、症状によって使用する薬は異なります。 また、寛解導入と寛解維持で使用する薬が異なる場合もあります。経口剤や注射剤、座薬など、薬物治療の進め方はさまざまです。軽症の寛解導入療法として、肛門から直接薬剤を投与する局所療法を行う場合もあります。 薬によっては発熱や体のだるさ、腹痛などの副作用が起こる可能性もあります。薬物療法で体調に異変を感じた際は、担当医に相談しましょう。 血球成分除去療法 血球成分除去治療とは、血液中の白血球などを取り除く治療法で、顆粒球除去療法(GCAP)とフィルターによる治療法(LCAP)の2種類があります。潰瘍性大腸炎は一般的に薬物療法を中心に治療を進めますが、症状の回復が見られない場合や副作用により薬を減量する場合に血球成分除去療法が行われます。 血球成分除去療法は、血液をカラムと呼ばれる特殊な筒に通し、活性化した白血球を取り除いて炎症を抑える治療法で、中等症〜重症が対象です。潰瘍性大腸炎の治療における血球成分除去療法は、1度の活動期につき10〜11回ほど実施します。 個人差はありますが、治療2〜3回目から効果が期待できる報告も見られます。(文献3) 手術療法 潰瘍性大腸炎は、以下のケースが見られた際に手術を行います。 内科治療で症状の回復が見られない場合 副作用で内科治療が行えない場合 大量の出血が見られた場合 大腸に穴があいた場合 がん、もしくは疑いがある場合 潰瘍性大腸炎の主な術式は、以下の通りです。(文献4) 術式 内容 大腸全摘、腸囊肛門吻合術(IAA) 大腸を取り除き、人工肛門を増設する 大腸全摘、腸囊肛門管吻合術(IACA) 大腸を取り除き、小腸の一部を使って人工的な直腸を作成し、肛門管につなぎ合わせ、自然排便を可能にする 潰瘍性大腸炎では、炎症やがんの再発、再手術になった際に人工肛門になる可能性を考慮し、原則大腸をすべて取り除く大腸全摘術を行います。 再生医療 再生医療は、潰瘍性大腸炎の治療法の1つです。再生医療の1つとなる幹細胞治療とは、自身の身体から採取した幹細胞を外部で増殖させ、所定の量に達したら再び身体に戻す治療法です。潰瘍性大腸炎では、炎症で傷ついた腸粘膜の修復促進を目的に幹細胞治療が行われます。 幹細胞を採取する際は、おへその横からごくわずかな脂肪を採取するため、身体への負担を最小限に抑えられます。 また、幹細胞治療は入院・手術を必要とせず日帰りの施術が可能です。手術せず治療を受けたい場合に、再生医療はおすすめです。ただし、潰瘍性大腸炎に対する再生医療を実施できる医療機関は限られている点についても、あわせて理解しておきましょう。 潰瘍性大腸炎の治療薬 潰瘍性大腸炎の治療薬にはさまざまな種類があり、炎症の程度や症状に応じて使い分けられます。代表的な治療薬は、以下の通りです。 5-ASA製剤 ステロイド 免疫調節薬・免疫抑制剤 JAK阻害剤 生物学的製剤 潰瘍性大腸炎の治療薬は、医師の診断に基づいて処方されます。しかし、服用の仕方や自己判断による薬の中断・変更は症状悪化を招く可能性があるため、注意が必要です。処方される薬の効果や副作用について、理解を深めた上での服用が重要です。 潰瘍性大腸炎の治療費 潰瘍性大腸炎は完治が難しく、治療は長期にわたるため、治療費の負担も大きくなります。しかし、厚生労働省が定める指定難病となることから、医療費助成の対象です。 医療費助成制度では自己負担上限額と医療費2割を比較して、自己負担上限額が上回る場合、医療費の2割が窓口での負担になります。つまり、潰瘍性大腸炎における医療費の自己負担が軽減されます。 また、1カ月に支払う医療費が自己負担上限を超えた場合、高額療養費制度が適用可能です。高額療養費制度と指定難病による医療費助成は併用できるため、治療による自己負担の軽減が期待できます。 潰瘍性大腸炎の治療は継続的に行うことが重要 潰瘍性大腸炎の治療は完治が難しく、症状が一時的に落ち着いた状態となる寛解の維持が目標になります。寛解期では学校や仕事へ行くといった日常生活を送れるため、適切な治療を続けることが重要です。 治療法は主に薬物療法を行いますが、症状に応じて血球成分除去療法や手術を行います。放置すると合併症を併発するリスクがあるため、治療を継続し生活の質の回復を目指しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。潰瘍性大腸炎について気になる症状が見られる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎の治療に関するよくある質問 ストレスを抱えているなど潰瘍性大腸炎になりやすい性格はありますか? 潰瘍性大腸炎の原因は解明されておらず、誰でも発症の可能性がある疾患です。しかし、発症しやすい人の性格には、以下の共通点があるといわれています。 ストレス感じやすい性格 些細なことでも気にしてしまいがちな性格 神経質 遺伝的な要因も、潰瘍性大腸炎の原因と考えられています。 潰瘍性大腸炎になったら食事制限がありますか? 炎症が治まっている寛解期の場合、食事制限はありません。アルコールの摂取も問題ありませんが、飲みすぎないよう適量を心がけましょう。 しかし、炎症がある活動期は大腸を刺激する香辛料や飲料、不溶性食物繊維の多い食べ物は控える必要があります。高タンパク質な食事を基本にするなど、症状に合わせた食事内容の調整がポイントです。 潰瘍性大腸炎じゃなかった場合に疑われる病気は? 潰瘍性大腸炎じゃなかった場合、クローン病や過敏性腸症候群の可能性があります。クローン病も指定難病の1つで、大腸および小腸の粘膜に炎症・潰瘍を引き起こす疾患です。 炎症部位が大腸のみの潰瘍性大腸炎と異なり、クローン病は口から肛門までの消化管全域になります。また、炎症の広がりや深さ、主な症状などが異なります。 過敏性腸症候群は、下痢や便秘など潰瘍性大腸炎と同様の症状がありますが、腸に炎症や潰瘍といった異常が見られない疾患です。 参考文献 (文献1) PubMed|The risk of colorectal cancer in ulcerative colitis: a meta-analysis (文献2) 厚生労働省|097 潰瘍性大腸炎 (文献3) 株式会社JIMRO|顆粒球吸着療法 ガイドブック (文献4) 株式会社JIMRO|潰瘍性大腸炎外科治療指針(2016年1月改訂)
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【医師監修】潰瘍性大腸炎じゃなかった場合に疑われる似た病気を一覧で解説
「潰瘍性大腸炎のつもりで医療機関を受診したが違うと診断された」 「下痢や腹痛、血便が続いているが潰瘍性大腸炎じゃないといわれた」 潰瘍性大腸炎は慢性的な炎症性腸疾患であり、下痢や腹痛、血便の症状が多くみられます。ただし、症状があって受診しても「潰瘍性大腸炎ではなかった」と診断されるケースも珍しくありません。 実際に潰瘍性大腸炎と似た病気は多く存在し、専門知識がない状態で見分けるのは難しいといえるでしょう。 本記事では、診断結果が潰瘍性大腸炎じゃなかった方に向けて現役医師が似た病気や対処法を詳しく解説します。また、潰瘍性大腸炎じゃなかった方からよくある質問もまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 潰瘍性大腸炎と似た症状にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 「潰瘍性大腸炎じゃなかった」場合に疑われる似た病気 似た病気 詳細 クローン病 口から肛門までの消化管に起こりうる慢性炎症、腹痛・下痢・体重減少や肛門周囲病変を伴うことがある疾患 過敏性腸症候群(IBS) 炎症や潰瘍などの器質的異常が見つからないのに腹痛と便通異常(下痢・便秘)を繰り返す機能性疾患 感染に関連する腸炎 細菌・ウイルス・寄生虫などの感染による急性の下痢や腹痛、発熱や血便を伴うことがある腸炎 血流障害や放射線による腸炎 腸の血流低下による虚血性変化や放射線治療後の粘膜障害に伴う腹痛・下痢・血便を起こす腸炎 薬剤性腸炎 抗菌薬・NSAIDsなどの薬剤による腸粘膜障害や腸内細菌叢変化に伴う下痢・腹痛・血便の発生 大腸ポリープ・大腸がん 便潜血陽性や血便、貧血、便通変化や体重減少を来しうる大腸病変、内視鏡での評価が重要な疾患 潰瘍性大腸炎と診断されなかった場合でも、症状が似た別の疾患が隠れている可能性があります。そのため、自己判断ではなく、医療機関で正しい診断を受けることが不可欠です。 潰瘍性大腸炎と似た病気の代表的なものとして、消化管全体に炎症が及ぶクローン病、炎症所見がみられない過敏性腸症候群、細菌やウイルス感染による腸炎が挙げられます。 このほか、血流障害や放射線、薬剤の影響による腸炎、大腸ポリープや大腸がんも血便や下痢の原因となります。 正確な診断には、症状だけでなく内視鏡検査などの専門的な評価が必要です。 以下の記事では、クローン病と潰瘍性大腸炎の違いについて詳しく解説しています。 クローン病 疑われる理由 詳細 下痢や血便など症状が類似 慢性的な下痢や血便を認めることがある点 腹痛や体重減少を伴いやすい 食欲低下、倦怠感、微熱など全身症状の出現 再燃と寛解を繰り返す経過 長期間にわたる悪化と改善の反復 小腸や肛門周囲病変の存在 消化管全体に病変が及ぶ可能性 内視鏡所見の特徴 非連続性潰瘍、縦走潰瘍、敷石状変化の所見 血液検査での炎症所見 CRP上昇、貧血、低アルブミン血症 他疾患除外後に疑われる 感染性腸炎など否定後の鑑別診断 (文献1) クローン病は、潰瘍性大腸炎と同様に下痢や血便を繰り返すため、初期には区別が難しい疾患です。腹痛や体重減少、倦怠感といった全身症状を伴いやすく、再燃と寛解を繰り返す慢性経過をたどります。 大腸に限局する潰瘍性大腸炎に対し、クローン病では小腸や肛門周囲にも病変がみられることが特徴です。内視鏡検査や血液検査により他疾患を除外し、総合的に診断されます。 過敏性腸症候群(IBS) 疑われる理由 詳細 慢性的な腹部不快感と便通異常 腹部の張りや違和感、下痢・便秘の持続 ストレスや食事による症状変動 精神的負荷や特定食品による症状悪化 検査で明確な異常が出にくい 内視鏡や血液検査で器質的異常を認めない所見 慢性経過で増悪と軽快を反復 改善と悪化を繰り返す長期的経過 複数の病型の存在 下痢型・便秘型・混合型など病型の多様性 感染後に発症する場合 感染性腸炎後の腸機能異常の残存 重篤な器質的障害を伴わない 生活の質低下を招くが命に関わらない病態 (文献2) 過敏性腸症候群(IBS)は、腹部の不快感や下痢・便秘といった便通異常が慢性的に続く疾患です。 内視鏡検査や血液検査で明確な異常がみられないことが特徴で、ストレスや食事内容の影響を受けやすい傾向があります。 症状は改善と悪化を繰り返し、潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患と区別が難しい場合もあります。 下痢型や便秘型などの病型があり、詳しい問診をもとに総合的な診断と治療方針が検討される疾患です。 感染に関連する腸炎 疑われる理由 詳細 急性で強い症状の出現 短期間で起こる下痢・血便・発熱・腹痛 検査で感染や炎症所見を認める 便中病原体の検出、白血球増加、炎症マーカー上昇 比較的短期間での症状改善 対症療法や抗菌薬による自然軽快 感染後に症状が残る場合 感染後腸症候群による下痢や腹部不快感の持続 感染後腸症候群で検査異常が乏しい 内視鏡や血液検査で明確な異常を認めない状態 症状遷延時の鑑別必要性 過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患との区別の必要性 生活環境による影響 食事内容や衛生環境による症状変動 (文献3)(文献4) 感染に関連する腸炎は、細菌やウイルスなどが原因で急な下痢や血便、発熱を伴うことが特徴です。 多くは治療や経過観察により短期間で改善しますが、感染後に腸の機能異常が残り、下痢や腹部不快感が続く感染後腸症候群を発症することがあります。 感染後腸症候群は検査で異常が見つかりにくく、潰瘍性大腸炎と症状が似ているため、注意が必要です。 血流障害や放射線による腸炎 疑われる理由 詳細 急性の腹部症状や血便の出現 血流低下による突然の腹痛や血便 発症が急で症状変化が速い 短期間での症状出現と変動 血流障害に関与する背景因子 高齢、動脈硬化、便秘傾向などの関与 再発する可能性 自然軽快後も繰り返す症状出現 放射線治療後の発症 腹部・骨盤への放射線治療歴 慢性的な症状の持続 下痢や血便の長期化 内視鏡所見の類似 潰瘍やびらんなど粘膜障害 背景情報の重要性 年齢、基礎疾患、治療歴の把握 (文献5)(文献6) 血流障害や放射線による腸炎は、潰瘍性大腸炎と症状や内視鏡所見が似ているため鑑別が必要な疾患です。 虚血性大腸炎は腸の血流障害により急な腹痛や血便が現れ、放射線性腸炎は放射線治療による組織障害が原因です。 血便や腹部症状の持続、体重減少、全身症状がみられる場合や生活に支障をきたす場合は、早期に医療機関を受診しましょう。 薬剤性腸炎 疑われる理由 詳細 腹部症状や下痢の慢性持続 腹部違和感や水様性下痢の長期化 薬剤服用と症状出現の関連 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗菌薬使用後の症状発現 服薬開始・中止との時間的関係 薬剤変更に伴う症状変動 治療により改善が期待できる 薬剤調整や対症療法による症状軽減 他疾患除外後の診断 感染症や炎症性腸疾患否定後の鑑別 生活習慣やストレスの関与 環境要因による症状悪化 (文献5)(文献7) 薬剤性腸炎は、特定の薬剤が腸粘膜に影響を及ぼすことで起こる腸の炎症です。腹部の違和感や水様性下痢が慢性的に続き、潰瘍性大腸炎と症状が似ることがあります。 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗菌薬などの服用歴が重要な手がかりとなり、薬剤の開始や中止と症状の経過を確認することが診断に役立ちます。 検査で異常が見つかりにくい場合もありますが、原因となる薬剤の調整により改善が期待できるため、適切な評価が必要です。 大腸ポリープ・大腸がん 疑われる理由 詳細 血便や便通異常の出現 血便、下痢、便秘、腹部不快感の出現 症状の持続と進行 慢性的な血便、体重減少、食欲低下の持続 自然改善しにくい経過 時間経過で軽快しない症状 ポリープによる出血 大きさや形状により出血を来す病変 がんの初期無症状 早期には自覚症状に乏しい病態 進行に伴う全身症状 貧血、体重減少、倦怠感の出現 検査による評価の重要性 便潜血検査や大腸内視鏡検査による診断 年齢や家族歴の影響 家族歴、喫煙歴による発症リスク上昇 (文献8)(文献9) 大腸ポリープや大腸がんは潰瘍性大腸炎とは異なる疾患ですが、血便や便通異常といった症状が似ているため、初期の鑑別が難しい場合があります。とくに症状が徐々に進行し、自然に改善しない場合は注意が必要です。 異常なしや炎症性疾患ではないと診断された後でも、血便の持続、貧血や体重減少がみられる場合、症状が改善せず生活に支障がある場合には再評価が必要です。 以下の記事では、大腸がんについて詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】大腸がんとは?|症状・原因・検査について詳しく解説 【医師監修】大腸がんの検査とは?主な種類・流れ・費用・受診の目安を解説 「潰瘍性大腸炎じゃなかった」と診断される原因 原因 詳細 検査で潰瘍性大腸炎の所見が確認されなかった 大腸内視鏡や生検で典型的な粘膜炎症や潰瘍を認めない結果 症状や経過が潰瘍性大腸炎と一致しなかった 急性発症や短期間での自然改善、再燃と寛解を示さない経過 他の原因が明確になった 感染性腸炎、過敏性腸症候群、薬剤性腸炎、腫瘍性疾患などの診断 潰瘍性大腸炎は、内視鏡検査や組織検査によって特徴的な炎症所見を確認することで診断されます。そのため、検査で所見が認められない場合や、症状の経過が典型例と一致しない場合には「潰瘍性大腸炎ではない」と判断されることがあります。 また、検査を進める中で感染性腸炎や過敏性腸症候群、薬剤性腸炎など別の原因が明確になるケースも少なくありません。これは段階的に原因を絞り込んだ結果であり、適切な治療につなげるために重要な診断過程です。 検査で潰瘍性大腸炎の所見が確認されなかった 原因 詳細 内視鏡所見が典型的でない 直腸から連続するびらん・潰瘍や粘膜発赤を認めない所見 炎症の分布が非典型 非連続性病変や限局性病変による診断根拠不足 生検で慢性炎症所見が乏しい 炎症細胞浸潤やクリプト破壊を認めない病理結果 血液検査で炎症反応が乏しい CRP(C反応性タンパク質)上昇や貧血を認めない炎症所見不足 他疾患を示唆する検査結果 感染性腸炎や機能性疾患を疑う所見 (文献8) 潰瘍性大腸炎は、内視鏡、生検、血液検査など複数の検査結果を総合して診断されます。直腸から連続する炎症や組織学的な慢性炎症所見が確認できない場合、診断根拠が不足します。 また、血液検査で炎症反応が乏しい場合も、活動性の炎症性疾患の可能性は低いと考えられるでしょう。このような場合は感染性腸炎や過敏性腸症候群など他疾患の可能性を考慮し、診断の見直しが必要です。 症状や経過が潰瘍性大腸炎と一致しなかった 潰瘍性大腸炎は、慢性的な炎症が持続し、寛解と再燃を繰り返す経過を特徴とする疾患です。症状が短期間で自然に消失した場合や、治療せずに軽快し再発がない場合は、潰瘍性大腸炎の経過に一致しません。 また、初回の症状出現後に再燃がみられず、寛解と再燃を繰り返す経過が確認できない場合は、潰瘍性大腸炎としての診断根拠が弱くなります。 このような経過の場合、慢性的な炎症が続く病気よりも、感染性腸炎や急性腸炎、過敏性腸症候群、虚血性腸炎など、一時的に起こる疾患の可能性を考えるのが自然です。 症状がどのように始まり、どのくらい続き、再び現れていないかを丁寧に振り返ることで、原因をより正確に見極めることが大切です。 他の原因が明確になった 原因 詳細 感染性腸炎 細菌・ウイルス・寄生虫感染による急性下痢や腹痛、血便の出現 機能性腸疾患(IBSなど) 内視鏡や血液検査で異常を認めない便通異常や腹部不快感 薬剤性腸炎 痛み止めや抗菌薬使用に伴う一過性の腸粘膜炎症 生活要因(ストレス・食事) 精神的負荷や食事内容に関連した腸症状の変動 潰瘍性大腸炎と似た症状があっても、検査や経過から別の原因がはっきりする場合「潰瘍性大腸炎じゃなかった」と判断されることがあります。 感染性腸炎では原因となる病原体が確認され、治療や自然経過で短期間に改善します。過敏性腸症候群などの機能性腸疾患では、炎症を示す検査所見がみられません。 また、薬剤の影響やストレス、食事内容による一時的な腸症状も原因となります。こうした明確な要因が確認された場合、慢性的な炎症性疾患である潰瘍性大腸炎に当てはめる必要はなくなります。 「潰瘍性大腸炎じゃなかった」と診断された場合の対処法 対処法 詳細 症状が続く場合は受診・精査を行う 血便や下痢、腹痛など症状持続時の再受診と追加検査の必要性 別の消化器疾患の可能性を考える 感染性腸炎、過敏性腸症候群、薬剤性腸炎、大腸ポリープなどの鑑別 他院相談を検討する 診断や治療方針確認を目的とした消化器専門医へのセカンドオピニオン 生活面の改善に取り組む 食事内容の見直し、ストレス管理、睡眠や生活リズムの調整 「潰瘍性大腸炎じゃなかった」と診断された後も、血便や下痢、腹痛といった症状が続く場合は、再度医療機関を受診し、必要に応じて詳しい検査を受けることが大切です。 症状の原因として、感染性腸炎や過敏性腸症候群、薬剤性腸炎、大腸ポリープなど別の消化器疾患が関与している可能性もあります。 診断や治療方針に不安がある場合は、消化器専門医への相談も選択肢のひとつです。また、食事内容の見直しやストレス管理、十分な睡眠など生活習慣の改善は、症状の安定に役立つことがあります。 症状が続く場合は受診・精査を行う 理由 詳細 初期検査で病変が確認できない可能性 軽度・限局的病変や炎症消退時の検査による所見不足 別の疾患が潜んでいる可能性 感染性腸炎、クローン病、虚血性腸炎、腫瘍性疾患などの初期段階 機能性疾患でも管理が必要 過敏性腸症候群(IBS)やSIBO(小腸内細菌異常増殖症)などによる慢性的症状と生活の質の低下 経過観察で所見が明確になる場合 時間経過による症状変化や特徴的所見の出現 (文献9) 「潰瘍性大腸炎じゃなかった」と診断されても、症状が続く場合には再評価が必要です。初期検査では病変が軽度で見つかりにくいことがあります。そのため、時間をおいて再検査することで新たな所見が得られる場合があります。 また、別の消化器疾患が原因となっている可能性も否定できません。さらに、過敏性腸症候群などの機能性疾患でも、症状が生活に大きく影響することがあります。 症状の変化を継続的に確認することが、適切な診断と対応につながります。 別の消化器疾患の可能性を考える 「潰瘍性大腸炎じゃなかった」と診断された場合でも、症状の原因が別の消化器疾患である可能性は否定できません。腹痛や下痢、血便といった症状は、感染性腸炎やクローン病、虚血性腸炎、大腸憩室炎、大腸腫瘍などでもみられ、症状だけでの判別は困難です。 疾患によって治療内容や緊急性は大きく異なるため、原因を見極めることが重要です。また、消化器疾患は初期段階では検査で異常が見つかりにくいこともあります。 そのため、症状の持続や変化を踏まえた再評価や経過観察が、正しい診断と適切な対応につながります。 他院相談を検討する 「潰瘍性大腸炎じゃなかった」と診断された後でも、症状が続く場合や診断・治療方針に納得できない場合には、他院への相談(セカンドオピニオン)を検討することが有用です。 腸疾患の診断は医師の判断が関与する場面も多く、別の医療機関で評価を受けることで診断の確認や新たな視点が得られることがあります。 とくに専門性の高い医療機関で複数の意見を確認することで、検査や治療の選択肢を理解しやすくなり、納得して治療や経過観察に取り組めます。 生活面の改善に取り組む 「潰瘍性大腸炎じゃなかった」と診断された場合でも、腸症状の背景に生活習慣が関与していることは少なくありません。 食事内容や食べ方は症状に影響しやすく、脂肪分や刺激物を控え、消化に負担の少ない食事に整えることで下痢や腹痛が軽減する場合があります。また、ストレスは腸の働きに影響するため、十分な睡眠や適度な運動を通じたストレス管理も重要です。 加えて症状の出方や食事、服薬状況を記録することで、原因の把握や治療方針の検討に役立ちます。一部の薬剤が腸症状を悪化させることもあるため、自己判断せず医療者と相談しながら調整することが症状の安定につながります。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎における生活面での注意すべき点について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎の食事で気をつけることは?食べて良いもの・いけないものを解説 潰瘍性大腸炎は性行為でうつる?医学的根拠に基づいて現役医師が解説 潰瘍性大腸炎じゃなかった場合は似た病気を疑い適切な治療を受けよう 潰瘍性大腸炎と診断されなかった場合でも、症状の原因が別に存在する可能性があります。クローン病や過敏性腸症候群、感染性腸炎、虚血性腸炎、薬剤性腸炎、大腸ポリープ・大腸がんなど、似た症状を示す疾患は多くあります。 これらは治療法や経過がそれぞれ異なるため、原因に応じた診断と対応が重要です。症状が続く場合は段階的に検査を進め、必要に応じて他院への相談(セカンドオピニオン)も検討しましょう。あわせて生活習慣を見直すことで、症状の改善につながる可能性があります。 潰瘍性大腸炎と似た病気の疑いをお持ちの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、炎症性疾患に対して再生医療を用いた治療を行っています。炎症性疾患に対する再生医療は、幹細胞を用いて免疫のバランスを整え、炎症を抑えると同時に、損傷した組織の修復や再生を促すことで、治療効果が期待される方法です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 潰瘍性大腸炎じゃなかった方からよくある質問 「異常なし」と診断されましたが再受診すべきでしょうか? 症状が続く場合や悪化する場合は、再受診が大切です。 初回の検査で異常が認められなくても、症状の長期化、出血や体重減少、日常生活への支障がある場合には、別の疾患が隠れている可能性や検査時に所見が確認できなかった可能性があります。 症状の変化を放置せず、早めに医療機関へ相談しましょう。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎が再燃するきっかけについて詳しく解説しています。 潰瘍性大腸炎じゃなかった場合はどの科に受診すれば良いですか? 基本的には消化器内科の受診が適切です。腹痛・下痢・血便などの腸症状は、潰瘍性大腸炎に限らず感染性腸炎、過敏性腸症候群、クローン病、虚血性腸炎など多くの疾患が関与するため、腸疾患に詳しい消化器内科での診察が推奨されます。 症状が持続する場合や原因が不明な場合、詳しい検査や治療が必要な場合には、総合病院やIBD(炎症性腸疾患)専門外来での精査が有効です。 潰瘍性大腸炎じゃなかった場合は市販薬やサプリメントで様子を見ても大丈夫ですか? 症状が軽く見えても、市販薬やサプリメントで様子を見ることは基本的に推奨されません。 下痢や腹痛、血便などの腸症状は、感染症や炎症性疾患、薬剤性など原因が多岐にわたり、市販薬では根本的な対応ができない場合があります。 また、サプリメントの中には作用や影響が十分に検証されていないものもあり、体質や症状によってはかえって不調を強めることがあります。症状が現れた時点で早めに医療機関を受診し、原因を確認した上で適切な対応を行うことが大切です。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療薬について詳しく解説しています。 (文献1) 難病情報センター|クローン病(指定難病96) (文献2) 過敏性腸症候群(IBS)|MSD マニュアル家庭版 (文献3) 一般社団法人 日本大腸肛門病学会|感染性腸炎 (文献4) 感染後過敏性腸症候群の概念|日本心身医学会総会ならびに学術講演会 (文献5) 虚血性大腸炎|社会福祉法人 恩賜財団 済生会 (文献6) 日本消化器内視鏡学会雑誌|J-STAGE (文献7) 日本大腸肛門病学会雑誌|J-STAGE (文献8) 潰瘍性大腸炎診断基準(2019年1月改訂)|難病情報センター (文献9) 日本看護科学会誌|J-STAGE
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【医師監修】クローン病と潰瘍性大腸炎の違いは?覚え方と併発の可能性を解説
「下痢や腹部の不調が続いている」 「クローン病と潰瘍性大腸炎の違いがわからない」 下痢や腹部の不調が続き、ネットやSNSで調べてみるとクローン病と潰瘍性大腸炎という疾患名にたどり着いたものの、両者の違いがわからず頭を悩ませている方は少なくありません。 実際にクローン病と潰瘍性大腸炎には共通点もあり、医師の診断なしでは、違いを見抜くことが難しいのが実情です。 クローン病と潰瘍性大腸炎の違いを理解しないまま自己流で改善しようとすると、誤った治療につながり、症状が悪化する危険があります。 本記事では、現役医師がクローン病と潰瘍性大腸炎の違いや覚え方をわかりやすく解説します。 記事の最後は、クローン病と潰瘍性大腸炎の違いに関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 クローン病もしくは潰瘍性大腸炎症状にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 クローン病と潰瘍性大腸炎の違い 項目 潰瘍性大腸炎 クローン病 炎症部位 大腸のみ 口から肛門までの消化管全域 炎症の広がり 直腸から連続的に広がる 健康部位を挟み「まだら状」に点在 炎症の深さ 粘膜層に限局 腸壁の深層まで及ぶ 主な症状 血便・粘血便・腹部の張り 下痢・体重減少・狭窄・瘻孔 治療の特徴 炎症抑制が中心 合併症への対応が必要になる場合がある (文献1)(文献2) クローン病と潰瘍性大腸炎は、どちらも炎症性腸疾患に分類されますが、炎症の起こる場所や広がり方、症状の出方が異なります。 クローン病は口から肛門まで消化管のどこにでも炎症が及ぶ可能性があり、腸の深い層まで障害が進むことがあります。 一方、潰瘍性大腸炎は大腸に限定して炎症が起こり、粘膜層を中心に障害がみられる点が特徴です。 こうした構造的な違いは、症状や検査所見、治療方針にも影響します。両疾患とも慢性の経過をたどるため、早期に適切な診断と治療を受けることが重要です。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎になりやすい性格について詳しく解説しています。 クローン病の症状 症状区分 内容 慢性的な下痢 炎症の影響で水分吸収低下による長期の下痢、粘液・血液混入 腹部の不快感・張り 炎症に伴う腸の動きの乱れによる張り感 体重減少・栄養不足 小腸の炎症による栄養吸収低下 発熱・倦怠感 炎症反応による微熱やだるさ 狭窄に伴う症状 腸管の狭まりによる食後の張り・吐き気 瘻孔に伴う症状 肛門周囲の炎症・分泌物、皮膚への通路形成 関節・皮膚の症状 関節痛や発疹など腸外症状の出現 (文献3) クローン病は消化管の広い範囲に炎症が起こり、症状が多様になりやすい疾患です。とくに小腸に炎症がある場合は栄養吸収が低下し、体重減少や疲労感が現れやすくなります。 また、炎症が腸壁の深部に及ぶと狭窄や瘻孔が生じ、腹部膨満感や肛門周囲の不快感がみられることがあります。関節や皮膚にも症状が出ることがあり、全身性の影響が特徴的です。 クローン病の検査方法 検査名 内容 血液検査 炎症反応・貧血・栄養状態の確認 便検査 潜血・炎症マーカー(便中カルプロテクチン)の評価 内視鏡検査 粘膜の炎症・潰瘍の観察、生検の実施 画像検査(CT・MRI) 腸全体像、狭窄・瘻孔・膿瘍の評価 小腸造影検査 小腸末端の炎症・狭窄の確認 カプセル内視鏡 小腸広範囲の粘膜観察 クローン病の診断は、症状に加えて血液・便検査、内視鏡、画像検査など複数の情報を組み合わせて総合的に行われます。 小腸に炎症が生じやすいため、内視鏡では確認できない部位を評価する検査が必要となることがあります。 各検査の目的を理解しておくことは、診療の流れを把握し、適切な治療選択をする上で欠かせません。 クローン病の治療法 治療区分 内容 薬物療法 炎症抑制薬・免疫調整薬・生物学的製剤の使用 栄養療法 栄養補給・食事調整による腸の負担軽減 合併症への治療 狭窄・瘻孔・感染・膿瘍への個別対応 手術療法 病変部切除・腸通過改善のための手術 継続的な経過観察 症状と検査結果に基づく治療調整 (文献4) クローン病の治療は、腸の炎症を抑え症状を安定させることを目的に、薬物療法を中心として進められます。 炎症の程度や合併症の有無に応じて栄養療法や合併症への対応、手術が検討される場合もあります。 潰瘍性大腸炎の症状 症状区分 内容 血液が混じった下痢 粘膜障害による血便・粘液混入・排便時の緊急感 腹部の不快感・張り 炎症に伴う重さ・張り、排便での一時的軽減 排便回数の増加 水分吸収低下による頻回排便 残便感・排便後の違和感 直腸炎症による排便コントロールの乱れ 発熱・倦怠感 強い炎症時の微熱・全身のだるさ 食欲低下・体重減少 不調や頻回排便による食欲減退・体重低下 (文献5) 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が起こるため、血便や下痢、腹部の張りといった大腸に関連した症状が中心となります。 炎症が強まると排便回数が増え、残便感や排便時の不快感が目立つことがあります。また、全身倦怠感や食欲低下、体重減少が現れることも特徴です。 症状は改善と悪化を繰り返すため、変化に気づいた場合は早めに受診し、再燃の可能性を医療機関と相談することが重要です。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の症状について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎と診断された芸能人一覧|実例からわかる特徴や予後を解説 【医師監修】潰瘍性大腸炎のおならが臭い・多い理由と対策を詳しく解説 潰瘍性大腸炎の検査方法 検査名 内容 血液検査 炎症反応・貧血・栄養状態の確認 便検査 便中カルプロテクチンによる炎症評価・感染症鑑別 大腸内視鏡検査 粘膜の炎症・潰瘍の観察、生検による確定診断 画像検査(CT・MRI) 腸管外合併症や炎症範囲の補足評価 X線造影検査 大腸の形状・通過状態の確認 潰瘍性大腸炎の診断は、大腸の粘膜に炎症があるかを確認するために、血液検査・便検査・大腸内視鏡検査・画像検査などを組み合わせて総合的に評価します。 とくに大腸内視鏡は炎症の範囲や重症度を直接確認でき、治療方針の決定に欠かせない検査です。 症状が続く場合や悪化が疑われる場合は、早めに医療機関で適切な検査を受けることが大切です。 潰瘍性大腸炎の治療法 治療区分 内容 薬物療法 炎症抑制薬・免疫調整薬・生物学的製剤の使用 栄養療法 食事調整・栄養補給による腸の負担軽減 合併症への治療 貧血・脱水・栄養不足への個別対応 手術療法 炎症部位の切除による症状改善 継続的な経過観察 症状変化に応じた治療調整・定期受診 潰瘍性大腸炎の治療は、大腸の炎症を抑え症状を安定させることが主な目的です。そのため、医師の指導に基づいて薬物療法を中心に行われます。 症状や炎症範囲に応じて栄養療法や合併症への対応が加わり、治療薬で改善が難しい場合には手術が検討されます。 再燃を繰り返しやすいため、定期的な受診と治療方針の調整が必要です。治療を継続することで症状の抑制と生活の質の改善が期待できます。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療法について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】潰瘍性大腸炎の治療とは?目標・流れ・治療薬について解説 【医師監修】潰瘍性大腸炎の治療薬一覧|副作用や服用時の注意点を解説 クローン病と潰瘍性大腸炎の共通点 共通点 詳細 原因不明の慢性炎症で再燃と寛解を繰り返す はっきりとした原因が特定されない慢性的な炎症の持続、症状の悪化と改善の周期的反復 腸管外症状が起こる場合がある 関節痛・皮膚症状・眼の炎症など腸以外の臓器への影響 長期的な治療と生活管理が求められる 薬物療法の継続、食生活の調整、定期受診による病状管理 両疾患とも慢性の炎症を背景とし、活動期と寛解期を繰り返します。症状は腸に限らず、関節痛、皮膚症状、眼の炎症などの腸管外症状が現れることがあります。 そのため、長期的な治療が必要であり、薬物治療と生活管理を並行して行うことが大切です。 原因不明の慢性炎症で再燃と寛解を繰り返す クローン病と潰瘍性大腸炎はいずれも原因不明の慢性腸管炎症を特徴とし、症状が落ち着く時期と悪化する時期を繰り返します。 炎症が完全に消失するわけではないため、下痢や腹部不快感、血便、倦怠感などの症状が生活に影響することがあります。 再燃を防ぐには、症状が落ち着いている時期も含め継続的な治療と定期受診が不可欠であり、長期的な病状管理が両疾患に共通して求められます。 腸管外症状が起こる場合がある クローン病と潰瘍性大腸炎では、腸の炎症に加えて関節、皮膚、眼などに症状が現れる腸管外症状がみられることがあります。 これらは腸の炎症が全身の免疫反応に影響することで起こり、発疹や関節痛、眼の炎症など症状の種類や程度には個人差があります。 腸管外症状は日常生活に支障をきたすこともあるため、早期対応により悪化を防ぐことが重要です。 長期的な治療と生活管理が求められる クローン病と潰瘍性大腸炎はいずれも寛解と再燃を繰り返す慢性疾患であり、長期的な治療と生活管理が必要です。 症状が安定している時期も治療を継続することが再燃予防につながります。また、食事や生活リズム、ストレス管理などの生活習慣も症状に影響するため注意が必要です。 症状の変化に早く気づき適切に対応すること、定期受診や検査を通じた治療方針の調整が重要です。 【覚え方】クローン病と潰瘍性大腸炎を区別するポイント 区別するポイント 詳細 病変の場所と広がり方で覚える クローン病は口から肛門まで炎症が点在、潰瘍性大腸炎は大腸に限局し連続的に広がる病変 症状の違いで区別する クローン病は下痢・体重減少・栄養障害、潰瘍性大腸炎は血便・粘液便・腹部不快感が中心の症状 特徴的な合併症で見分ける クローン病は狭窄・瘻孔、潰瘍性大腸炎は大腸に限局した炎症に伴う出血や貧血の発生 クローン病と潰瘍性大腸炎を区別する際は、炎症が起こる場所と広がり方、症状の特徴、合併症の違いを知ることが大切です。 クローン病は消化管全体に炎症が点在し、栄養障害や狭窄・瘻孔を伴いやすい一方、潰瘍性大腸炎は大腸に限局し血便が目立つことが特徴です。 これらのポイントを押さえることで、両疾患の理解が深まり、日常の症状変化にも気づきやすくなります。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎じゃなかった場合に考えられる疾患について詳しく解説しています。 病変の場所と広がり方で覚える クローン病と潰瘍性大腸炎は、炎症の起こる場所と広がり方で区別できます。 クローン病は口から肛門まで消化管全体に炎症が生じる可能性があり、とくに小腸(回腸)に病変がみられることが多く、炎症が飛び地状に点在する(スキップ病変)ことが特徴です。 一方、潰瘍性大腸炎は大腸(結腸・直腸)に限定して炎症が起こり、直腸から連続的に広がります。 覚え方としては「クローン病=広範囲・点在」「潰瘍性大腸炎=大腸のみ・連続」と整理すると理解しやすくなります。 症状の違いで区別する 症状 クローン病 潰瘍性大腸炎 栄養障害・体重減少 起こりやすい 比較的少ない 血便 出ることもある 典型的な症状 下痢 慢性的に続くことが多い 排便回数の増加を伴う 腹部症状 張りや不快感が断続的 残便感や持続的な不快感 クローン病と潰瘍性大腸炎は症状の現れ方に特徴があります。クローン病では小腸に炎症が生じることが多いため、栄養吸収不良による体重減少や倦怠感が目立ちます。 一方、潰瘍性大腸炎では大腸粘膜の炎症により血便や粘液便が典型的な症状です。両疾患とも下痢や腹部不快感を伴いますが「栄養障害・体重減少が目立つ」場合はクローン病の疑いがあります。 一方「血便が頻繁に出る」場合は潰瘍性大腸炎の可能性が高いと考えられるでしょう。これらの特徴を理解することで、適切な医療機関への相談につながります。 特徴的な合併症で見分ける 合併症 クローン病 潰瘍性大腸炎 狭窄(腸管が狭くなる) 起こりやすい 比較的少ない 瘻孔(腸と他組織がつながる) 特徴的な所見 まれ 肛門部病変 裂肛・膿瘍などが目立つ 比較的少ない 重度の出血 起こることもある 典型的な合併症 中毒性巨大結腸症 まれ 特徴的な重篤合併症 大腸がんリスク あり 長期罹患で高まる クローン病と潰瘍性大腸炎では特徴的な合併症が異なります。クローン病は腸の深い層まで炎症が及ぶため、腸管狭窄(ちょうかんきょうさく)や瘻孔(ろうこう)、肛門周囲病変といった構造的な変化が生じやすいことが特徴です。 一方、潰瘍性大腸炎は大腸粘膜の炎症により重度の出血や中毒性巨大結腸症が起こることがあります。また、長期罹患により大腸がんリスクが高まるため、定期的な内視鏡検査が重要です。 これらの合併症の違いを理解することで、適切な経過観察と早期対応につながります。 クローン病と潰瘍性大腸炎の注意点 注意点 詳細 症状の変化に気をつける 下痢や腹痛の増悪、血便の出現、体重減少や発熱などの体調変化への注意。症状悪化や再燃の早期発見 生活習慣を整える 規則正しい食事、十分な睡眠、過度なストレス回避の意識。腸への負担軽減と体調安定のための生活リズムの維持 感染症対策と定期受診を行う 免疫機能低下を考慮した手洗い・うがいの徹底。定期的な通院と検査による病状把握と治療継続が大切 クローン病や潰瘍性大腸炎では、日常的な注意が病状の安定に重要です。 下痢や腹痛、血便などの症状変化は再燃のサインとなるため、早めに気づくことが大切です。 また、食事や睡眠、ストレス管理といった生活習慣の調整は、腸への負担軽減につながります。 さらに治療薬の影響による感染症リスクを意識し、基本的な感染対策と定期受診を継続することが、長期的な健康維持に欠かせません。 症状の変化に気をつける クローン病と潰瘍性大腸炎は寛解と再燃を繰り返すため、日々の症状変化に気づくことが大切です。 排便回数の増加や血便、腹部不快感の悪化は再燃のサインとなる場合があります。そのため、自己判断で市販薬を使用すると炎症を悪化させることがあります。 症状の変化は治療調整が必要な状況を示すことも多く、早めの受診が必要です。 また、体調が安定している時期も含め、定期的な経過観察を続けることで再燃予防につながります。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎における再燃のきっかけを詳しく解説しています。 生活習慣を整える クローン病や潰瘍性大腸炎では、食事内容が症状に影響するため、適切に管理する必要があります。 炎症や下痢により栄養不足が生じやすく、必要に応じて医師に相談しながら補給を行います。 さらに、ストレスは症状悪化の引き金となることがあり、規則正しい生活リズムや無理のない運動が症状安定において不可欠です。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の食事について詳しく解説しています。 感染症対策と定期受診を行う 項目 注意点 理由・対応 感染症リスク 治療により免疫低下の可能性 手洗い・うがい、ワクチン接種の相談が重要 感染症状の出現 発熱・下痢などは早期受診 再燃との鑑別と適切な治療調整のため 定期受診 症状安定期も継続が必要 炎症の確認、治療効果・副作用の評価 治療薬の継続 自己判断での中断は禁物 再燃リスク増加の防止 (文献6) クローン病・潰瘍性大腸炎の治療では、生物学的製剤や免疫調整薬により感染症リスクが高まる場合があります。日常的な手洗いやうがいなどの基本的な感染対策が欠かせません。 発熱や下痢などの症状は再燃と区別が難しいため、自己判断せず早期に医療機関へ相談しましょう。症状が安定していても腸の炎症が持続していることがあるため、定期受診により治療効果や副作用を確認し適切に調整することが必要です。 治療薬の自己判断による中断は再燃リスクを高めます。そのため、医師と相談しながら継続することが長期的な病状管理に欠かせません。 クローン病と潰瘍性大腸炎が併発する可能性 比較項目 クローン病 潰瘍性大腸炎 併発の考え方 炎症部位 口から肛門までの消化管全体 大腸(結腸・直腸)に限局 発症部位の違い 炎症の特徴 腸壁深部まで及ぶ炎症、点在する病変 粘膜層に限局した連続性炎症 病変構造の相違 診断上の注意点 所見が非典型となる場合 経過により所見が変化する場合 診断困難例の存在 臨床的整理 単独疾患としての診断 単独疾患としての診断 併発ではなく診断分類の問題 特殊な位置づけ 他疾患との鑑別が必要 長期経過で再評価が必要 分類不能型IBD(炎症性腸疾患)としての扱い (文献7) クローン病と潰瘍性大腸炎は、どちらも炎症性腸疾患ですが、同時併発は極めてまれです。両疾患は発症部位や病変の深さが異なるため、臨床的に同時発症することはほとんどありません。(文献7) ただし初期段階で症状や内視鏡所見からどちらとも断定できない場合は、分類不能型IBD(炎症性腸疾患)と診断されることがあります。 また、治療経過中に当初の診断から別の疾患の特徴が現れ、診断名が変更されることはあります。 しかし、これは併発ではなく診断の見直しです。適切な診断と治療のため、定期的な経過観察が重要です。 クローン病と潰瘍性大腸炎の違いを理解し適切な治療を受けよう クローン病と潰瘍性大腸炎はいずれも炎症性腸疾患ですが、病変の部位や広がり方に違いがあります。潰瘍性大腸炎は大腸に連続した炎症が起こり、血便や頻回の下痢が特徴です。 一方、クローン病は消化管全体に飛び飛びの炎症が生じ、腹痛や体重減少が目立ちます。 いずれも完治は難しいものの、薬物療法と生活管理により症状の安定は期待できます。 クローン病と潰瘍性大腸炎についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、クローン病と潰瘍性大腸炎に対して再生医療を用いた治療を行っています。 再生医療は治療薬と比べて全身的な副作用のリスクが比較的低く、手術を伴わない点が特徴です。そのため、感染症や後遺症のリスク、強い痛みの心配も少ないとされています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 クローン病と潰瘍性大腸炎の違いに関するよくある質問 クローン病と潰瘍性大腸炎は症状としてどっちが重いですか? クローン病と潰瘍性大腸炎の症状の重さに明確な優劣はありません。 クローン病では深い炎症による栄養障害や狭窄・瘻孔などの合併症が問題となり、潰瘍性大腸炎では血便や頻回の下痢により生活への影響が大きくなります。 いずれの疾患も病状に応じた適切な治療調整が重要です。 潰瘍性大腸炎からクローン病になるケースはありますか? 現在の医学的知見では、潰瘍性大腸炎が進行してクローン病になる、あるいは両疾患が同時に発症するという明確な病理学的証拠はありません。(文献8) これらは異なるタイプの炎症性腸疾患であり、当初から別々の疾患として存在します。 ただし診断が困難な症例では、経過観察により最初の診断から別の疾患へと再分類されることがあります。これは疾患が変化したのではなく、診断の精度が高まった結果として理解されます。 クローン病と潰瘍性大腸炎は完治できますか? クローン病と潰瘍性大腸炎はいずれも慢性的に腸に炎症が起こる疾患で、現時点で完治は難しいとされています。 治療の目的は炎症を抑えて症状を安定させ、再燃を防ぎながら日常生活を維持することです。 適切な治療により、長期間良好な状態を保つことが期待できます。 参考文献 (文献1) クローン病(指定難病96)|難病情報センター (文献2) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター (文献3) クローン病|消化器系疾患 (文献4) 病気を知るクローン病|慶應義塾大学病院 KOMPAS (文献5) 潰瘍性大腸炎―診療と研究の最前線―|日本消化器病学会雑誌 第113巻 (文献6) 潰瘍性大腸炎、クローン病患者さんの感染症予防のポイント|田辺三菱製薬 (文献7) Two for one: coexisting ulcerative colitis and Crohn's disease|PubMed® (文献8) Breaking Myths About IBD|CROHN’S & COLITIS FOUNDATION
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【医師監修】潰瘍性大腸炎のおならが臭い・多い理由と対策を詳しく解説
「潰瘍性大腸炎の影響でおならの回数が増えた気がする」 「潰瘍性大腸炎のせいでおならがすごい臭いと感じる」 潰瘍性大腸炎では、治療中であってもおならの回数や臭いに悩まされる人は少なくありません。 とくに接客業や営業職、オフィスワークでは周囲の目が気になり、日常生活に支障をきたすこともあります。 腸の炎症や便通の乱れ、食事内容など複数の要因が重なるため、自己流の工夫だけでは十分な改善を実感しにくいケースも多いです。 本記事では、現役医師が潰瘍性大腸炎のおならが臭い理由をわかりやすく解説します。記事の最後には、よくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 潰瘍性大腸炎の症状にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎のおならが臭い理由 おならが臭い理由 詳細 腸の炎症と腸内細菌の変化 腸の炎症により腸内バランスが崩れ、悪臭ガスを作りやすい細菌が増える状態 症状の変動による臭いの変化 下痢や粘液便など便通の乱れに伴い、未消化物が大腸に長く留まり発酵が進む状態 食事と生活習慣の影響 脂質・糖質・発酵性食物繊維の摂取量やストレスによってガス産生が偏る状態 潰瘍性大腸炎では、腸の炎症により腸内細菌のバランスが乱れ、悪臭ガスを産生されやすくなります。また、下痢や粘液便など便通の変動が続くと、未消化物が大腸に長くとどまり発酵が進むため、臭いが強くなることがあります。 さらに、脂質・糖質・発酵性食物繊維の摂取量やストレスなどの生活習慣もガス産生に影響し、臭いの悪化につながります。 腸の炎症と腸内細菌の変化 免疫異常により大腸粘膜に炎症が生じ、バリア機能が低下して腸内環境が乱れます。 その結果、悪玉菌や硫化水素を産生する細菌が増え、含硫アミノ酸の分解により腐卵臭のガスが発生します。 さらに炎症や腸管の狭窄でガスが滞留し、揮発性硫黄化合物が蓄積することが、おならの臭いを一層強くする原因です。 症状の変動による臭いの変化 活動期に炎症が強まると腸内環境が乱れ、硫化水素産生菌が増加するためガスの臭いが強くなることがあります。 また、食事内容やストレスなどの生活要因によっても腸内細菌のバランスが変化し、臭いが一時的に強まる場合があります。 急激な臭いの変化に腹痛や血便が伴う場合は病状悪化のサインであり、早期受診が必要です。 食事と生活習慣の影響 食事内容や生活習慣が腸内環境に大きく影響し、おならの臭いにも直結します。赤身肉や卵などに含まれる含硫アミノ酸は硫化水素産生菌により分解され、腐卵臭の原因となるため過剰摂取は注意が必要です。 また、豆類や炭酸飲料などガスを発生しやすい食品を控えることで臭いの軽減が期待できます。 さらに、ストレス管理や規則的な生活、適度な運動、プロバイオティクスの摂取は腸内環境が整うことで、過剰な発酵が抑えられガスが減りやすくなります。 潰瘍性大腸炎でおならが多くなる理由 おならが多くなる理由 詳細 腸の炎症と腸内環境の変化 炎症により腸内細菌バランスが乱れ、ガス産生菌が増加し、ガス量が増える状態 腸の動きの乱れによるガスの蓄積 腸の蠕動異常でガスの移動が妨げられ、大腸内にガスが滞留しやすくなる状態 食事や薬によるガス産生への影響 食事内容や治療薬の影響で発酵が進み、ガスが増えやすくなる状態 炎症により腸内細菌バランスが乱れてガスが産生されやすくなり、おならの回数が増えることがあります。腸の動きが低下するとガスが大腸内に滞留しやすくなり、膨満感や放屁回数の増加につながります。 さらに、食事内容や治療薬の影響で腸内発酵が進みガス産生が一時的に増加することもあり、これらが重なることでおならの回数や量が多くなる原因です。 腸の炎症と腸内環境の変化 大腸粘膜の炎症により消化・吸収機能やバリア機能が低下し、残渣が適切に処理されにくくなるためガス産生が増加します。また、炎症に伴う腸内細菌叢の乱れにより悪臭ガスを産生する菌が優位になることも、臭いの強いガスが発生しやすくなる原因です。 消化不良による過剰な発酵や腸の運動異常でガス排出が滞ることが重なると、おならの量や臭いがより増強されることがあります。 腸の動きの乱れによるガスの蓄積 炎症により腸の蠕動運動が乱れ、食物残渣やガスが腸内に停滞しやすくなります。その結果、ガスが蓄積しておならの回数増加や腹部膨満感につながります。 ガス排出が滞ると一定量が溜まった後にまとめて排出されやすく「突然多量に出る」と感じることも珍しくありません。 さらに、下痢や便秘などの便通異常が加わるとガス停滞が助長され、症状が強まることがあります。 食事や薬によるガス産生への影響 消化吸収機能が不安定になることで、発酵しやすい炭水化物や硫黄を含む食品が大腸へ届きやすくなり、腸内細菌による分解が進むことでガスが過剰に産生されることがあります。 豆類や玉ねぎ、キャベツ、炭酸飲料なども腸ガス増加の一因です。また、治療薬の影響で腸内細菌叢や腸管の働きが変化し、ガスの生成量や排出パターンが変わる場合もあります。 これらは個人差が大きく、食品や薬の組み合わせで症状が変わることがあります。原因を把握するため、食事や服薬の記録が役立ちます。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の食事について詳しく解説しています。 潰瘍性大腸炎でおならが多い・臭いのは悪化のサイン? 悪化のサイン 詳細 症状悪化に伴う腸の炎症が影響している場合がある 炎症の再燃により腸内環境が乱れ、ガス産生や臭いが強まる状態 他の症状が同時に見られる場合は注意が必要 血便・腹痛・下痢などが併発し、活動期への移行を示す可能性が高まる状態 薬の調整や治療経過に関連する場合がある 薬の変更や効果変動で腸内細菌や腸の動きが影響を受け、ガスの量が増加する状態 おならが急に多くなったり臭いが強まったりする場合、腸の炎症が再燃している可能性があります。とくに血便・腹痛・下痢など他の症状が同時に見られると、活動期へ移行しているサインです。 また、治療薬の調整や効果の変動によって腸内環境や腸の動きが変化し、ガスが増える場合もあります。こうした変化が続く際は早急に医療機関を受診しましょう。 症状悪化に伴う腸の炎症が影響している場合がある 炎症の再燃により大腸粘膜の機能が低下すると、未分解の物質が残りやすくなりガス産生が増加します。 また、炎症は腸内細菌叢に影響し、善玉菌が減少する一方で、ガスや硫黄化合物を産生する菌が増加することで臭いが悪化します。 その上、腸の蠕動運動が乱れるとガスが滞留しやすくなり「おならが多い・臭い」という症状が強く現れるため、注意が必要です。 他の症状が同時に見られる場合は注意が必要 おならの増加や臭いの変化に加えて血便・粘血便、頻回の下痢、腹痛がみられる場合は、腸粘膜の炎症が進行している可能性があります。 さらに37.5℃以上の発熱、急激な体重減少、貧血などの全身症状は重症化の重要なサインであり、免疫反応の亢進に伴って現れるため、これらが確認された場合は速やかな受診が必要です。 また症状が持続する場合や新たに全身倦怠感・めまいが出現した場合は合併症の可能性もあるため、医師による評価が求められます。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎じゃなかった場合に考えられる疾患について詳しく解説しています。 薬の調整や治療経過に関連する場合がある 治療薬そのものが副作用としてガスや膨満を引き起こすことがあり、実際に「ガスが増える」と報告された薬剤も存在します。(文献1) また、薬の効果が弱まって腸の炎症が十分に抑えられていない場合は、粘膜修復が進まず腸内環境が不安定となり、ガスや臭いの悪化が続くことがあります。 潰瘍性大腸炎のガス症状が炎症の活動性と関連するとの報告もあり、治療効果の変動や薬の調整によってガスの量・臭いが変わることがあるため、症状の変化には注意が必要です。(文献2) 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療薬について詳しく解説しています。 潰瘍性大腸炎に対するおならへの対策 おならへの対策 詳細 食事と腸内環境の調整 発酵しやすい食品の調整やプロバイオティクス活用による腸内バランス改善の取り組み 生活習慣とストレスへの配慮 規則的な生活やストレス軽減により腸の働きを整え、ガス産生を抑える工夫 症状に応じて医療機関を受診する 臭いの急激な変化や血便・腹痛などの併発時に早期受診で悪化を防止 潰瘍性大腸炎におけるおなら対策で大切なのは、まず発酵しやすい食品を控えつつ腸内環境を整えることです。 規則正しい生活やストレス軽減は腸の動きを安定させ、ガスの増加を抑える助けになります。 また、臭いの急な悪化や血便・腹痛などが同時にみられる場合は、炎症悪化の可能性があるため早急に医療機関を受診しましょう。 食事と腸内環境の調整 食事内容は腸内細菌叢や腸粘膜の状態に直接影響を与えます。水溶性食物繊維を含む海藻やオクラ、根菜などは腸内で発酵し短鎖脂肪酸を産生する善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。 一方、高脂肪食や過剰なタンパク質摂取は腸内細菌叢の乱れや炎症を誘発する原因です。 適切な栄養バランスにより腸内環境が改善されると、酪酸などの短鎖脂肪酸の産生が促進され、腸粘膜のエネルギー源となり炎症を抑える働きがあります。 これにより腸粘膜の健康が維持され、過剰なガス発生やおならの頻発・悪臭の抑制につながります。 生活習慣とストレスへの配慮 ストレスや生活習慣の乱れは、自律神経の働きを通じて腸の動きや腸内細菌のバランスに影響します。また、ガスが過剰に発生したり、排出されにくくなる原因になります。 一方、適度な運動や規則正しい生活は腸の動きを整え、腸内環境を安定させる上で重要です。 ストレスを上手に管理し、生活リズムを整えることで不調とストレスが重なって悪化する流れを断つことが期待できます。 症状に応じて医療機関を受診する 項目 ポイント 補足 おなら以外の症状にも注意 複数症状は危険サイン 下痢、血便、腹痛、発熱、体重減少などがある場合、腸の炎症悪化が疑われる 医師への情報提供が治療に直結 症状の正確な共有が重要 便回数・便の状態・粘血の有無・体調の変化などを伝えることで、治療方針の見直しがしやすくなる ガスの異常は別の疾患の可能性あり 自己判断は禁物 ガス過多や悪臭が、腸内環境の乱れ以外の疾患のサイン 早期受診が悪化を防ぐ 早期発見の重要性 潰瘍性大腸炎は再燃しやすいため、早期受診と治療継続が不可欠 (文献3) おならの増加だけでなく、下痢・血便・腹痛・発熱・体重減少などがみられる場合は、腸の炎症悪化が疑われるため、早急に医療機関を受診しましょう。 潰瘍性大腸炎と診断されている方は、便回数や便性状、体調変化を正確に伝えることが治療方針の見直しに役立ちます。 ガスの異常が他疾患の兆候となることもあります。そのため、自己判断は禁物です。 早期受診と適切な治療継続が、悪化や合併症の予防において大切です。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療法について詳しく解説しています。 潰瘍性大腸炎のおならに対して適切な対策を講じよう 潰瘍性大腸炎の影響で「おならの回数が増えた」「おならが異様に臭い」と感じることが増えたのであれば、悪化や合併症の可能性があるため注意が必要です。 潰瘍性大腸炎は再燃しやすい疾患であり、放置しておくと重症化し最悪の場合、改善が困難になる可能性があります。 潰瘍性大腸炎についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、潰瘍性大腸炎に対して再生医療を用いた治療をご提案しています。 潰瘍性大腸炎では、幹細胞を用いて損傷した腸粘膜の修復を促す再生医療の研究が進められており、炎症による粘膜障害の改善が期待されています。 再生医療は薬物療法と比べて全身的な副作用が比較的少なく、手術を伴わないため感染症や後遺症のリスクが低いのが利点です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 潰瘍性大腸炎のおならに関するよくある質問 潰瘍性大腸炎でおならを我慢するのは身体に悪影響でしょうか? おならを無理に我慢するのは望ましくありません。ガスが腸内に蓄積すると腹部膨満感や痛みが強まり、炎症で敏感になっている腸の動きをさらに乱す可能性があります。 症状悪化を防ぐためにも、可能な範囲で我慢せず適切に排出することが大切です。 おならの臭い対策として薬の服用を中断しても問題ないでしょうか? 潰瘍性大腸炎の治療薬は腸の炎症を抑えるために不可欠であり、おならの臭いを理由に自己判断で中断することは避けるべきです。 服薬を中止すると炎症が再燃し、症状の悪化や重症化につながる可能性があります。 臭いの原因を薬剤と断定することは適切ではなく、治療継続が基本です。気になる症状がある場合は必ず医師に相談しましょう。 潰瘍性大腸炎は治療で完治しますか? 現時点では、潰瘍性大腸炎を完治させる方法は確立されていません。(文献4) 原因が明確でないため根本的な治療法はなく、現状では炎症を抑えて症状のない状態(寛解)を維持することが治療の目的となります。 内服薬や免疫調整薬、生物学的製剤などを用いて腸の炎症を長期的にコントロールすることが主な治療法です。 潰瘍性大腸炎を患っている家族のおならが急に臭くなった場合どうするべきでしょうか? 潰瘍性大腸炎の方でおならの臭いが急に強くなっても、必ずしも病状悪化とは限りません。 腸内環境の変化や食事内容など、さまざまな要因で起こり得ます。 ただし、下痢・血便・腹痛・発熱・体重減少などの症状を伴う場合は炎症悪化の可能性があるため、速やかに受診してください。 食事や生活習慣、薬の変更なども影響するため、それらを見直すことも大切です。 (文献1) Side Effects of Ulcerative Colitis Medications|WebMD (文献2) Does ulcerative colitis cause gas?|MedicalNewsToday (文献3) 病気を知る潰瘍性大腸炎|慶應義塾大学病院|KOMPAS (文献4) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター
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【医師監修】潰瘍性大腸炎の治療薬一覧|副作用や服用時の注意点を解説
「潰瘍性大腸炎の治療薬について知りたい」 「潰瘍性大腸炎の治療薬の副作用が心配」 潰瘍性大腸炎と診断され、治療薬の説明を受けたものの「治療薬の種類が多く、違いがわからない」という方は多くいます。 治療薬は医師の診断に基づいて処方されますが、服用の仕方を誤ると、症状が悪化するおそれがあります。治療薬を正しく服用するために本記事では、現役医師が潰瘍性大腸炎の治療薬について詳しく解説します。 また、副作用や服用時の注意点も合わせて紹介し、記事の最後にはよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 潰瘍性大腸炎の症状にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎の治療薬一覧 治療薬の種類 詳細 5-ASA製剤 大腸の粘膜に直接作用し、炎症を抑える基本治療薬。寛解維持にも用いられ、内服・坐薬・注腸と症状に合わせた投与が可能 ステロイド 強力に炎症を抑える薬剤。急な悪化時に短期間使用され、症状改善後は徐々に減量して中止する薬剤 免疫調節剤・免疫抑制剤 免疫の過剰反応を抑え、再燃予防やステロイド依存を防ぐ長期管理薬。効果が出るまで時間を要する薬剤 JAK阻害剤 炎症に関わる細胞内シグナルを抑える内服薬。中等症〜重症の患者に用いられる新しいタイプの治療薬 生物学的製剤 炎症を引き起こす特定のタンパク質を標的として抑える注射薬。効果が高く、重症例や他の薬で不十分な場合に使用される薬剤 潰瘍性大腸炎の治療では、炎症の程度や症状の安定度に応じて薬剤を使い分けます。まずは炎症を抑える基本薬を使用し、必要に応じて強い作用を持つ薬や免疫を調整する薬を追加します。 生物学的製剤やJAK阻害剤は、他の治療で十分な効果が得られない場合に選択されますが、どの治療薬にも副作用が存在するため、自己判断せずに必ず医師の指導に基づいて服用しましょう。 5-ASA製剤 5-ASA製剤は、メサラジンなどの形で潰瘍性大腸炎の軽症から中等症の治療に広く用いられている治療薬です。 症状を落ち着かせる(寛解導入)ことと、その状態を保つ(寛解維持)の両方に効果があります。5-ASA製剤の特徴は、腸の粘膜に直接作用して炎症を抑えることです。 全身の免疫機能を抑える働きはないため、比較的体への負担が少なく、長期間使用できます。炎症を鎮めることで潰瘍の治癒を助け、再発の予防にも役立ちます。 日本ではペンタサ・アサコール・リアルダなどのメサラジン製剤が潰瘍性大腸炎の治療で広く使われているのが現状です。一方、歴史的に用いられてきたサラゾスルファピリジン(サラゾピリン)は、現在では使用頻度が減りましたが、それでも特定の症例において処方されることがあります。 副作用が比較的少ないことから、潰瘍性大腸炎治療の基本となる治療薬として位置づけられています。 5-ASA製剤の副作用 5-ASA製剤は、副作用としてまれに腎機能の異常や腎炎が報告されています。(文献1) また、頻度は低いものの、間質性肺炎や重度の皮膚反応といった重篤な合併症も知られています。(文献2) 服用開始後1〜2週間で症状が悪化する場合は、5-ASA不耐性の可能性があるため、早めに医師へ相談することが大切です。 症状が落ち着いても自己判断で服薬を中断すると再燃率が高まることが報告されており、寛解状態を保つためには継続的な服薬が欠かせません。(文献3) ステロイド ステロイド薬は強力な抗炎症作用を持ち、潰瘍性大腸炎の活動期で症状が強いときに、速やかに炎症を抑えて症状を緩和する目的で使用されます。 内服薬のほか、注腸剤や坐薬として用いられ、血便や下痢、激しい炎症などの急性症状の改善に効果を発揮します。 一方で、ステロイドは寛解維持を目的とした長期管理の薬としては推奨されません。長期使用により感染症リスクの増加、骨密度の低下、糖尿病、高血圧などの副作用が生じる可能性があるためです。 長期の漫然投与は避けるべきとされており、使用期間は短期間に限定することが原則です。(文献4) ステロイドの副作用 ステロイド薬には効果的な抗炎症作用がある一方で、注意すべき副作用がいくつか存在します。 体重増加やムーンフェイス(顔が丸くなる)、食欲増進といった外見的変化のほか、高血圧、高血糖、脂質異常などの代謝異常が生じることがあります。 長期使用では骨粗鬆症による骨折リスクが高まるため注意が必要です。また免疫抑制作用により感染症への抵抗力が低下し、細菌・ウイルス・真菌感染のリスクが上昇します。(文献5) 眼への影響として白内障や緑内障、皮膚では薄くなる・傷の修復が遅延するなどの変化も報告されています。 複数回・長期間の使用では大腿骨頭壊死などの不可逆的な合併症のリスクも指摘されており、慎重な管理が欠かせません。 免疫調節剤・免疫抑制剤 免疫調節剤・免疫抑制剤は、アザチオプリン(AZA)や6-メルカプトプリン(6-MP)などのチオプリン製剤が代表的な薬剤です。 ステロイド治療後の寛解維持や再発を繰り返す場合のステロイド離脱目的で使用されます。病勢が強い場合には、他剤への切り替えや併用療法が検討されます。 作用発現までに時間を要し、一般的に投与開始後3〜6カ月で効果が現れる点が特徴です。(文献6) 免疫調節剤・免疫抑制剤の副作用 副作用・注意点 内容 骨髄抑制 白血球・赤血球・血小板の減少による感染や貧血、出血リスクの増加 肝機能障害 肝臓への負担による肝数値の悪化 消化器症状 吐き気・下痢・腹痛の出現による薬剤不耐性の可能性 免疫調節・抑制剤は炎症を抑える一方で、骨髄抑制や肝機能障害などの副作用が起こることがあります。とくに骨髄抑制は頻度も一定程度みられるため、定期的な血液検査が欠かせません。 投与初期には吐き気や下痢、腹痛などの消化器症状が現れ、薬剤が体質に合わないサインとなる場合もあります。副作用を早期発見するためには、症状に気付いた段階で医師へ相談することが重要です。 JAK阻害剤 薬剤名 特徴 トファシチニブ(ゼルヤンツ) 1日のうち複数回の内服による治療、寛解導入から維持まで使用される薬剤 フィルゴチニブ(ジセレカ) 1日1回の内服が可能で、JAK1に選択的に作用する薬剤 ウパダシチニブ(リンヴォック) 1日1回の内服で、JAK1とJAK2を幅広く抑える薬剤 JAK阻害剤は、炎症を引き起こすシグナルを遮断し腸の炎症を和らげる内服薬です。既存の治療で効果が十分でない中等症〜重症の患者に使用されます。 作用の立ち上がりが比較的早く、症状の変化を実感しやすいことも特徴です。種類により作用の幅や投与回数が異なるため、医師の指導のもと症状や生活スタイルに合わせた薬剤が使用されます。 JAK阻害剤の副作用 JAK阻害剤は、肝機能障害や白血球減少、貧血のほか、脂質異常の出現など多様な副作用がみられることがあります。 まれに消化管穿孔など重い合併症を生じる可能性もあるため、投与前後の血液検査による慎重な管理が欠かせません。 幅広い炎症性サイトカインを抑える作用を持つことから、生物学的製剤で十分な効果が得られなかった患者に対しても新たな治療選択肢を提供する治療薬です。 生物学的製剤 製剤の種類 内容 抗TNFα抗体製剤 インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブによるTNFαの抑制、速やかな症状改善と寛解維持への有用性 抗α4β7インテグリン抗体製剤 ベドリズマブによる腸管への炎症細胞の接着阻害、腸管特異的な抗炎症作用 IL-12/23阻害薬 ウステキヌマブによるIL-12・IL-23の抑制、免疫反応の調整と炎症軽減 抗IL-23p19抗体製剤 グセルクマブによるIL-23の特異的抑制、再燃予防に寄与する新しい治療選択肢 生物学的製剤は、炎症の原因となる分子を抑える分子標的薬です。中等症から重症の潰瘍性大腸炎で効果を発揮します。 抗TNFα製剤は速やかな改善が期待でき、多くの患者で使用されています。ベドリズマブは腸に特化して作用する点が特徴です。 生物学的製剤の副作用 生物学的製剤は中等症から重症の潰瘍性大腸炎に効果が高い一方で、免疫抑制による感染症リスクへの注意が必要です。 主な副作用として感染症リスクの増加が挙げられ、免疫を抑制する作用により細菌・ウイルス・真菌などへの抵抗力が低下する可能性があります。 また、注射部位の発赤や腫れ、アレルギー反応、点滴時に発生する発熱・悪寒などの輸注反応が生じることもあり、投与中は結核やB型肝炎などの感染症スクリーニングが必要です。 そのため、定期的な血液検査やモニタリングを通じ、リスクを確認しながら治療を進めることが大切です。 潰瘍性大腸炎の治療薬を服用する際の注意点 注意点 詳細 薬の中断や変更は自己判断しない 症状が落ち着いていても自己判断で減量・中断しないことが再燃防止につながるため、必ず医師の指示に従うこと 副作用と感染症への注意 発熱・下痢の悪化・咳などの感染兆候を見逃さず、早期の受診が重症化予防につながるため、体調変化のこまめな観察 検査・相互作用・妊娠への配慮 定期検査の受診、他薬・サプリとの併用確認、妊娠を希望する場合の事前相談など、治療計画全体に配慮した管理 潰瘍性大腸炎の治療薬は、適切に継続することで炎症を抑え、再燃を防ぐ重要な役割を担います。症状が落ち着いていても、自己判断での中断や変更は病状悪化につながるため、必ず医師の指示に従うことが大切です。 また、一部の薬剤は感染症に対する抵抗力を低下させるため、発熱や咳、下痢の悪化などの体調変化があれば早めに受診する必要があります。 さらに血液検査や肝機能・腎機能の定期チェック、他の薬剤との相互作用の確認、妊娠を希望する際の事前相談など、治療全体を見据えた管理が欠かせません。 薬の中断や変更は自己判断しない 潰瘍性大腸炎の治療薬は、症状が落ち着いていても自己判断で中断してはいけません。 潰瘍性大腸炎は再燃と寛解を繰り返す慢性疾患であり、抗炎症薬・維持療法薬(とくに5-ASA製剤)を中断した患者では再発頻度が高いことが知られています。 実際、5-ASA製剤を中止した群では 12〜24カ月で再燃率が52〜91%に達したとの報告があります。(文献7) 症状が軽快しても腸の炎症が完全に治癒しているとは限りません。薬を継続することで寛解維持や大腸がんを含む合併症の予防につながります。 また、潰瘍性大腸炎は病勢によって使用する薬剤が変わるため、治療段階を誤ると悪化を招く可能性があります。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の再燃について詳しく解説しています。 副作用と感染症への注意 免疫抑制薬や生物学的製剤は腸の炎症を抑える一方で、免疫機能を低下させるため感染症への注意が必要です。 とくに複数の免疫抑制薬(ステロイドと生物学的製剤など)を併用する場合や、免疫が低下している患者では、肺炎・敗血症・結核・日和見感染などのリスクが高まることが報告されています。(文献8) 通常の風邪や胃腸炎でも悪化しやすく、真菌感染や結核再活性化など重大な副作用を引き起こす可能性があります。 予防接種の相談、日常的な感染対策、定期検査の継続が重要であり、発熱や咳などの体調変化があれば早めに医療機関へ連絡することが大切です。 検査・相互作用・妊娠への配慮 潰瘍性大腸炎の治療薬には、腎機能・肝機能・血液成分に影響を与えるものがあり、定期検査によるモニタリングは副作用の早期発見に欠かせません。 また、薬剤ごとに他薬やサプリ、ワクチンとの相互作用が生じる可能性があるため、併用時には必ず医師や薬剤師へ相談しましょう。 免疫抑制薬や生物学的製剤を使用する場合は、生ワクチンの可否にも注意が必要です。さらに、妊娠を希望する方や妊娠中の患者では、病勢の安定が母体・胎児双方に影響するため、薬剤使用の自己判断での中断は避け、適切な管理が推奨されます。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎における性行為について詳しく解説しています。 潰瘍性大腸炎の治療薬と併用して行われる治療法 治療薬と併用して行われる治療法 詳細 食事・生活習慣の管理 消化に良い食事選択、腸への負担を減らす栄養管理、禁煙・適度な運動・十分な休息による再燃予防 悪化予防とメンタルケア ストレス軽減、睡眠確保、心理的負荷の調整、腸の炎症悪化因子の回避による症状安定 外科的治療 内視鏡的治療や手術を含む重症例への対応、薬物療法で効果不十分な場合の症状改善 再生医療 幹細胞治療などを用いた腸組織の修復支援、将来的な治療選択肢としての活用 潰瘍性大腸炎では、薬物療法に加えて食事・生活管理やメンタルケアを行うことで、炎症の悪化や再燃を予防できます。 薬物療法で十分な効果が得られない場合には、内視鏡的治療や手術を併用することがあります。 また、幹細胞治療などの再生医療は腸組織の修復を目指す新たな選択肢として研究が進んでいますが、実施できる医療機関は限られており、すべての症状に適用できるわけではありません。 治療適応や効果、安全性については医師と十分に相談し、適切な治療法を検討する必要があります。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療について詳しく解説しています。 食事・生活習慣の管理 薬物療法に加えて食事・生活習慣を調整することで、腸への負担を減らし再燃予防に役立ちます。活動期は低脂肪・低残渣の消化しやすい食事を選び、寛解期はバランスの良い栄養摂取で免疫力を維持することが大切です。 また、十分な睡眠、ストレス管理、適度な運動は自律神経を整え、炎症悪化を防ぐ上で重要です。喫煙や過労を避けることで薬剤の効果が高まり、生活の質の向上にもつながります。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の食事について詳しく解説しています。 西野入 直輝様作成KW:潰瘍性大腸炎の食事 悪化予防とメンタルケア 薬物療法に加えて悪化要因の回避と心理的ケアを行うことで、炎症の再燃を防ぎ長期的な寛解維持に寄与します。 高脂肪食や刺激物、NSAIDs、喫煙、感染症などは腸の炎症を促進するため、日常的に避けることが大切です。 また、睡眠不足や過労は自律神経を乱し再燃の引き金となります。精神的ストレスは免疫反応を過剰にして症状を悪化させるため、リラクゼーションやカウンセリングを活用し心身のバランスを整えることが治療効果の向上に役立ちます。 外科的治療 薬物療法で十分な効果が得られない場合や重篤な合併症を伴う場合に、内視鏡治療や手術が選択されます。内視鏡的治療は限局した病変や浅い異形成を大腸鏡で切除する方法で、腸の構造を保ちながら病変を除去できますが、適応は限定的です。 一方、重症出血や穿孔など生命に関わる状態、または薬剤が無効なケースでは、大腸の全切除や一部切除を行う手術治療が検討されます。 代表的な方法には全大腸切除+回腸肛門吻合術(IPAA)やストーマ造設などがあります。統計的には、潰瘍性大腸炎患者の約20%が経過中になんらかの手術を受けると報告されています。(文献9) 手術後は排便習慣の変化や術後管理が必要です。また、医師と十分に相談した上で治療を選択し、継続的な経過観察を受けることが重要です。 再生医療 潰瘍性大腸炎の薬物療法が効きにくい難治性潰瘍に対する新たな治療法として、患者自身の腸の細胞を用いた再生医療の研究が進められています。 この治療では、患者の健康な腸から採取した幹細胞(組織を再生する能力を持つ細胞)を培養し、内視鏡を使って炎症部位へ移植することで腸粘膜の修復を促します。 従来の薬物療法で粘膜治癒が得られにくい患者への新たな選択肢として期待される一方、すべての症状に適用できるわけではありません。また、実施できる医療機関も限られているものの、将来的には症状の安定化や改善に寄与し他の腸疾患への応用も見込まれる治療法です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 治療薬で改善しない潰瘍性大腸炎は当院へご相談ください 潰瘍性大腸炎は難病に指定されており、現時点では完治させる治療法は確立していません。そのため、治療は薬物療法による症状のコントロールが中心となります。 薬の効果を十分に引き出し適切に使用するためには、正しい服用方法や起こり得る副作用を理解しておくことが重要です。 潰瘍性大腸炎についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、潰瘍性大腸炎に対して再生医療を用いた治療を行っています。 潰瘍性大腸炎に対しては、幹細胞を利用して損傷した腸粘膜の修復を促す再生医療の研究が進められており、炎症による粘膜障害を改善できる可能性が示されています。 再生医療は治療薬と異なり、全身的な副作用のリスクが比較的低いのが特徴です。また、手術を伴わないため感染症や後遺症のリスクが低い点も利点です。外科的処置のような大きな痛みを伴う心配もほとんどなく、将来的な治療選択肢として期待されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 潰瘍性大腸炎の治療薬に関するよくある質問 潰瘍性大腸炎の薬代は高額ですが助成は受けられますか? 潰瘍性大腸炎は指定難病のため、医療受給者証が交付されれば診察費や薬代の自己負担が軽減されます。(文献10) また、難病助成の対象外でも、医療費が高額になった場合は高額療養費制度により月々の負担が上限額まで抑えられる可能性があります。(文献11) 潰瘍性大腸炎は市販の薬で改善できますか? 潰瘍性大腸炎の炎症を市販薬だけでコントロールすることはできません。改善には医療機関での診断が必要です。 病状や炎症の範囲に応じて5-ASA製剤・免疫調節薬・生物学的製剤などの処方薬を継続的に使用します。潰瘍性大腸炎の治療は医師の指導のもと、適切な薬物療法を続けることが大切です。 潰瘍性大腸炎は治療薬を服用せずに改善できますか? 潰瘍性大腸炎は慢性的に炎症を繰り返す病気であり、現時点で根治を目的とした標準治療はありません。 そのため、治療薬を使用せずに病状が長期的に安定するとは限らず、適切な治療の継続が欠かせません。 参考文献 (文献1) The risks and the benefits of mesalazine as a treatment for ulcerative colitis|PubMed® (文献2) MESALAZINE (Pentasa, Salofalk, Mesasal, Mezavant)|ST VINCENT’S HOSPITAL (文献3) 潰瘍性大腸炎について|慶應義塾大学病院IBD(炎症性腸疾患)センター (文献4) 潰瘍性大腸炎患者のステロイド総投与量と副作用の検討|J-STAGE (文献5) Corticosteroid Adverse Effects|NIH — National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献6) Fact Sheett|CROHN’S & COLITIS FOUNDATION (文献7) Review article: withdrawal of 5-aminosalicylates in inflammatory bowel disease|Wiley Online Library (文献8) Comparative Risk of Serious Infections with Biologic and/or Immunosuppressive Therapy in Patients with Inflammatory Bowel Diseases: A Systematic Review and Meta-analysis|PMC PubMed Central® (文献9) Surgical Principles in the Treatment of Ulcerative Colitis|PubMed® (文献10) 指定難病患者への医療費助成制度のご案内|難病情報センター (文献11) High-Cost Medical Expense Benefit (Eligibility Certificate for Ceiling-Amount Application) or KOGAKU RYOYOHI SEIDO (GENDOGAKU TE|高額療養費制度(限度額適用認定証)について:2018年3月版
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潰瘍性大腸炎は性行為でうつる?医学的根拠に基づいて現役医師が解説
「潰瘍性大腸炎は性行為でうつると聞いたが本当か?」 「潰瘍性大腸炎を患うと一生性行為ができないというのは本当?」 潰瘍性大腸炎は難病のひとつであり、性行為で感染するという噂を聞いて心配する声が多くあります。血便や粘膜の炎症がある難病と聞くと感染症を思い浮かべ、周囲に相談しにくく、悩みをひとりで抱えてしまう患者も少なくありません。 しかし、結論として潰瘍性大腸炎は性行為でうつる難病ではありません。本記事では、現役医師が潰瘍性大腸炎は性行為でうつらない理由を医学的根拠に基づいて詳しく解説します。 記事の最後には、潰瘍性大腸炎と性行為に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 潰瘍性大腸炎の症状にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【結論】潰瘍性大腸炎は性行為でうつらない うつらない理由 詳細 潰瘍性大腸炎は体内の免疫異常によって起こるため感染しない 免疫システムが腸管を誤って攻撃することで炎症が起こる自己免疫性疾患であり、外部から人へうつる性質を持たない状態 潰瘍性大腸炎の発症に関わる感染性の病原体が存在しないため他人にうつらない 細菌やウイルスといった伝播性病原体が確認されておらず、性行為や日常接触で感染を媒介する要素がない状態 潰瘍性大腸炎は免疫異常が関与する非感染性の疾患であり、性行為を含む日常的な接触で他者に感染することはありません。 血便や炎症といった症状から「人にうつるのでは」と心配される方がいますが、病原体が存在しないため伝播の可能性はありません。 ただし、腹部症状や治療に伴う体調変化、通院などが性生活に影響を及ぼすことはあります。パートナーとのコミュニケーションを大切にしながら、無理のない範囲で日常生活を送ることが重要です。 感染症ではなく免疫の異常が原因のため 潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に炎症を起こす疾患ですが、細菌やウイルスによる感染症ではありません。免疫機能の異常により自己の粘膜を攻撃することで炎症が持続すると考えられています。 そのため、インフルエンザや感染性胃腸炎のように接触で伝播することはありません。性行為を含む日常生活において相手に感染させる心配はありません。 「炎症」という言葉から感染を連想しやすいですが、これは免疫学的機序に基づく非感染性の病態です。 他者に伝播する病原体は存在しないため 潰瘍性大腸炎は、細菌やウイルスのように他者へ広がる病原体が原因ではなく、免疫機能の異常によって腸の粘膜に炎症が続く疾患です。 性行為での接触や体液の共有によって相手に伝わる仕組みは存在しません。また、家族や同居者間で連続して発症する傾向も認められておらず、生活環境や接触とは無関係です。 潰瘍性大腸炎が性行為でうつるといわれる要因 誤解される理由 詳細 血便=感染症と連想されやすいこと 血便を細菌感染と誤認し血液接触で感染すると考えてしまう状況 SNS・口コミで感染症と混同されること IBD(炎症性腸疾患)が感染性腸炎と名称が似ており誤情報が拡散しやすい状況 同居・接触でうつると誤解されること 接触や生活を共有で感染すると考えがちな誤認 性行為=感染リスクと感じやすいこと 粘膜接触がある行為を感染源と誤って捉えてしまう状況 潰瘍性大腸炎は免疫の異常によって腸に炎症が生じる疾患であり、細菌やウイルスが原因ではありません。そのため、性行為や日常生活の接触で他者にうつることはありません。 しかし、血便や「腸炎」という言葉から感染症を連想してしまい、SNSの誤情報や噂話などで感染性と混同されることがあります。 潰瘍性大腸炎が性行為に与える影響 性行為に与える影響 詳細 腹部の違和感や腸の動きによる不快感 炎症による腹部圧迫感や腸の動きによる痛みが刺激で増強しやすい状態 排便の不安による精神的な負担 便意や漏れへの不安が緊張を高め行為への心理的抵抗につながる状況 治療薬の影響や心理面の変化による性への意欲低下 免疫調整薬・ステロイド等の影響や疾患による自己肯定感低下が性への関心を弱める状態 潰瘍性大腸炎は性行為で感染することはありませんが、腹部症状や体力低下、心理的変化が性生活に影響を及ぼす可能性があります。 活動期には腹部膨満感や排便への不安から行為に集中できないことがあり、治療薬の副作用で気分の落ち込みを経験する方もいます。 これらは疾患に伴う身体的・精神的変化であり、感染リスクとは異なる問題です。症状が安定した時期を選び、無理のない体位を工夫するなど、自身の体調に合わせた対応が大切です。 腹部の違和感や腸の動きによる不快感 潰瘍性大腸炎では腸粘膜の炎症により腹部膨満感や重さが生じやすく、性行為中の体位変換で症状が意識されることがあります。 炎症によって腸が敏感になると蠕動運動を感じやすくなり、腹部圧迫を伴う姿勢で違和感が増強する場合があります。またガスの貯留も腹部不快感の一因です。 排便が近い感覚があるときは心身の緊張が高まり、行為への集中が妨げられることもあります。これらは炎症に伴う身体反応であり、症状の程度に応じた配慮が必要です。 排便の不安による精神的な負担 排便に対する不安が強まり、性行為への意欲や集中力に影響することがあります。排便が近い感覚や急な便意への心配は緊張を生み、行為に支障をきたすことがあります。 「相手に迷惑をかけたくない」という思いから、心理的負担が増加し行為を避けるようになり、性生活やパートナーとの関係に影響を及ぼします。 治療薬の影響や心理面の変化による性への意欲低下 潰瘍性大腸炎の治療では、薬の影響や病気に伴う心理的負担が性への意欲に影響することがあります。 治療薬による気分の変動や体調の揺れ、慢性症状によるストレス、自己イメージの低下などが関心を弱める要因になります。 これらの変化が続く場合には、医師と相談し治療内容を調整することが大切です。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療薬について詳しく解説しています。 潰瘍性大腸炎患者が性行為を行う際の注意点 注意点 詳細 体調が落ち着いている時期を選ぶ 寛解期など腸の炎症や腹部症状が安定している時期を選ぶことで負担を減らす状況 腹部への負担が少ない姿勢や動作を選ぶ 腹部圧迫を避け横向き姿勢など無理のない体勢で違和感を抑える状況 治療薬の影響や体調の変化が気になるときは事前に伝えておく 薬の作用や体調の揺れを共有し無理のない進め方を調整しやすくする状況 性行為を行う際は、体調に配慮したタイミングと姿勢の選択が欠かせません。 活動期は腸の動きが不安定で腹部の違和感が強まりやすいため、症状が落ち着いた寛解期を選ぶことで負担を軽減できます。 具体的には、腹部を圧迫しない体勢を選び、治療薬の影響や体調の変化については事前にパートナーへ伝えておくと良いでしょう。 潰瘍性大腸炎が相手に感染することはありませんが、身体の状態には波があるため、自分のペースを尊重した対応が大切です。 体調が落ち着いている時期を選ぶ 潰瘍性大腸炎は症状が変動しやすいため、性行為は体調が落ち着いている時期に行うことが重要です。 活動期は腹部の張りや違和感が強まり、姿勢の変化で不快感が増えることがあります。また、排便回数の増加や急な便意への不安が緊張を高め、行為に集中しにくくなります。 さらに、症状が強い時期は体力低下や疲労感が出やすく、無理がききにくい状態です。一方、寛解期は腹部症状や排便が安定し、心身に余裕が生まれるため、より自然にパートナーとの時間を過ごしやすくなります。 腹部への負担が少ない姿勢や動作を選ぶ 潰瘍性大腸炎は腸に炎症があるため、性行為の際に腹部への負担が不快感につながりやすく、姿勢や動作の工夫が欠かせません。 腹部が敏感な状態では圧迫により違和感が強まり、腹圧が高まる姿勢では張りや痛みが出やすくなります。 急な動作を避けて柔らかく動き、腹部への圧迫が少ない姿勢を選ぶことで身体的負担が軽減され、パートナーと無理なく快適に過ごせるようになります。 治療薬の影響や体調の変化が気になるときは事前に伝えておく 潰瘍性大腸炎の治療中は、薬の作用や体調の変化が性行為に影響することがあるため、気になる点を事前にパートナーへ伝えることが大切です。 ステロイド剤などは気分や体調に変動をもたらすことがあり、相手の理解があれば無理のないタイミングを選びやすくなります。 症状は日によって変動しやすく、腹部膨満感や疲労、排便への不安が強い日は行為に集中しにくくなります。事前に懸念点をパートナーに共有しておくことは良好な関係維持につながるでしょう。 以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療について詳しく解説しています。 片桐作成KW:潰瘍性大腸炎の治療 潰瘍性大腸炎患者は無理のない性行為を心がけよう 潰瘍性大腸炎は性行為で相手に感染することはありませんが、症状の変動や治療の影響で体調や気持ちが変化します。 寛解期を選び、腹部への負担が少ない姿勢で進めることで負担が軽減されます。パートナーと状況を共有し、無理のないペースで行うことが大切です。 潰瘍性大腸炎についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、潰瘍性大腸炎に対して再生医療を用いた治療を行っています。 潰瘍性大腸炎では、幹細胞を用いて損傷した腸粘膜の再生を促す再生医療の研究が進んでおり、炎症による粘膜障害を改善できる可能性があります。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 潰瘍性大腸炎と性行為に関するよくある質問 潰瘍性大腸炎は性機能に影響を与えますか? 症状の悪化時や一部の治療薬の影響で性欲低下や勃起不全がみられることがあります。 一方、寛解期には多くの患者が通常の性生活を送れており、医師と相談すれば治療調整で対応可能です。 適切な治療とコミュニケーションがあれば、性機能に大きな支障が出ない場合もあります。 潰瘍性大腸炎と診断されましたが妊活を行なっても大丈夫でしょうか? 潰瘍性大腸炎の患者でも妊活は問題なく行えます。ただし、活動期の妊娠は流産や早産のリスクがやや高まるため注意が必要です。 治療薬の多くは妊娠中も使用可能です。自己判断で治療薬の中断は避け、医師と相談しながら継続することが重要です。 潰瘍性大腸炎は子どもに遺伝しますか? 潰瘍性大腸炎は、親から必ず遺伝する疾患ではありません。しかし、遺伝的素因が発症リスクの一因となることが示されています。 複数の遺伝子多型が免疫応答や腸管の性質に影響する可能性が報告されています。(文献1) また、近親者に潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患がある場合は一般集団より発症リスクが高まるという研究結果があるため、注意が必要です。(文献2) ただし、家族歴があっても発症しない人のほうが圧倒的に多く、発症は遺伝要因と食生活・腸内細菌・生活習慣などの環境要因が組み合わさって決まると考えられています。(文献3) 潰瘍性大腸炎のパートナーと性行為を行う際に気をつけるべきことはありますか? 潰瘍性大腸炎のパートナーとの性行為では、相手の体調を尊重し、無理のないタイミングを選ぶことが重要です。 体調や不安を共有して理解を深め、腹部への負担が少ない姿勢や穏やかな動きを心がけましょう。 参考文献 (文献1) Genetic update on inflammatory factors in ulcerative colitis: Review of the current literature|PMC PubMed Central® (文献2) Familial and ethnic risk in inflammatory bowel disease|PMC PubMed Central® (文献3) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター
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【医師監修】潰瘍性大腸炎になりやすい性格は?主な原因や気をつけるべきポイントを解説
「潰瘍性大腸炎になりやすい性格はあるのか」「性格が原因で潰瘍性大腸炎になることはあるのか」など、疑問に思う方もいるでしょう。 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、下痢や腹痛、血便などを繰り返す疾患です。真面目で繊細な性格の人はストレスを溜めやすい傾向がありますが、現時点で性格自体が潰瘍性大腸炎の直接的な原因であるという科学的根拠はありません。 今回は、潰瘍性大腸炎になりやすい性格について解説します。主な原因や日常生活において気をつけるべきポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 性格は関与している?潰瘍性大腸炎の原因について 潰瘍性大腸炎の発症には、性格が直接関与するわけではありません。主な原因としては、免疫の異常や遺伝的要因、腸内細菌バランスの乱れなどが影響する可能性が指摘されています。しかし、医学的に見てどれも決定的な要因とは言えません。(文献1) 性格についても、あくまで潰瘍性大腸炎の症状に影響があると考えられている程度です。ストレスを感じやすい人は症状が悪化しやすい傾向があるものの、性格が発症の直接的原因ではないと考えられます。そのため、潰瘍性大腸炎を発症した場合においても、性格が原因だと考えすぎず、適切な治療によって症状を管理することが大切です。 潰瘍性大腸炎になりやすい性格 ここでは、潰瘍性大腸炎になりやすい性格としてあげられるタイプを紹介します。 真面目で繊細な性格の人はストレスを溜めやすく、症状が悪化するリスクがあると考えられます。性格自体が潰瘍性大腸炎の直接的な原因ではありませんが、自己管理のための参考に知っておくと安心です。 ストレスを感じやすい ストレスを感じやすい性格の人は、潰瘍性大腸炎の症状が悪化しやすい可能性があります。 実際に性格が直接的な原因となるわけではありませんが、心理的負担が免疫や腸の働きに影響する点は示唆されています。ストレスを感じやすい人は意識的にリラックスや趣味の時間を取り入れ、症状管理を心がけることが大切です。 些細なことが気になる 些細なことが気になる性格の人は、物事を深く考え込み、ストレスを溜めやすい傾向があります。 ストレスの蓄積は腸に負担をかけ、潰瘍性大腸炎の症状悪化につながる可能性があるため注意が必要です。普段から物事をあまり深く考え込みすぎないよう意識し、些細なことが気になるときは、気持ちを切り替える工夫を取り入れることが大切です。 真面目で責任感が強い 真面目で責任感の強い人も、つい無理をして心身に負担をかけてしまう傾向があります。 心身の負担によって腸の調子が乱れると、潰瘍性大腸炎の症状が悪化するリスクにつながります。真面目な人ほど意識的に適度な休息や趣味の時間を日常に取り入れ、心身の負担軽減に努めることが大切です。 潰瘍性大腸炎の原因として考えられるもの 潰瘍性大腸炎は、原因が完全には解明されていない疾患です。しかし、いくつかの要因が発症や症状悪化に関与していると示唆されています。 ここでは、潰瘍性大腸炎の原因として考えられるものをそれぞれ見ていきましょう。 免疫異常 潰瘍性大腸炎の原因の一つとして、免疫異常があります。これは、本来はウイルスや細菌から身体を守る免疫が、誤って自分の大腸粘膜を攻撃してしまう状態のことです。その結果、大腸の内側に炎症や潰瘍が生じ、下痢や血便、腹痛などの症状が現れます。 免疫異常が起こる明確な理由は解明されていませんが、食生活やストレス、腸内細菌の乱れなどが関与すると考えられています。この場合、免疫調整薬を用いて過剰な免疫反応を抑え、炎症を鎮めることで症状の安定や再燃予防を目指すのが一般的です。 遺伝的要因 潰瘍性大腸炎は遺伝性の病気ではありませんが、家族に同疾患や炎症性腸疾患のある人は発症しやすい傾向があると報告されています。(文献2)ただし、遺伝だけで発症が決まるわけではなく、食生活の変化や腸内細菌の乱れ、喫煙などの環境要因が免疫の異常反応を引き起こし、腸の炎症につながることもあります。 そのため、遺伝的リスクがある場合でも、生活習慣の見直しや定期的な受診によって発症の予防や早期発見が可能です。 腸内環境の乱れ 潰瘍性大腸炎の発症や悪化には腸内環境の乱れが関与すると考えられています。腸内細菌のバランスが崩れると免疫や腸の炎症に影響し、症状悪化の原因となるからです。 腸内環境を乱す主な要因には、食生活の偏りや強いストレスなどがあげられます。そのため、症状管理には野菜や発酵食品で善玉菌を増やしたり、脂肪や糖質の過剰摂取を控えたりするといった栄養面での工夫がポイントです。さらに、適度な運動やストレス対策を取り入れることで、腸内環境の改善につながります。 潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人が気をつけるべきポイント 潰瘍性大腸炎はストレスや生活習慣による影響を受けやすい疾患です。そのため、日常生活における工夫が症状管理に役立ちます。 ここでは、潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人が気をつけるべきポイントを解説するので、ぜひ参考にしてください。 ストレスを軽減する 潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人は、ストレスによって症状が悪化しやすい傾向があります。心身の負担を減らすためにも、日頃から以下のような点に気をつけましょう。 十分な睡眠を確保する 趣味やリラックスできる時間を持つ 悩みを抱え込まずに相談する ストレスを完全には避けられなくても、日々の習慣によってストレスをうまく発散することが、症状の安定や再燃予防につながります。 規則正しい生活を心がける 潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人は、生活リズムを整えることが症状管理のポイントです。生活リズムが乱れると自律神経が不安定になり、腸の働きにも影響を及ぼすからです。 潰瘍性大腸炎の症状悪化を防ぐためには、朝食を欠かさず摂ったり、就寝・起床時間を一定に保ったりするなど、規則正しい生活を意識しましょう。生活習慣を整えることは腸の健康維持だけではなく、再燃リスクの低減にもつながります。 早めに医療機関を受診する 潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人ほど、症状が現れたら早めに医療機関を受診しましょう。腹痛や下痢、血便などの症状を自己判断で放置すると、病状が悪化しやすくなるため注意が必要です。 潰瘍性大腸炎の主な治療法は、栄養療法・薬物療法・手術療法・再生医療の4つです。潰瘍性大腸炎は、早期に診断・治療を受けることで炎症の進行を抑え、症状の改善が期待できます。また、適切な治療によって生活の質を維持しやすくなるメリットもあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。潰瘍性大腸炎の治療について相談したい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎になりやすい性格の人は悪化する前に医療機関を受診しよう 潰瘍性大腸炎は原因が完全には解明されていません。性格についても直接の原因ではありませんが、真面目で繊細な性格の人はストレスを溜めやすく、症状悪化のリスクが高まる可能性があります。 潰瘍性大腸炎の発症には免疫異常や遺伝的要因、腸内環境の乱れなどが関係しており、生活習慣やストレス管理が症状の安定に役立ちます。生活の質の維持や再燃予防のためにも、症状が現れたら悪化する前に医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。潰瘍性大腸炎の症状でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎に関するよくある質問 潰瘍性大腸炎のときは食事に気をつけるべきですか? 潰瘍性大腸炎では、食事の管理が症状の安定や治療のサポートに役立ちます。とくに活動期は腸が敏感になっているため、脂質や刺激物を控え、消化に良い食事を選ぶことが大切です。 また、一度に大量に食べるより、少量を分けて摂取することで腸への負担を軽減できます。こうした食事の工夫が、潰瘍性大腸炎の症状管理につながります。 潰瘍性大腸炎の悪化サインは? 次のような症状が現れたら、潰瘍性大腸炎が悪化しているサインです。 下痢や血便の増加 腹痛や腹部の不快感の強まり 発熱や倦怠感 こうした兆候を感じたら、自己判断せず早めに医療機関を受診しましょう。適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、再燃リスクを軽減できます。 参考文献 (文献1) 潰瘍性大腸炎(指定難病97)|難病情報センター (文献2) 難病の潰瘍性大腸炎の発症に関連する3つの遺伝子を発見 - 遺伝的な要因を背景にした、粘膜免疫応答の調整異常が発症原因と突き止める -|理化学研究所
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【医師監修】潰瘍性大腸炎の食事で気をつけることは?食べて良いもの・いけないものを解説
「潰瘍性大腸炎の食事で気をつけることは何か」「食事で症状はどこまでコントロールできるのか」など、疑問を持っている方も多いでしょう。 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気で、下痢や腹痛、血便などの症状を繰り返すのが特徴です。症状の強さには波があり、活動期と寛解期を繰り返します。 食事管理は潰瘍性大腸炎の症状を和らげ、腸への負担を減らすために重要ですが、あくまで治療を補助する役割です。そのため、症状に応じて、医師の指示のもとで適切な治療を受けることが基本です。 今回は、潰瘍性大腸炎の食事で気をつけることをわかりやすく解説します。食事以外で意識したいことや治療法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎の食事で気をつけること 潰瘍性大腸炎の食事は、何を食べるかだけでなく、どのようなタイミング・状態で食べるかも重要です。活動期と寛解期では、食事で気をつけることがそれぞれ異なります。 活動期の食事 潰瘍性大腸炎の活動期は、下痢・腹痛・血便などの症状が強く、腸が敏感になっている時期です。活動期の食事では、腸を休ませることを優先して以下の点を意識しましょう。 脂質や食物繊維を控える 消化に良い調理法を選ぶ 少量を回数多く食べる 刺激物や冷たいものを避ける 脂質や不溶性食物繊維は腸への刺激となりやすいため、活動期には控えることが大切です。また、調理法は、煮る・蒸す・茹でるなど、消化しやすい方法を選ぶことで腸への負担を軽減できます。一度に多くの量を食べると腸に負担がかかるため、少量ずつ回数を分けて摂取すると良いでしょう。 寛解期の食事 潰瘍性大腸炎の寛解期は、症状が落ち着き腸の状態が比較的安定している時期です。この時期に過度な食事制限を続けると、栄養不足や体力低下につながる可能性があるため注意が必要です。 主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事を意識する 食物繊維や脂質も体調を見ながら少しずつ再開する 寛解期に栄養状態を整えることは、体力の回復だけでなく、再燃予防につながる効果も期待できます。潰瘍性大腸炎の食事は、症状にあわせて食べられるものを徐々に増やしていくことを心がけるのがポイントです。 【一覧】潰瘍性大腸炎のときに食べてはいけないもの 症状や個人差によって異なるものの、以下の食品は腸への負担が大きく、潰瘍性大腸炎のときには避けたほうが良いとされています。 避けたほうが良いもの 具体例 脂っこいもの 揚げ物、ラーメン、スナック菓子など 辛いもの・刺激物 キムチ、唐辛子、スパイス料理など アルコール ビール、ワイン、焼酎など カフェインが多い飲み物 コーヒー、エナジードリンクなど 不溶性食物繊維が多い食品 ごぼう、れんこん、きのこ、生野菜など とくに活動期は、これらの食品が症状悪化の引き金になる可能性があるため注意が必要です。 潰瘍性大腸炎の食事選びのポイント 潰瘍性大腸炎のときは何を食べたら良いのか、ここでは、食事選びのポイントを見ていきましょう。 主食 主食はエネルギー源として重要な要素です。しかし、活動期は腸への刺激を最小限にすることを優先する必要があります。 精製された穀類は消化吸収がよく、腸への負担を抑えやすいのが特徴です。活動期は白米やおかゆ、うどんなど、消化が良いものを中心に選びましょう。一方で、玄米や雑穀は消化に負担がかかる場合があるため控えめにするのがポイントです。 寛解期に入ったら、パンやパスタ、雑穀など、食物繊維を含む主食も少量から試しましょう。体調に問題がなければ徐々に種類を増やしていくようにしてください。 肉・魚 たんぱく質は体力維持や粘膜修復に欠かせない栄養素です。白身魚や鶏むね肉、ささみなどは脂質が少なく活動期でも比較的安心して食べられます。脂質が多い肉や加工肉(ベーコンやソーセージなど)は避け、焼くよりも煮る・蒸すなどの調理法を意識しましょう。 寛解期には適量であれば赤身肉を食べても問題ありません。急に脂質を増やさないよう、少しずつ食事の幅を広げていきましょう。 野菜・果物 野菜や果物はビタミンやミネラルの供給源です。しかし、不溶性食物繊維が多いと腸を刺激する場合があるため注意が必要です。活動期には、煮る・蒸すなどして柔らかくした野菜を選び、生野菜や皮・種の多い食材は避けてください。 栄養バランスを整えるためにも、寛解期に入ったら食物繊維の多い野菜や果物も少量から取り入れていきましょう。 お菓子・飲料 潰瘍性大腸炎のときは、食事だけでなくお菓子や飲み物の選び方にも注意が必要です。脂質や糖分が多い洋菓子、炭酸飲料、アルコールは腸を刺激しやすく、症状の悪化を招くリスクがあります。そのため、摂取はできるだけ控えるようにしましょう。 一方、和菓子やゼリーなど脂質が比較的少ないお菓子であれば、体調を見ながら取り入れやすいといえます。無理のない範囲で、腸への負担が少ないものを選ぶことが大切です。 潰瘍性大腸炎で食事以外に意識したいこと 潰瘍性大腸炎の症状の安定には、食事管理に限らず日常生活の過ごし方も影響します。生活リズムの乱れや治療の中断、感染症などは再燃のきっかけになることもあるため注意が必要です。ここでは、潰瘍性大腸炎の方が食事以外で意識したいポイントを3つ解説します。 生活リズムを整える 潰瘍性大腸炎では、規則正しい生活リズムを保つことが症状の安定につながります。不規則な生活や睡眠不足、強いストレスは腸内環境を乱し、炎症を悪化させる要因になるからです。 潰瘍性大腸炎のときは、次のような点を意識して生活リズムを整えましょう。 夜更かしを避けて十分な睡眠時間を確保する 食事や就寝時間をできるだけ一定にする ストレスを溜め込まないよう適度に休息をとる 日々の生活リズムを整えることは、潰瘍性大腸炎の再燃予防や体調管理において重要なポイントの一つです。 定期的に通院する 潰瘍性大腸炎では、症状が落ち着いている寛解期であっても定期的な通院が欠かせません。症状がなくても腸の炎症が完全に治まっていない場合があり、自己判断で治療を中断すると再燃のリスクが高まります。 医師から処方された薬は指示通り継続して服用し、下痢や腹痛、血便などの変化を感じた場合は早めに受診してください。定期的な通院や医師への相談が、長期的な症状の安定につながります。 感染症予防に努める 潰瘍性大腸炎の方は、日頃から感染症予防を意識する必要があります。風邪や胃腸炎などの感染症は、体への負担となり、潰瘍性大腸炎の再燃を引き起こすきっかけになることがあるため注意が必要です。 感染症予防のためには、外出後の手洗いやうがいを徹底するとともに、医師と相談した上で必要に応じたワクチン接種を検討すると良いでしょう。日常的な感染症対策が、潰瘍性大腸炎の症状安定につながります。 【食事とあわせて確認】潰瘍性大腸炎の治療法 潰瘍性大腸炎の主な治療法として、栄養療法や薬物療法、手術療法、再生医療の4つがあります。食事管理は治療を支える大切な要素です。 しかし、食事管理だけでは十分な改善につながらない場合もあります。そのため、症状に応じて医師と相談しながら適切な治療法を選択することが重要です。 治療法 目的や特徴 治療内容 栄養療法 体力維持と栄養状態の改善を図る補助的治療 ・食事内容を調整し、腸への負担を軽減 ・必要に応じて経腸栄養・静脈栄養を実施 薬物療法 炎症を抑え、症状の寛解と維持を目指すための治療 5-ASA製剤、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤などを使用 手術療法 内科的治療が効かない場合の根治的治療 重症例や合併症がある場合に、大腸を切除して回腸嚢肛門吻合術などを実施 再生医療(文献1) 損傷した腸粘膜の修復・再生を促すための治療 ・幹細胞などを用いて炎症で傷ついた腸粘膜の修復を促す方法 ・難治性症例で注目されているが、実施施設は限定的 潰瘍性大腸炎の治療は薬物療法を中心に、症状の寛解と再燃予防を目指すのが一般的です。栄養療法は治療をサポートする重要な役割を果たし、薬物療法で十分な効果が得られない場合には、手術療法が検討されるケースもあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。潰瘍性大腸炎の治療法についてお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎は食事管理に気をつけて適切な治療につなげよう 潰瘍性大腸炎の症状を和らげ、再燃を予防するには、活動期と寛解期で食事の内容や量を調整する必要があります。活動期には脂質や刺激物を控え、寛解期には栄養バランスを整えることがポイントです。 また、症状の安定には、食事だけではなく定期的な通院や感染症予防なども欠かせません。食事制限については自己判断せず、医師と相談しながら必要に応じて適切な治療と組み合わせて進めることがポイントです。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。潰瘍性大腸炎の食事でお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 潰瘍性大腸炎の食事に関するよくある質問 食事制限はいつまで続ける必要がありますか? 食事制限を続ける期間に明確な決まりはありません。症状が強い活動期には、腸を休ませる目的で食事制限が必要になりますが、寛解期には、体調を見ながら少しずつ通常の食事に戻していくケースがほとんどです。 潰瘍性大腸炎の食事管理については、自己判断せず、主治医と相談しながら進めていくことが大切です。 栄養補助食品を利用しても良いですか? 食事量の減少や食事制限によって、十分な栄養がとれない場合には、栄養補助食品が役立つこともあります。ただし、潰瘍性大腸炎の方にとっては、脂質が多い食品や腸を刺激する成分を含む製品などが症状悪化につながる可能性もあるため注意が必要です。 栄養補助食品の利用を検討する際は、事前に医師へ相談すると安心です。 (文献1) 潰瘍性大腸炎 - 診療と研究の最前線 -|日本消化器病学会
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